しみじみと朗読に聴き入りたい

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図書館情報ポータルで、著作権法の裁定制度の改善のための告示改正について意見募集がなされてる旨の紹介がありました。
 
 それで、リンク先に行くと、「電子政府の総合窓口(e-Gov)」で募集されています。
 15日募集開始で、23日までだそうです。
 
 
 TPP対応の中で、併せて検討すると言われて項目にしては、あまり注目されていないように感じます。文化庁のサイトに意見募集が告知されておらず、e-Govサイトにしか載っていないことも原因ではないかと思います。
  文化庁のサイトのパブリックコメント募集欄には、募集中のものはない、と書かれていますから、ミスリードです。

 青空文庫でも、特に紹介していないようです。
 
 それで改善内容はどういうものかというと、以下に書いてあります。文化庁の裁定実績に関する総合データベースにアクセスして確認することも、著作権者探索方法の選択肢として加えるというものです。
 
 裁定制度は、これまでも逐次改正がされてきています。
 
 権利者不明の場合の探索の容易化という点では、一歩前進だとは思いますが、これらだけでは、孤児作品問題の根本的解決にはつながらないと思います。
 裁定制度だけをいじっていても、残念ながら孤児作品問題の根本的解決にはなりません。
 
 のちほどご説明したいと思いますが、パブリックコメントを提出しようとしている方もいると思いますので、ポイントだけご紹介したいと思います。私も提出してみようと思います。
 
1 問題点①:死亡が確定しないため、未来永劫、使用料を支払い続けなければならないこと。

 あくまで権利者とその所在不明な場合の、「簡便な」探索をし、許諾を得なくても利用できるという制度ですから、死亡が判明しない限り、未来永劫、使用料を払い続けなければなりません(それらは、最後は国庫に入ります)。
 常識的にみて、とっくに亡くなっているだろうと思われる場合でも(幕末、明治初期の生まれであっても)、死亡が確定しないため、使用料は払い続けなければなりません。国に寄付を続けるようなものです。
 ですから、死亡をみなし的に確定させる(あるいは推定する)仕組みを導入することが必須です。
 
 2 問題点②:国会図書館や他人が裁定により権利者不明で作品を利用していることがわかっていても、改めて、手続きを踏まなければならないこと。

 一見すると、文化庁の裁定実績に関する総合データベースで確認すれば、改めての裁定申請はする必要がないのではないか?という印象を受けるのですが、そうではありません。
(1)  権利者情報を掲載する資料の閲覧
(2)  広く権利者情報を保有していると認められる者への照会
(3)  公衆に対する権利者情報の提供の呼びかけ(日刊紙又は著作権情報センターのウェブサイトへの広告掲載)
のうち、上記(1)(2)が、文化庁データベースの閲覧や文化庁への照会で代替できるというだけで、(3)の広告掲載も求められます。これは、著作権法施行令の第7条の7において、(1)〜(3)の全ても措置をとることが義務づけられています。


 国の組織として近代デジタルライブラリーという作品データベース構築のために、大量の著作権者、作品について、文化庁の裁定を受けてインターネット公開している国会図書館でも探索しきれなかったにも拘わらず、また改めて探索を強いるというのは、どう考えても不合理です。
 これを回避するためには、現に権利者不明で裁定利用されている場合には、その裁定の第三者効を認めることが必要です。株主代表訴訟や消費者団体訴訟のように、株主や消費者団体が訴訟を起こした場合に、その判決は、株主全体、消費者全体に効力が及ぶという前例となる制度があるわけですから、それに準じた制度の導入は検討に値すると思います。
現実的には、国立国会図書館が裁定利用している場合には、その効力は全国民に及ぶとする案が適当だと思われます。
 
 今、気がつきましたが、もしかすると、平成26年の改正で、「第三者に利用させることを内容とする裁定申請が可能」とされていますので、これによって、例えば国会図書館が、「全日本国民の無償での利用」といった申請をすることも可能なのでしょうか? 「手引き」には書かれていませんが、もしそれが可能であれば、大きな前進になります。
 
