ブログに取り上げる順序が逆なのかもしれない。というのは、ミニマリストの テリー・ライリー Terry Riley(1935 -)の名を一躍高めたのは『IN C』(1964)であったと思われるけれど、ヒットするなどして、世評もっとも注目されたのは今日取り上げる『A Rainbow in Curved Air』(1968)のほうだったのではないだろうか。それは親しみやすくヒットするだけの楽しさを、リラクゼーションを感じさせる作品といえよう。≪短いフレーズを繰り返す技法≫で起こるズレのもたらす偶然の音の変化生成に、意外なおもしろさを体験させるミニマリズムの提示でインパクトを与えた代表作として『IN C』が上げられる。この作品によって≪ ミニマル音楽を一気に有名にした。≫といえるのだろう。すでにこの音盤は、 拙ブログへ投稿済み。なんでもこのタイトルの由来は≪曲は53個の独立したモジュールからなり、それぞれのモジュールはほぼ1拍の長さで、おのおのが異なった音楽のパターンを有している(だがタイトル通り全てハ長調 in C である)。演奏者の一人はピアノから一定したハ音の連続を繰り出し、テンポを維持する。他の演奏者の人数と用いる楽器は任意で、いくつかのゆるやかなガイドラインに従ってそれらのモジュールを演奏する。その結果、時とともに異なったモジュールが様々に連動しあって行くのである。≫(WIKIPEDIA)とあるが実際に音で聴いていただければ愉しくそれらを確認できることだろう。音楽的にはこちらのほうが、その構造の発明もあって重要なのだろうけれど、いくつかの楽器を操ってテープ処理等を施し、一人でより柔軟に即興パフォーマンスしてみせたのが『A Rainbow in Curved Air』であり、愉楽の境地で延々と演奏し続けるといった趣である。インド音楽からの影響が顕著であり、ドローンの瞑想的リラクゼーションの効果もあって一般的にも受け入れられたのだろう。持続するドローンの上に乗っかって緩やかな変化をともなっての反復音楽。このアルバムでは多重録音を駆使して一人遊んで悦楽しているといった風情である。インド音楽やその他の民族音楽の取り込み、それとアマチュアリズムの受容をもくろんでといえなくもないミニマルな音型の反復繰り返しによる技法の提示には、行き詰っている音楽エスタブリッシュメントのくびきへの革新でもあったのだろう。また息づまる時代文化への カウンター・カルチャーの範疇でもあったともいえよう。ジョン・ケージJohn Milton Cage(1912 - 1992)や、その師でもあった ヘンリー・カウエルHenry Cowell(1897 - 1965)らの切り開いた途、民族音楽の世界、とりわけ東洋への眼差しをもって歩み開花させたのがこのテリー・ライリーらのアメリカという文化新興国のミニマリストたちだった。その時代史的な画期をもたらした成果、その代表的な作品がこの『A Rainbow in Curved Air』といえるだろう。私たち団塊世代にとっては1968年、それに69年という歴史年次は重要な節目の年といえよう。青春真っ只中での、(全共闘)学園闘争であり、苛烈極まり泥沼と化したベトナム戦争、そのベトナム反戦に国内外が一様にゆれた歴史年次であった。まさにその1968年に出されたのがこの『A Rainbow in Curved Air』であり、そのタイトルどおりそれは平和への希求でもあったのだろう。
1968年の「 A Rainbow in Curved Air」と1969年に録音された「Poppy Nogood and the Phantom Band 」の2作品を収録。
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沖縄民謡なんかやってますけど、実はテリーライリー 命です。
2009/11/10(火) 午前 10:21 [ imo*00*yout*b* ]
テリー・ライリーのこうした音楽スタイル形成には民族音楽研究が与っているそうなので、そうしたところでのつながりゆえの<命>かもしれませんね。
2009/11/10(火) 午後 7:20
初めまして。私はA Rainbow in Curved Airはカジュアルな印象がありつつも、対位法、フーガ、マイクロポリフォニー、ポリリズムなどや様々な音楽技法が使用されている傑作だと思っております。私の今までの人生で聴いてきた中で最高の曲です。
2011/11/29(火) 午後 11:20
Katzさま。
今まで聴いてきた中で最高の曲に出会われた僥倖。こうした音楽体験は貴重ですね。
ますます、音楽に魅入られたことと察します。
このようなミニマル手法の与えた影響は大きいですね。
2011/11/30(水) 午前 8:19