しみじみと朗読に聴き入りたい

素晴らしい朗読が聴けるサイトやCDを発掘してご紹介します。著作権関係の意見も発信しています。.

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 朗読者の皆さんの活躍の機会を飛躍的に拡げ、文藝世界を活性化させるだろうと確信している方策は、以前にも書いたことがありますが、朗読配信サイトと著作権保護団体との包括契約です。これは、音楽の世界では、JASRACなどの著作権管理団体が積極的に進めています。
 たとえば、誰でも、朗読ファイルを含むあらゆる電子ファイルをネット販売できるDL-MARKETというサイトがあります。このサイトで、朗読を配信されている方もおられると思います。そこでは、やはりJASRACe-Licenceなどの著作権管理団体との間で包括契約を結んでいます。
 
 これによって、JASRAC等が著作権管理している楽曲であれば、誰でも自由にその楽曲を演奏したり歌ったり、あるいは楽譜や歌詞を電子ファイルで有償配信することができる仕組みです。いちいち個別にJASRAC等に許諾を得なくとも、好きなように配信できますし、その使用料は、売上げから差し引かれますから、許諾手続きに伴う手間暇から解放される素晴らしい仕組みです。
 これであれば、利用者側は、コスト負担なく、どの楽曲でも自由に配信することができますし、著作権者側は、利用料収入が入ってきます。そして、様々な楽曲が、様々な実演者によって、広く流通し、リスナー側も選択肢が大幅に広がることになります。
 
 これと同じ仕組みを、文藝作品でも採用できないはずがありません。
 日本文芸家協会の著作権担当の副理事長だった三田誠広さんは、出版権構想がさかんに議論されていた時に、「発表から40年経ったような作品で、著作権使用料を得ようという作家などはいない」と述べておられました。
 実際、発表から30〜40年も経てば、忘却の世界に入っていく作品の例が少なくありません。一時はベストセラーでも、絶版になって久しい作品も多々あります。出版社がずっと出版権を握って、書籍を出し続けている例は少ないでしょう。


 しかし、そういう作品でも、上記のような仕組みを作れば、たちまち、利用者と著作権者の双方にとって、宝の山に変身します。
 何も、朗読の世界だけではありません。電子書籍の形での復活も期待できますし、複数作家の作品から選ぶアンソロジーの形での電子書籍の出版も極めて活発になることでしょう。
 
 音楽の著作権管理と、文藝作品の著作権管理との間には、法的な管理方式の差はあります。楽曲の場合は、JASRACに「信託」しますから、JASRAC自身が著作権行使者となるため、ああいう配信サイトとの包括契約を機動的に結ぶことができるのでしょう。
 他方、文藝家協会やビジュアル著作権協会のような文藝作品の著作権管理団体の場合は、「委託」契約です。文芸家協会は以前から一任型でしたが、ビジュアル著作権協会も一任型も採用したようです。一任型であれば、本来は、いちいち著作権者側に照会せずとも、協会の判断だけで、許諾をすることができる仕組みです。ただ、実際の運用は、そのたびに著作権者側に照会しているようなので、迅速な許諾ができない憾みがあると思います。
 
 しかし、発表後数年であればともかく、30年以上、あるいは半世紀以上経った作品であれば、死蔵されているよりは、誰でもいいから広めてほしいと、著作権者側にとっても思うのではないでしょうか。流通しないことには、作品も名前も後世に残すことはできません。
 ですから、一定の基準を設けて、原則として、発表後30年経過した作品については、文芸家協会等が本来の一任型で、信託に近い形で、許諾できるようにして、配信サイトと包括契約を結べばいいのではないでしょうか。
 包括契約は、視聴覚障害者向けの許諾では広く行われています。その場合には、障害者向けの録音図書の作成や大活字本の作成について、どの作品でも可とするという仕組みです。それと同じ包括契約を、発表後、たとえば30年以上経った作品について一般利用向けに結べるようにすればいいのです。
 
 上に述べたのは、「発表後」30年以上の話ですが、著作権は「死後」50年続きます。これが、TPP70年になるかもしれません。「死後」であれば、現在の制度運用のままでは、死蔵と忘却の局面に入っていきますから、包括契約によって、作品の再認識が図られる機会になるのであれば、著作権の承継者側も歓迎でしょう。
 