 あるいは、朗読で言えば、朗読仲間、団体で、代表者が申請して、その構成メンバーが利用するということで申請することも可能であれば、構図はがらりと変わってきます。例えば、誰かが任意団体を作り会費無料で会員を募り、代表者が会員が無償利用することを内容とする申請をすることが認められるのであれば、初期費用の2万円というのは、高くないかもしれません。これらの点を確認する必要がありますね。
  
3 問題点③:一般には使用コストが高すぎること。


 平成26年の改正以前は、5年ごとの更新であり、改めての裁定申請が必要でしたが、改正によって、使用期間は自由に定めることができることとなり(永久でも可)、広告掲載の著作権情報センター(CRIC)のウェブサイトでの広告掲載料も、8100円とほぼ半額になりました。今回の改正により,掲載期間も30日以上から7日以上へと短縮されました。したがって、更新費用は事実上なくなり、初めて使う場合の初期コストだけとなりましたので、その点では大きな前進です。
 また、以下の「手引き」を読むと、この裁定申請は、著作権者単位ではなく、作品単位であるように規定してありますが(施行令の第8条1項二号では、「著作物の題目」と書かれています)、複数作品と一括で申請することもできるそうですので、その作家等のすべての作品名を並べて申請することも可能になっています。


 こういった一連の改善措置により、トータルの使用コストは下がってきたことは確かですが、しかし、それでも一般には高いです。
 申請手数料は、1申請で13000円です。これにCRICへの広告掲載料が加わりますので、合計21100円となります。その作家等の全作品をこれで利用できるようになるのを,高いとみるか安いと見るかは、法人か個人かで違うでしょうし、個人であっても評価は分かれるでしょう。
 しかし、上記の通り、常識的には死んでしまっていると思われる場合でも、また、国会図書館が探索しても見つからなかった場合でも、改めて申請し、利用する限り、未来永劫、使用料を支払い続けなければならないというのは、納得がいかないと思います。
また、著作権情報センターのウェブサイトに掲載したからといって、昔の人であれば、見つかるはずがありません。実質的に効果があるはずがない広告のために、センターに8100円を支払わなければならないというのは、こういう言い方は嫌らしいかもしれませんが、外郭団体の収益源確保のためではないのか?とも思えてきます。


電子書籍にしても朗読オーディオブックにしても、ネットでの有償配信の場合には、その利用実績の報告や使用料の支払いは大変な負担です。青空文庫や朗読ボランティアによる無償配信であれば、年々の使用料は支払う必要はないのかもしれませんが、それでも個人がそのために、初期費用として、1申請(=1作家と実質的にできる)2万円以上負担し、煩雑な手続きを踏むというのは、現実的とは思われません。
そもそも、権利者の生死、所在不明の場合には、ほとんど忘却されてしまっている著作者が多いと思います。そういう著作者の作品を、営利対象としても売り上げは期待できず、利用するとすれば、青空文庫的な非営利組織や、個人のボランティアではないかと思います。しかし、それらの皆さんにとっては、この煩雑な手続きと初期コストとは、ハードルが高いと思われます。
 
やはり、権利についての基本原則として、「権利を行使しない者は保護されない」ということがあります。郵便貯金その他銀行預金でも、10年以上放置しておくと、国庫に入ってしまいます(少なくともそういう建前です)。空き家も放置して危険な状況になると、取り壊しの対象となってしまいます。
権利の登録制だと、著作権の基本を損なうということであれば、生死、所在を登録させて、その登録がなければ、「死亡しているものと推定する」「相続人もいないものと推定する」という規定の仕方は、十分あり得ると思われます。相続人がいなければ。著作権の場合は国庫には入らず、消滅します。
 
こういったことも含めて、智恵を絞って、本当に利用促進になるような制度的環境整備をお願いしたいと思います。
 

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