しみじみと朗読に聴き入りたい

素晴らしい朗読が聴けるサイトやCDを発掘してご紹介します。著作権関係の意見も発信しています。.

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 今回は、共存共栄策の本命のひとつについてです。
これだったら、必ずや、著作権者と朗読愛好家が二人三脚で盛りあげていける
方策だと思うんです。

 ・・・それは、(社)日本ペンクラブ の『電子文藝館』のことなのです。
これを、第二の青空文庫にしよう! というのが提言の趣旨です。

● 日本ペンクラブ 『電子文藝館』のサイト探訪

 まずは、『電子文藝館』のサイトを見てみましょう。
    ↓
   http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/

 2001年秋に立ち上がった由。館長は、初代が梅原猛さん。現在は秦恒平さんです。
さすがに、ペンクラブだけあって、小説あり、随筆あり、詩あり、ノンフィクションあり、
はたまた、戯曲あり、和欧訳あり・・・・実に広範に作品を掲載しています。

さて、この電子文藝館に込めた思いを、秦館長が、以下のところで縷々綴っておられます。
    ↓
   http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/information/information.html#inf_01

 これを読んでいて、ぐっと目が吸いつけられたのが、以下の一文でした。

  「掲載作は開館一年半、すでに三百作を超えて、日々に数増している。
   われわれは、これら一切を「パブリック・ドメイン=公共の文化資産」と認めて無料
   公開し、広い世界の愛読・愛好に応えている。研究者用のテキストとしてでなく、
   新世紀ウエブ環境の新しい読者たちの前に、本文の意義と表現を誠実に損なわず
   しかも「読んで楽しめる」受発信をと、日々、苦心工夫を重ねている。ますますの
   ご支援を得たい。」(2003年4月25日付け)

 「パブリック・ドメイン=公共の文化資産」と認めて無料公開し・・・

  そうか、これは、第二の『青空文庫』なんだ・・・! と思い至った次第。


● 電子文藝館の運営目的と完全一致する朗読のネット配信

  さらに読んでいくと、

  「何を選ぶか。有名筆者の場合、なるべく異色作や問題作や見忘れられがちな秀作を選ぼ
   うとしてきました。が、やはりこれは読まれたいと思う有名作を選んでいる例もありま
   す。現在なお書店等で入手のラクな作品はなるべく避けています。
    もっと大事に考えていることが有ります。もう忘れられかけている、しかし生前には
   力ある優れた仕事をしていた、残念ながら湮滅直前の書き手たちの仕事を、大切に、敬
   意を払って再現していることです。展観リストで、そういう秀作・力作をたくさん発見
   されることでしょう。」(2005年4月25日付け)

   書店等で入手のラクな作品はなるべく避けている・・・
   湮滅直前の書き手たちの仕事を、大切に、再現している・・・

  もう、私がいわんとすることはおわかりだと思います。この『電子文藝館』の作品群を
 朗読愛好家の皆さんの手で、広く世の中に知らしめ、湮滅直前の作品に新たな息吹を吹き込ん
 で蘇生させる、ということです。

  それは、この電子文藝館の運営目的と完全に一致するものでしょう。「パブリック・ドメイ
 ン=公共の文化資産」と認めて無料公開したわけですから、これらを非営利で二次利用するこ
 とについても大いに歓迎するものだろうと思います。それによって、どんどん新しい流通が始
 まるのですから。

  『風とたんぽぽ』のブログを運営しておられるwisさんが、久坂葉子という昭和27年に21歳で
 早逝した女流作家の作品を朗読しておられる別のブログがあります。
    http://geocities.yahoo.co.jp/gl/kazetotanpopo02

  久坂葉子という作家は、私はまったく知りませんでしたし、一般の皆さんも知らないと
 思います。芥川賞の候補にもなって、ぎりぎりで落選したという当時はそれなりに注目された
 存在だったようです。 その後忘れ去られたわけですが、しかし、こうやってブログで、wis
 さんという一人の朗読愛好家によってネット配信という形で取り上げられることによって、半世
 紀以上の時空を超えて、現代に蘇るわけです。ちなみに、電子文藝館には、久坂葉子の作品も少
 し載っています。

  電子文藝館の作品群の朗読とそのネット配信という二次利用に開放することによって、
 第二、第三の久坂葉子の例が出てくるでしょうし、有名作家であってもほとんど知られていない
 小品群が改めて脚光をあびることになるかもしれません。


● 朗読愛好家の食指?をそそる電子文藝館の作品群

  電子文藝館に掲載されている作品群を見てみてください。いろいろなジャンルで、朗読したく
 なるような、聴きたくなるような作品が目につくのではないでしょうか。
  近代文学の世界では、まだ死後50年がたっていないために、朗読愛好家のブログなどでは取り
 上げられていない作家としては、永井荷風(1959年没)、谷崎潤一郎(1965年没)、志賀直哉
 (1971年没)などがあります。
  でも、この電子文藝館では、これらの作家の小品もいくつか収められています。和欧訳の部で
 は、永井荷風の『珊瑚集』も入っています!

