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本屋大賞ノミネート作品11作品のうち、現在8と2/3作品を読了。残すは2と1/3作品。
と、ここで、図書館に予約していた宮部みゆき著『ソロモンの偽証第Ⅲ部』と冲方丁著『光圀伝』が、
同時に順番が回ってきた。喜び勇んで取りに行ったが…たった2冊なのに4〜5冊分の重量感
大賞発表までの全作品制覇は無理でも、どっちから読むか悩む〜。
気持ちは逸るけど上滑りな読み方はしたくない。どっちも楽しみだったからなぁ。
 
 
『64』横山秀夫
間も無く時効をむかえる幼女誘拐殺人事件。D県警広報室の三上は、その事件の遺族に警察庁長官が訪問する段取りを命じられる。事件当時担当していた三上は複雑な心境のまま訪ねるが…。
「刑事部」対「警務部」、「中央」対「地方」の構図が複雑に絡み合う様が、刑事畑の長い広報官三上の葛藤を通して描かれているところがうまい。もやもやする葛藤のなかで自分は何をすべきかを見つけるのはなかなか難しい。組織内で自分の属する場所を意識するのは当然だが、それに縛られて思考が停止してしまうことは危険だなと感じた。
余談だけど、真犯人…なんとしても落として欲しい。三上の娘…どうなったんだろう。
隠蔽が表沙汰になった県警のその後(三上の対応)も含めて後日談があれば(無いと思うが)読みたい。
久しぶりの横山さんの新刊だったけど、ほかの作品ほどのガツンと感が足りなかったので(ひどい理由)、
星4つに近い、星3つ★★★。
 
『海賊とよばれた男』百田尚樹
石炭が主要なエネルギー源だった時代。石油が次世代の新たな重要燃料資源となるとの展望をいだいた明治生まれの国岡鐡造は、いずれは大きな貨物船を持って世界を相手に商売をしてみたいと思った。しかしそれは艱難辛苦に満ちた厳しい道のりだった…。実在の人物をモデルに描いたノンフィクション小説。
上巻では大戦後、焼け野原の東京から始まり昭和20年〜22年の国岡商店の苦難を、そしてそこから鐡造の生まれた明治18年へ戻り鐡造の青春時代を追う。下巻では昭和22年以降近年までが描かれている。
国岡商店の社是『人間尊重』は国岡鐡造の強い信念であり、それゆえ商店には就業規則もなければ、出勤簿もなく、クビも定年もない。鐡造の口癖は社員は家族同然。だから信じて当然だという。一方で、自分の信念を貫くためには喧嘩は厭わず徹底的に正論を追及するので同業者や関係者には強い反感を抱くものも多かった。こんな人物、ノンフィクションでなければ、出来過ぎの完璧仕事超人だと、まるで作り物のように感じただろう。
いかに困難にぶつかっても、どんなに大きな障壁が妨げようとも、絶対不可能と言われたことも、信念で貫き通す。生半可な信念ではない。常に命がけ。思えば『永遠の0』は特攻隊員たちの命がけの人生を描いていたが、彼らが命を預けた戦艦も戦闘機も、それを動かしていたのは石油だった。いまでは我々の生活に石油は欠かせないものとなっているが、その石油を巡って一人の日本人の人生を賭けた壮絶な戦いがあったことに驚愕。
余談だけど…石油を取り巻く情勢には疎いため、鐡造のモデルが誰なのかを知らずに途中まで読めたのは幸運だった。というか、読書の途中でほかの方のレビューの最初に「これは○○をモデルに書かれた」と実名が書いてあったのが目に入ってしまったため、鐡造の国岡商会が近年まで繁栄したのか潰れてしまったのかが分かってしまい、先を読む楽しみが削がれてしまったのは残念。星3つに近い星4つ★★★★。
 
 
どちらも硬派な作品。史実に基づいたものと完全なフィクションという違いはあるが、主人公の仕事に対する誠実さが共通していて、読んでいて思わず背筋がピンっと伸びた。彼らを支える家族や周りに集まる人々も立派な人たちばかり。日本にこんなに真面目な仕事人間はどのくらいいるんだろう。
 

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