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ヨーロッパ征服を夢みる、ある国家の元首が、小さなスイスを武器で従わせるのは無駄だと判断することは、だれにも納得できる話である。単なる宣伝の力だけでスイスをいわゆる「新秩序」の下に置くことができると思われるときに、少しばかりの成果をあげるために軍隊を動かしてみたところで、何の役に立つだろうか。
国を内部から崩壊させるための活動は、スパイと新秩序のイデオロギーを信奉する者の秘密地下組織をつくることから始まる。この地下組織は、最も活動的で、かつ、危険なメンバーを、国の政治上層部に潜り込ませようとするのである。彼らの餌食となって利用される「革新者」や「進歩主義者」なるものは、新しいものを待つ構えだけはあるが社会生活の具体的問題の解決には不慣れな知識階級の中から、目をつけられて引き入れられることが、よくあるものだということを忘れてはならない。 数多くの組織が、巧みに偽装して、社会的進歩とか、正義、すべての人々の福祉の追求、平和というような口実のもとに、いわゆる「新秩序」の思想を少しずつ宣伝していく。この「新秩序」は、すべての社会的不平等に終止符を打つとか、世界を地上の楽園に変えるとか、文化的な仕事を重んじるとか、知識階級の耳に入りやすい美辞麗句を用いて・・・・・・。 不満な者、欺かれた者、弱い者、理解されない者、落伍した者、こういう人たちは、すべて、このような美しいことばが気に入るに違いない。ジャーナリスト、作家、教授たちを引き入れることは、秘密組織にとって重要なことである。彼らの言動は、せっかちに黄金時代を夢みる青年たちに対して、特に効果的であり、影響力が強いから。 また、これらのインテリたちは、ほんとうに非合法な激しい活動はすべて避けるから、ますます多くの同調者を引きつけるに違いない。彼らの活動は“表現の自由”の名のもとに行われるのだ。 (スイス政府編『民間防衛』) 廃墟と窮乏の中、生活に追われ、虚脱状態に襲われ、欺瞞を正すのに疲れ果て、流れに身を任せ、次第に沈黙していく。占領下、日本人は生きるために必死であった。そして、貧しさに耐え、苦しみを噛み締め、復興を成し遂げたのだった。 しかしながら、GHQによって作り出された「装置」は、占領が解かれ半世紀となるいまもなお、休むことなく動き続けているのである。 公職追放から逃れるため自国の歴史を侮蔑し、占領政策に協力することによって自己を保身した見苦しき者。日本の歴史を歪め、伝統を破壊し、国民を分裂させることによって革命またはイデオロギーを拡張しようと夢みて祖国を見失った者。あるいは、戦犯として抑留され、「人道的」で「暖かい」待遇に、大きな「感動」と「反省」とを呼び起こされ、過去の罪を「告白」して「謝罪」することに目覚めた語り部たち。彼らは、それぞれの思惑から、その「装置」を動かし続けた。 日本国内に日本人の敵を作りだし、日本を内部から蝕ませ、弱体化させるというGHQの政策は見事なまでに成功した。それは、彼らが望んでいた以上の効果であったのかもしれない。「装置」によって産み落とされた者たちが無自覚に、「装置」を利用しようとする者たちが自覚して、ことさらに国を恨み、日本人として生まれたことは恥辱であるとさえ信じるような者を次々と作り出していく。 いま、われわれはこの「装置」が具体的に、どういったものなのか、どのような効果があるのか、だれによって動かされているのか、そのからくりを見抜き、これを克服しなければならない時にある。「日本」を取り戻すために。 |

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