   現代作家としては、立原正秋、三島由紀夫、森村誠一、柴田錬三郎、北杜生、梶山季之、
 三田誠広、杉本苑子、浅田次郎・・・などなど。有名な作品ではありませんが、それぞれの作家
 の個性が生きる小品群でしょう。

   評論やノンフィクションでもユニークなものが、載っています。
  驚いたのが、ノンフィクションの部にある 

    神坂次郎 『今日われ生きてあり』

 でした。このような、まだまだロングセラーで人々の関心が高い作品が(新潮文庫にあります)、
 あっさりと無料公開されてしまっていいのかな・・・と思いました。
  少し前に、イケ面の?某テレビ局の看板男性アナが、婚約者にこれを贈ったというので
 週刊誌やワイドショーでも話題になったようですが、特攻隊員への鎮魂歌的ノンフィクション
 です。市井の一青年が、学生が、家族への思いを引きづりながら、後の太平を祈りながら出撃して
 いく・・・。そういう特攻隊員をめぐる話が、何編も綴られています。
  ネットで検索をかければ、読後の感想が書かれたサイトがいくつも見つかります。

  こういう素晴らしい作品を、早々と「公共財」として公開したことには、神坂次郎さんの思い
 が込められているように感じます。

 
 ともかく、この日本ペンクラブの『電子文藝館』を、第二の「青空文庫」として位置づけ、貴重な
 公共財として、著作権者と朗読愛好家の交差による朗読文化の振興、埋もれた作品群の再発掘、蘇
 生に向けた坩堝として、フル活用したいところです。

  ついては、日本朗読文化協会、「お話pod」事務局、「声の花束」事務局などなど、朗読関係団
 体の皆様に、日本ペンクラブに対して、電子文藝館の作品について、「非営利・無償による朗読の
 公衆送信」を包括的に許諾することとし、その旨、電子文藝館のサイトで宣言していただくよう、
 交渉していただけないものでしょうか。

  秦恒平館長も、メールも使わない会員相手に、インターネットでの発信の意義をわかってもらう
 までたいへん苦労されたようです。そんな秦館長ですから、きっと、朗読愛好家によるネット配信
 の、電子文藝館にとっての意義やメリットをすぐに理解していただけると思うのです。


  
  次回は、現行著作権法の枠内で対応可能な「引用」を使ったネット配信について書こうと思って
 います。 決して形だけの脱法行為ではなく、正攻法での活かし方です。共存共栄策のひとつに
 なると考えています。


  ※ 『しみじみと朗読に聴き入りたい』 http://homepage2.nifty.com/to-saga/roudoku2.htm

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賞賛の一語に尽きます!これだけのレポート(論文に近いです)を論旨乱れず書き通すteaさんはいったいどんな人なんだ〜!!と、読み終わって独り「すばらしい!!」と思わず声がでました♪終始一貫して論証していく文章力・構成力・説得力には、読まれた方皆さんが異論なく納得されるのではないでしょうか。私は朗読が好きなので、読むことには思いもかけぬパワーを発揮することがありますが、聞き手であるteaさんにこれだけの情熱があることは、驚きと同時に頼もしさでもあります!朗読にも輝く未来が!?これが実現したら嬉しいなあ。

2007/4/7(土) 午後 5:40 [ kaz*to*an*opo ]

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ありがとうございます。そういっていただけるとせっせと書いた甲斐があります。ちょうど、ブログに書こうと思っていたのですが、「朗読鑑賞」が趣味です! となかなか周囲にいえなかったこれまでの鬱屈?(笑)が、今、ブログという場を得て、朗読愛好者の世界の一角に身をおける喜びに変わり、エネルギーが放出されつつある・・・という状態なんです、きっと(笑)。しゃべるより書くほうがどちらかというと得意なので、こういう形で、朗読文化振興のお役にたてば、本当にうれしいです。

2007/4/7(土) 午後 9:20 [ teabreakt ]


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