 その包括契約を結ぶ際に、除外したい作品があればそうすればいいですし、価格があまりに低いのは嫌だということであれば、最低販売価格なり最低使用料を設けておけばいいと思います。
たとえば、最低価格を、1件の販売当たり、
・発表後20年以上経った作品については200〜300円以上、
・発表後40年以上の作品は、100円以上、
・死後30年以上は、1050円以上
と設定し、その一定割合が、著作権者に還元されるようにすれば、利用者側は初期負担なしに、売れた分だけ利用料を払えばいいので、どんどん利用するようになることでしょう。
 
作家の皆さんは、電子書籍を軽視している面があるようです。三田さんが審議会で言っていたのは、「紙の本なら、印刷部数分だけ、印税がまとめて入ってくるが、電子書籍はそうではなく、売れた分だけしか入ってこないのでメリットが薄い」というような趣旨でした。しかし、そうやって紙の本が出版されている期間であればいいですが、もう売れなくなれば、あとは忘れ去られるばかりです。
しかし、先日、三浦綾子の著作シリーズが、電子書籍として一斉に発売され、好評のようですから、電子書籍見直しのきっかけになってくれればいいと思います。
 そういう現象を、各作家の各作品について期待できるわけです。ただ、最初に作品を出した出版社が囲い込むのはあまり好ましいことではありません。出版社横断的にテーマに即して作品のアンソロジーを作るような場合には、誰でも広く利用できるようにすることが望ましいところです。


 青空文庫にしても、作家、作品のラインアップを同様に飛躍的に拡げることができるでしょう。その読者にしても、長さにもよるでしょうが、1作品10円、20円、長編でも50円〜100円という程度のコスト負担であれば、負担可能ではないかと思います。朗読者の皆さんは、それらのテキストを使うか、自分で持っている本を使うかのどちらかで朗読して、上記のような価格で販売すればいいわけです。青空文庫の事務局にしても、広告とともに、その売り上げの一部を運営費用に充てることができます。
 
 活字の場合は、作家、作品と経過期間によっては、出版社との関係で難しい場合もあるかもしれませんが、朗読であれば競合はありません。
趣味でやるにしても、仕事としてやるにしても、朗読者の皆さんにとっては、作品の選択肢が飛躍的に広がります。
こういった環境ができていけば、作品が死蔵されることはなくなりますし、作品のデータベースができ、その再利用による文藝作品の再活性化が図られ、著作権者、読者、朗読者のすべての皆さんがメリットを得ることになります。
  
このような潜在的発展可能性がある仕組みが、隣接の音楽分野では既に設けられ、活発に運用されているのに、文藝世界では何らの変化の兆しがないとすれば、残念な限りです。
このような流通が容易になる仕組みができれば、TPP合意によって、仮に70年に保護期間が延びたとしても、影響は大きく違ってきます。
今は、

 「著作権がある=使えない=死蔵・忘却される」

というのが、ワンセットになってしまっていて、著作権保護期間延長の議論もそういう構図の中で行われていると思いますが、上記のような容易な流通促進の仕組みが、あちこちの電子書籍、オーディオブックの配信サイトでできていけば、様相は一変すると思います。

先日、上記のDL-MARKETに、上記に書いた仕組みの説明しつつ、文藝家協会と包括契約を結ぶことができないかとのご提案メールをお送りしたのですが、今のところ反応はありません。配信サイトにとっても、大きなビジネスチャンスだと思うのですが・・・。


文藝朗読者の利益を代表する団体ができ、著作権管理者団体と交渉できれば、話は進むと思うのですが、残念ながら、そういう方面での活動はなされていないのではないかと思います。私はサラリーマンなので、そういう活動に携わることができず、こうやってブログに書く程度しかできないのですが、上記構想が、いずれ日の目を見て実現する日が来ることを祈っています。


今はネットの時代ですから、ネットで広く、文芸愛好家、朗読愛好家の皆さんから署名を集めて要望を提出する、という方法もあるのかもしれませんね。

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