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 TPP関連の記事もたまってきて、これからもかなり書いていくことになると思いますので、カテゴリーを新設しました。
 また、関連して、「孤児作品問題」のカテゴリーも追加しました。
 左記のカテゴリー一覧をご覧ください。

【補足】2015年10月13日 これまでの関連記事を集めて目次をつけ、トップページに掲載しました。大筋合意内容を踏まえて、今後、考察、提言を行いたいと思っています。

 こういうことは、もっと早くやればよかったのですが、何かと先延ばししてしまう性格には困ったものです・・・。ほんの20分程度で終わる作業なんですが・・・。
 さて、それで、カテゴリーの整理をしていて、感じましたが、時間が経つのは速いですね。あれだけ問題となっていた「出版者の権利」問題で議論がなされていたのは、もう3年以上前なのですね。

 あの「出版者の権利」問題は、本当に大げさではなく、著作権制度の根幹をあわや崩すかという危機でした。TPPでの著作権の問題など、それと比べれば、ごくごく軽微な話です。

 ・著作権者は、実質的に出版社の同意を得なければ、その作品を他で出すことができなくなる(手元に最終原稿など普通はなく、継承されて数十年たてば散逸してしまうから、他では実質出せない)。
 ・著作権が切れた作品であっても、そこから別の書籍を起こすことは、出版社の許諾をとらないとできなくなる。底本に基づいて次の書籍を出すことも勝手にできなくなる。
 ・青空文庫も、書籍から起こす以上、そもそも作業ができなくなる。青空文庫自体にも権利が生じて、それを他の書籍で利用する場合などは、青空文庫の許諾が必要になる。
 ・自費出版して、コストも作業も自分で負担したとしても、出版社に一律に権利が発生してしまう。

 等々、TPPどころではなく、著作権のオールマイティが崩壊し、出版社がすべてを仕切る世界になってしまうところでした。世界でこんな制度を設けているいる国はもちろんありません(米国の出版社優位は、契約ベースのものです)。
 作家の皆さんは、海賊版や侵害品の対処を自分でやるのは面倒だから、出版社がやってくれるのであれば、出版社に権利を与えるのは大賛成だ、という、もう本当に信じられないような立場をとったことも、また危機的状況でした。
 侵害への対処などは、差し止めを考えるから面倒なのであって、警察に簡単な告訴状を一枚提出すれば、警察がやってくれます。そこでの証拠資料を民事対応で使えば簡単な話です。

 そもそも、出版社が必ず侵害対応ををしてくれるかといえば、義務ではないのですから保証の限りではなく、にも拘らず、契約ベースではなく、法律で一律に出版社に権利を与えるというのですから、こんな理不尽な話はありません。いちいち、「契約で決めるのは面倒だから、法律で決めてもらったほうが楽でいい」と、著名な作家が審議会で発言するのですから、唖然茫然です。
 経団連が登場し、中山信弘先生らの賢人会合ができて、やっと電子出版権という常識的な線で収束し、ことなきを得ましたが、こういう出版社主導の議論が、著作権の審議会や政治家主導の研究会で延々と続いたことは、文字どおりの著作権制度の危機だったと言えます。

 海賊版対応を出版社もできるようにする、ということが本当に目的だったのであれば(実際にはそうではなく、海賊版対応を名目にして、米国式の出版社がすべてを握る制度にしたかったのだと思いますが)、不正競争防止法で、商標や商品形状のデッドコピーの頒布等を刑事罰の対象としている枠組みに、書籍・漫画のデッドコピーを加えれば済んだ話です。
 定義条文に一行加えれば、あれこれ議論していた話は一挙に解決しますし、著作権がない作品でも海賊版が出回るのは保護したいという場合(楽譜や、著作権切れ作品の新刊など)も、刑事罰対象とすることができます。それで、著作権には一切の変更はありませんし、出版社も営業上の損害を受けた者として告訴ができるようになります。
 海賊版対応を、すべて著作権法の世界でやろうとしたから、あれだけの混乱を招く議論になってしまったのであり、知的財産権法というより大きな視野に立てば、不正競争防止法での対応もすぐに思いついたと思います。こういうところは、省庁の縦割りの弊害も影響しているのだろうと思います。

●そういう著作権制度の危機だった「出版者の権利」の議論のことを考えれば、TPPの著作権関係の問題などについては、制度自体の枠組みを崩す話ではなく、非親告罪化で歯止めは然るべくなされるでしょうから、残る保護期間延長などは、関係者の知恵と工夫次第で、どうにでもなる世界だと正直思っています。

 法定損害賠償制度、追加的損害賠償のところは、筋と実態からいえば、導入は当然ではないかという気がします。これまでは、勝手に使って侵害しても、使用料相当の賠償金しかとれなかったわけです。弁護士その他訴訟費用を考えれば、大幅赤字で、泣き寝入りになってしまいます。罰金はあるとしてもそれは著作権者に入るわけではありません。そうすると、構図としては、強制使用権を認めているに等しいわけです。許諾なく使って、もし損害賠償を請求されても、使用料相当額を払えばいいというのであれば、そういうことになってしまいます。
 それではいけないのであって、やはり、使用料相当額はもちろん、一定の懲罰的意味合いの賠償額が加算されなければ、侵害に対する抑止力にはなりません。

 コミケ、同人コミック誌等で、第三者から告発されて立件され、高い損害賠償金を払わなければならなくなるのではないか? という不安があって、警戒されているのだろうと思いますが、前回記事で書いたような、非親告罪化への歯止め措置がきちんと入れば、それらは杞憂に終わることでしょう。
 「著作権者の経済的利益を著しい侵害が生じている」という要件であれば、それを第三者が立証することは難しいことです。今でも、権利者が損害賠償請求するときにその被害額を算定することが難しいのですから、材料をもたない第三者がそれを立証して告発することは無理でしょう。
 そして、著作権者が明示した意思に反する場合は、立件できないとすれば、赤松先生らが考案されている同人マークなどによって、法的な歯止めになり得ます。

 そういうことで、非親告罪化の問題が解決すれば、あとは、保護期間延長についての制度運用の工夫です。
 残念ながら、現状制度の延長のようなので、50年超の場合に登録制や課金制を導入できるようにすることは困難のようです。
 そうすると、「死後」という場合に、一定の要件に当てはまる場合に、「死亡したものとみなす」というやり方を考えればいいのだろうと思います。
 本当は、「変名又は無名の著作物」と同様に、「公表後」の計算にできればいいと思いますし、権利者不明という実質では同じなのですからそれでいいと思うのですが、ベルヌ条約や今回のTPP協定上、そこまでのことは難しいのかもしれません。
 孤児作品問題は、保護期間の長短に関わりなく発生する問題ですから(問題がより悪化するという意味ではその通りですが)、別途の問題として検討することが必要と思います。
 これまでも、いろいろと工夫の仕方の案を書いてきましたが、今回のTPP合意受けて、改めてありうる方策を書いてみようと思います。

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