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TPP交渉に関して、81日の日経新聞を読むと、今回の大筋合意見送りによって、今後の展開が綱渡りになってきた、とあります。

もともと、米国の大統領選の時期に入ってしまうと、TPP協定批准が政治的に難しくなるとの判断があって、逆算すると、この8月がぎりぎりの合意のタイミングだったということだそうです。


「仮に次の閣僚会合で大筋合意しても、日程は厳しい。米国では大統領貿易促進権限(TPA)法の規定により、米議会にTPPの合意内容を通知してから署名までに90日間を空ける必要がある。仮に8月下旬に各国との交渉が妥結しても署名できるのは11月末。それからやっと議会との協定批准の手続きに入れる。
 一方で、来年2月には米大統領選の予備選が始まり、TPPへの関心は急速に薄れる。次の閣僚会合での大筋合意が絶対条件となる。」

 

 こういう話は、前々から言われていたことですから、確かに厳しいだろうと思いますが、しかし、同じ日経新聞の記事にあるように、日本国内での協定の批准や関連法案の成立の時期について、「今週の臨時国会で」という話は、私が疎かっただけかもしれませんが、あまり明確に認識されていなかったように思います。

 

「「我々はできるだけ早く国会に出せるようにというスケジュール感をもっていた。今回大筋合意ができれば、確実に臨時国会に間に合うはずだった」。甘利明経済財政・再生相は7月31日(日本時間1日)の記者会見で嘆いた。

 政府高官はこれまで「8月初めに大筋合意すれば、秋の臨時国会でTPP関連法案も整備できる」と語っていたが、シナリオは大きく変わりかねない。

 米国内の手続きを考えると、8月末に大筋合意しても、各国首脳による署名は11月末になる。日本が国会審議に入るのはそれからだ。

 「11月下旬から特別委員会で審議することも可能だが現実的ではない」。首相周辺は1日、臨時国会中の条約の批准や関連法案の成立が厳しくなってきたとの見通しを示した。

 政府・与党が秋の臨時国会にこだわってきたのは「参院選への不安材料は早めに取り除きたい」(首相周辺)からだ。TPPには農業団体などの反対論が根強い。来年の通常国会でTPPを巡る攻防が続けば、農業票の離反を招きかねないとの懸念がある。

 政府・与党は来年の通常国会で、農業対策を盛った2015年度補正予算や16年度予算を成立させる考え。参院選前に農業票をつなぎ留める狙いがあるが、交渉がまとまらなければ、予算編成の準備にも支障を来す。」

 

米国と同様に、来年7月の参院選を睨んで、できる限り早期に、批准と関連法案の成立を図る一方で、その影響を緩和する政策を準備して選挙に臨みたい、ということのようです。

コメや牛肉、豚肉、乳製品といった関税や輸入枠の問題は、まだ政策的に影響緩和の余地があるのかもしれませんし、その交渉の具体的攻防の内容は、守秘対象といいつつも、かなり報道されています。

 知的財産権の中でも、新薬データの保護期間の話は、かなり具体的に議論の内容が漏れています。ところが、同じ知財でも、著作権の交渉内容は、保護期間を70年に延長、戦時加算撤廃、非親告罪化という方向で調整、ということだけは聞こえてくるものの、具体的例外措置や各国の裁量範囲等については、ちらちらと断片的、抽象的に報じられるほかには、ほとんど漏れてきません。

 

米国の場合は、著作権の問題は、現状変更になるわけではありませんし、議会の議員たちには、厳しい守秘義務をかけた上で、交渉内容を開示していますから、その上で、大統領に包括的交渉権限(TPA)を与えた、という経過です。大筋合意に至れば、短期間での署名、議会承認に至るということは理解できます。

 しかし、日本の場合には、TPP交渉の内容は、国会議員には一切開示されていませんし、著作権の問題は、これまで侃々諤々の議論がなされ、まとまらなかったという経緯のある大論点であるわけですから、そのような過去の議論を踏まえて、反対派や慎重派が余程納得できる例外措置や裁量の余地、影響緩和策が示されなければ、関連法案は通らなくなる可能性があります。というか通らないでしょう。

著作権に限らず、政策変更により不利益を受けた企業が国を訴えることができる制度などは、国家主権の根幹に関わりかねない制度ですから、TPP協定で合意されたからといって、何らの実質的な国内的議論もなく、右から左に制度を作るわけにはいかないでしょう。

 

日経の記事にあるような当初のスケジュール感(秋の臨時国会で批准、関連法案成立)だったとすれば、大筋合意がなされたら、すぐに法案が作られないと、間に合わないでしょうから、文科省では既に法案提出の準備をしていることでしょう。

しかし、その著作権法改正案が、大きな反対にあって立ち往生してしまっては大問題になりますから、ちらちらと報じられている如く、悪影響を回避できるような例外措置、適用の限定等が、実は交渉の中では確保されているのではないか?・・・という期待を抱きたくなります。

もしそうでなくて、現行制度のままでの70年への単純延長 限定なしでの非親告罪化ということだったとして、それで外圧の台詞で法案を通せると思っているとすれば、それはいくら何でも無謀というものです。国民的関わりがある話ですから、反対論、慎重論の議論は盛り上がり、文科省のせいで、法案が立ち往生ということになると大変な事態です。 


あるいは、安保関連法案と同様に、一括法で審議がなされるとすれば、なお、イエスかノーかの話になってきて、反発は強まります。ただでさえ、オリンピックの新国立競技場建設問題では大きな責任問題となっていますから、著作権法改正がうまくいかなければ打撃も大きいでしょう。

コメや肉など農業関係は政府全体がその影響緩和策、支援策などが検討されますが、著作権法の話は、そういう全政府的検討は期待できないと思われます。むしろ、クール・ジャパンで海外への日本のコンテンツの「輸出」促進に向けてメリットがあるとか、「国際標準」に即した改正や海賊版撲滅に向けた対応強化は、歓迎すべきではないか・・・といったムード論に押されてしまいがちでしょう。

 

実際の交渉内容がどうなのかは外部からはわかりませんが、十分な例外措置、各国の裁量の余地、悪影響が及ばない限定等が、しっかりと確保されているであろうことを期待したいところです。

 

ただ、そういう審議スケジュールだとすると、著作権法改正について反対、慎重の立場から、総論的反対(TPP交渉からの除外、交渉内容の開示+従来の慎重論)だけでは対応できなくなります。前にも書いたように、もし交渉が決着してしまったならば、すぐにその悪影響を回避するような措置を提案し審議会等の場で実現を図っていくことが喫緊の課題となってきます(それが許されるような合意内容であることが前提ですが・・・)。その面での議論がもう始まってもいい頃だと思うのですが・・・。

 

ただ、もしこれで8月中の大筋合意がなくなれば、もう政府や経済界が懸念したとおり、「漂流」してしまって、次の交渉は2年先・・・ということになれば、話は仕切り直しになりますし、著作権の議論も先送りになってしまうかもしれません。

しかし、仮にTPP交渉全体がそうなったとしても、著作権制度の利用促進、死蔵化阻止に向けた具体的方策の議論は、急ぐ必要があると思います。孤児作品問題は、保護期間の長短とは関係ないですし、権利者の所在登録義務化、簡易・低廉な所在探知、みなし死亡認定(又は死亡推定)、100歳以上の長寿者表彰を活用した死亡推定、国会図書館による探知代行等等、智恵を絞るべき時期に来ていると感じます。

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