しみじみと朗読に聴き入りたい

素晴らしい朗読が聴けるサイトやCDを発掘してご紹介します。著作権関係の意見も発信しています。.

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 さて、週刊文春の昨年121日号の記事についてです。
記事の雰囲気は,以下のサイトで紹介されているとおりですが目次からはすぐに見つかりにくいところにあります。だいぶ後ろのほうのページにある記事です。
 
 
 ジャーナリストの森省歩氏の執筆によるものです。たいていの図書館では半年分くらいの週刊誌は開架書庫に保存してありますから、お読みになるといいと思います。
 この記事は、単なる憶測記事ではなく、関係者に取材の上で、直接、当事者である矢崎節夫氏(みすゞを「発掘」した児童文学者)と、全集を発行したJULA出版局の大村祐子代表にインタビューをしている点で、貴重なものになっています
 
●金子みすゞの詩の「著作権」の点については、これまで広く信じられていたストーリーは次のようなものだったと思います。
 
「矢崎節夫氏が、大学1年で出会った「大漁」に衝撃を受けて以来、金子みすゞについて地道に関係方面を当たり、遂に実弟の上山雅輔氏(劇団若草設立者)に出会い、そこに保存されていた遺稿集を入手。こうして、出会いから16年目にして、忘れ去られていた金子みすゞの詩を発掘した矢崎氏は、設立間もないJULA出版局から遺稿集を全集として発行したところ、大きな反響を呼び売上げも伸びた。。死後50年経過はしているが、発掘した苦労・功績の尊重と、遺族への配慮から、JULA出版局内に「金子みすゞ著作保存会」を設置し、詩を使用する場合の同会の了承と「著作権料」の支払いを求めている。」
 
 ところが、今回の週刊文春記事では、このストーリーの根底が大きく崩れたように感じます。最も中核の「著作権料」の部分で、遺稿集を提供してくれた上村雅輔氏には全く支払われず、娘の上村ふさえさんには、保存会設立後10年間何らも支払われていなかったこと、それをJULA側が認めていることは衝撃ではないでしょうか・・・。
 
●以下、記事のポイントを紹介しますが、JULA出版局から最初に出版されたものは、矢崎氏編ではなく、「大漁」が収録されていた『日本童謡集』の編者、与田準一氏を編者とするもので(19842月)、その半年後の8月に、矢崎氏編の選集『わたしと小鳥とすずと』の刊行されると、その全集は旧仮名遣いを理由に絶版になった、という話は初耳です。
 現在出版されている全集(全6巻)は、新仮名遣いで矢崎氏の監修となっています。
 
 以下、週刊文春記事の主要なポイントです。<〜の話>と記載してあるのは、記事中の談話の引用です。
 
**********************************************
 
     「金子みすゞ著作保存会」による管理について
<記事の要約>
○金子みすゞの著作権は1980年に切れたが、矢崎氏らは「出版権は発見者にあ
  る」 と主張し、矢崎氏編の選集にすることなどを条件に、定価の10%内外に相当
  する著作権料の支払いを求めるなど、他社による出版に介入。法的根拠のない保
  存会への批判が高まるや、「金子みすゞ」の5文字を商標登録した。(出版関係者
  の話)
 
<矢崎節夫氏の話>
「保存会を設立したのは、雅輔さんから『渡した遺稿の管理はそちらでやってくれ』と頼まれたのがキッカケ。ボクは『ふさえさんの幸せはみすゞさんの幸せだ』と思っており、みすゞさんを独占しようなどとは思っていません。確かに、保存会には法的根拠はありません。ですが、みすゞさんの詩が彼女の意図に反して使われることのないよう、今後とも保存会は続けていくつもりです」
 
●「著作権料」の支払いについて
<記事の要約>
①金子みすゞの遺児である上村ふさえ氏へは、「著作権料」は「金子みすゞ著作保存
   会設立から10年間は支払われてはいなかった。
②遺稿手帳の提供を受けた金子みすゞ実弟の上山雅輔氏(1989年死去)には、一
 切支払われていなかった。
 
JULA出版局大村祐子代表の話>
「最初の10年間くらいは全集や選集の売上げがそれほどには伸びず、他のみすゞ本の出版を維持するのにもお金がかかったものですから・・・。雅輔さんに著作権料を支払わなかったのは、雅輔さんから『著作権料はふさえさんに』との申し出があったからです。」
 
<一人娘の上村ふさえ氏の話>
「たしかに最初の10年くらいは気が乗らなかったのですが、印税(著作権料)をいただくようになってからは、矢崎先生と一緒に講演会にも出かけるようにもなりました。『我がもの』と言ったのは、矢崎先生がみすゞに夢中になって周囲が見えなくなっている、という意味だったと思います。」
 (注)上記は、ふさえ氏が、文藝春秋別冊『金子みすゞ没後70年』(2000年。河出書房新社)の矢崎氏との対談で、「その時(保存会設立当時)は先生は、まだ『みすゞさんは我がもの』だと思っていたわけですよね」と語っている点についてのこと。
 
