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 TPP交渉が決着し、大筋合意に達しました。

 大きく分けて、次のような柱になるかと思います。
 
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1 全体合意は次の3点。
保護期間の死後70年への延長
 非親告罪化
 懲罰的賠償制度の導入
 
2 2国間合意では、戦時加算廃止は米国との間では無い模様。
 他方、米国等との間の戦時加算の廃止の件は、二国間合意文書の概要を見る限りでは、
米国との間では含まれておらず、豪州との間では含まれている様子です。内容は発表資料では書かれていません。
 
3 その他気になる点
(1)米国との二国間合意の中で、「日本政府が著作権の私的使用のための複製の例外に関する検討を再開すること」との一文が入っています。何を意味するのかよくわかりません。技術的保護手段による保護の話なのかどうか・・・不明です。少なくとも「例外の検討」ですから、私的使用が可能な範囲を狭める方向のニュアンスであることは確かでしょう。
(2)「第29章.例外」という項目があって、「締約国に対するTPP協定の適用の例外が認められる場合について規定している。」と書いてあります。ここで、著作権の保護期間等で何か裁量の余地が生まれるような根拠があるのかどうか、気になります(おそらくないでしょうが・・・)。
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 非親告罪化の歯止めのところは、日経新聞が7月に報じていた通りですので、想定の範囲内ですが、保護期間の70年への延長は、事前の報道では、例外や裁量の余地を残すようなことが言われていましたから、それがないらしいのには驚きました。
 米国内でも保護期間延長には慎重な声があったわけですから、もう少し交渉のしようがあったのではないのかな・・・というのが正直なところです。
 いずれにしても、今回のTPP大筋合意を契機に、懸案、課題の総洗い出しと、合意の枠組みの中で最大限対応できる対策の実施とを、早急に行っていくことが必要だと思います。もう、すぐにも法案作成が始まりますから、悪影響防止の対策の要請も早期に行う必要があります。
 
 国会承認案(+関連法案)の提出は、各国の協定署名がそろうことが前提となるそうですが、米国が合意後の議会通知から署名まで90日間の期間が必要という法的縛りがあるそうですので、どんなに急いでも来年年明けの1月になってしまいます。新聞報道では、秋の臨時国会を越年延長又は通常国会の冒頭で提出・審議することを考えているとあります。
 しかし、そんな短期間で審議ができるものなのか、はなはだ疑問です。本来は、そのような課題の洗い出し、悪影響を抑えるための措置とをセットで講じて行かなければならないはずです。
 
 TPPでは、農産物、畜産物の輸入の話ばかりに目が行っています。今日の新聞見ても、その話で埋め尽くされています。それらは、国を支える食料基盤の存続に関わる話ではありますが、財政的な支援措置等によりかなりカバーできる性格のものです。しかし、例えば懸念されていた、海外の投資家が政府をその制度変更で不利益を受けたとして訴える仕組みとか、本件のような権利関係の変更等は、金銭的、経済的手法ではカバーすることが難しい分野です。幸い、前者の政府を投資家を訴える仕組みについては、一定の歯止め措置が取られたようですので、主権を侵されるような事態にはならないようです。
 
しかし、著作権の保護の関係は、一国の文化基盤の行く末に直結する話です。そういう意識で捉えられていないような気がします。保護期間の70年への延長の件は、以前の国内での論議の際には侃々諤々になって、結局見送りになったわけですから、単にTPPでこう決まったからといって、何も歯止め措置やバランスをとるような措置を講じないままに押し切ろうとするのであれば、大きな反発を受けることは必至です。
総理や官房長官ら政府の幹部らは、TPP対策本部を設けて、選挙に直結する農畜産品関係のところのカバー、支援で頭がいっぱいで、著作権の話などは、国際的相場に合わせただけだから問題にならないだろう、と踏んでいるとしたら甘いと思います。
よほど慎重に、危機感を有する人々を納得させるような仕組みを同時に講じないと、波乱要因になる可能性があります。青空文庫・・・といっても、政治家の皆さんにはピンと来ていないと思いますが、それに多大な影響を与えることになりますから、無党派であっても一般の文藝愛好家の人々の反発を食らいかねないリスクをはらんでいます。
 
 以下順次、関心事項について、コメントしてみたいと思います。
 
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【資料】
 
●全体合意
著作権
著作権に関しては次のルール等が規定されている。
著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。
自然人の生存期間に基づき計算される場合には、著作者の生存期間及び著作者の死から少なくとも70年
自然人の生存期間に基づき計算されない場合には、次のいずれかの期間
(i) 当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾を得た最初の公表の年の終わりから少なくとも70年
(ii) 当該著作物、実演又はレコードの創作から一定期間内に権利者の許諾を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創作の年の終わりから少なくとも70年
故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。
著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。
 
協定概要(仮訳)
 
「著作権について、本章は、歌唱、映画、書籍、ソフトウェア等の著作物、実演及びレコードに対する保護を求める約束を定めた。これらの約束には、技術的な保護手段及び権利管理情報に関する効果的で均衡のとれた規定が含まれる。これらの約束を補完するために、本章は、特に、正当な目的による例外及び制限(デジタル環境におけるもの含む。)を通して、締約国が、著作権制度における均衡を継続して達成するよう努める義務を含む。本章は、締約国にインターネット・サービス・プロバイダに関する著作権に係る免責措置の枠組みを創設し又は維持することを求める。これらの義務は、締約国に対して、インターネット・サービス・プロバイダがそのシステムにおいて侵害行為を監視することを、その免責措置の条件とすることを許容するものではない。
最後に、TPP協定の締約国は、例えば、民事上の手続、暫定措置、国境措置並びに商業的規模による商標の不正使用及び著作物又は関連する権利を侵害する複製に対する刑事上の手続及び刑罰を含む強力な権利行使の制度を定めることを合意する。特に、TPP協定の締約国は、営業上の秘密の横領を防止するための法的手段を定め、営業上の秘密の盗取(サイバー窃盗の方法によるものを含む。)及び映画盗撮に対する刑事上の手続及び罰則を規定する。」
 
第29章.例外
締約国に対するTPP協定の適用の例外が認められる場合について規定している。
 
●二国間合意
 
案件:著作権保護期間(日本−豪)
概要:著作権保護期間についてのサンフランシスコ平和条約上の日本の義務に関する二国間の書簡
 
案件:保険等の非関税措置に関する並行交渉(日本−米国)
○知的財産権
両国政府は、TPP協定の関連規定の円滑かつ効果的な実施のために必要な措置をとること、日本政府が著作権の私的使用のための複製の例外に関する検討を再開すること、及び両国政府が著作権等の知的財産権の保護の強化に向け取組の継続の重要性を認識することとした。
 

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