●遺稿手帳の発見者について
<記事抜粋>
「(長周新聞社の編集長の)森谷氏によると、同紙主幹の福田正義氏は、みすゞの
自殺後、みすゞの実兄・堅助氏を通じて母・ミチと会い、件の三冊の遺稿手帳などの
提供を受けたという。そして、1937年、下関で発行されていた雑誌『話の関門』で、福
田氏は遺稿手帳の詩を含め、みすゞの死のいきさつなどを紹介、資料は遺族に返さ
れたというのだ。」(注:『話の関門』は空襲で焼失)
 
<長周新聞社(下関)森谷浩章編集長の話>
「私が福田から直接聞いたことですが、矢崎氏は雅輔氏から遺稿手帳を渡されるは
るか前、みすゞの従弟・花井正氏を通じて下関で福田と会い、一連の経緯につい
て、福田から話を聞いている。矢崎氏がこのことを一切語ろうとしないのは、未発表
詩発掘の功績を独り占めしたいがためでしょう」
 
<矢崎節夫氏の話>
「長周新聞の福田氏に下関で会ったのは、雅輔さんから手帳を預かった後のことだ
ったはず。福田氏からそのような話を聞いたという記憶もありません」
 
●記事が紹介する「妨害」事例①
<記事要約>
○矢崎氏は、遺稿のほか親族が所有していたみすゞの写真や手紙なども預かり受 けているが、みすゞ研究家の高遠氏は「自分と意見の違う研究者などには資料は 貸さない、使用を許さないと恫喝してくる」「長門でのみすゞ 交流会に出席しようと したら、顕彰会代表者から矢崎先が迷惑する。大村氏もそう言っているので来な  いでほしいと電話が入った。その後、顕彰会に販売用に預けてあった自分の著書 がドサッと返送されてきた」と語って いる。
 
○北九州の劇団青春座は、2001年にみすゞをモチーフとした劇を上演しよう
 とした際、相談したらシナリオに文句を言われ、上演を見送った。
 
JULA出版局大村祐子代表の話>
「高遠氏の著書は矢崎先生に失礼な内容で、長門の顕彰会の代表者に電話を
入れたのは事実です。青春座の脚本も近親相姦をテーマにしたもので、ご遺
族が不快に思うような内容でした」
 
●記事が紹介する「妨害」事例②
<記事要約>
     昨年から開催されていた「みすゞ没後80年展」で、目玉とされていた「未発見写真」は、下関観光情報センターで5年前から展示されていたもの。地元の研究家・木原豊美氏のグループが手がけたもの。しかも、木原氏はかつて矢崎氏の評伝の資料探しに協力していたが、自身の研究成果を一度だけ講演で話したところ、矢崎氏の逆鱗に触れ、排除されてしまったという。
 
<矢崎節夫氏の話>
「写真は木原たちが勝手に展示したもので、正式なみすゞ展としては未発見
でいいんです。もともと木原は僕に一言の断りもなく講演を行った人間。僕
を批判している連中は『矢崎だけ儲けさせてたまるか』という根性なんだ
よ」
 
●記事が紹介するその他の「妨害」事例
<記事要約>
 下関市の詩碑に、JULAのクレジットを入れろと要求してくる。
②下関の蒲鉾業者が包装紙に詩や写真をいれたいと要望しても、矢崎氏は、破り捨てられるのは我慢できないとして、認めようとしない。
 
 **************************************
 
・・・以上が記事のポイントを項目別に整理してみたものです。これを読んでいて、どうも何か変だな・・・つじつまが合わないな・・・・と、もやもやするものがありました。
それがなんなのだろう・・・?と思って調べていくと・・・やっとわかってきました。時系列を整理するとはっきりしてきます。
おそらく、この週刊文春の記事も時系列がやや曖昧なところがありますが、おそらくウィキペディアの記載やそれも影響しての一般的理解にとらわれていることによるものではないかと想像しています。
 
私もウィキペディアの記載によって誤解をしていましたし、おそらく金子みすゞの詩の読者の皆さんも思い込んでしまっているところがあるのではないかと思います。上記の大村代表のインタビューでの発言が、その誤解に気が付くきっかけとなりました。
 
その辺りのことを、次回書きたいと思います。そしてそのことと上記の記事で明らかとなったことは、金子みすゞの著作権関係のJULAや矢崎氏らの説明やそれによる世間の思い込みを完全に崩すものとなっていると思います
 
 
<補注2012.2.19> 記事の当初の原文で「ウィキペディアの記載が明らかな間違いがある」と書きましたが、その後調べていくと、やはり間違いとまでは言えませんので、訂正します。次回記事で、諸々わかってきたことをご説明するようにします。
   

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私のブログでこのサイトを勝手ながら紹介しまhしたので、事後承諾いただきたく、連絡します。また金子みすゞの商標権や週刊文春の記事について、貴殿がなかなか続きを書かないので、私がそれに関することを書きました。ぜひお読みください。 削除

2012/2/24(金) 午後 7:12 [ 高遠信次 ] 返信する

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高遠様。記事のご紹介いただき有難うございます。記事の続きは、鋭意執筆中で、間もなくアップする予定ですので、お読みいただければ幸いです。
高遠様の記事を拝見しますと、知らなかったことが書かれていて興味深いというか、矢崎氏らの問題性がビビッドに理解できます。
私も引き続き書いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2012/2/25(土) 午前 11:17 [ teabreak ] 返信する

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