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中山和記です。 本日よりドコモ、明日からau(WINは来週)で、劇作家 小川未玲さんの『王子さまの梅干し』が配信開始されます。 今回は、小川未玲さんご本人に登場いただいて、作品完成までの裏話を書いていただきます。 『王子さまの梅干し』創作日誌 小川 未玲 ●2004年12月×日 某劇団制作部Aさんのご紹介で、「携帯小説」の詳細について伺うため共同テレビへ。 担当の方から丁寧なご説明を受ける。が、うまく頭に入ってこない。 このオフィスが11階という高所にあるためだ。 窓の外が気になる。さっきまで元気にてくてく歩いていたはるか下にある地面が懐かしい。 地面恋しさのあまり、あの窓から身を乗り出してしまったらどうしよう。 こんな心落ち着かない高い所で毎日働いて、共同テレビのみなさんは大丈夫なのか。 などと気をもんでいるうちに「それではよろしくお願いします」と会合が終わってしまった。 企画の資料をもらえたからよかったものの、危うく怖い思いをしに来ただけになるところだった。 ●2005年3月×日 いつものんびり芝居を書いている自分には珍しく、昨年は新作二本と再演一本の上演があったので、 年明けから抜け殻のようになっていたが、地獄の確定申告を終え、ようやくプロットに取りかかる。 まず、先方よりご指定の「ミステリー」か「恋愛」いずれかのテーマを消去法で選ぶことにする。 「ミステリー」は書いたことがないし、書けるような気もまったくしないので消去。 「恋愛」もあんまり得意じゃないなあ、なにしろ「喜劇」が専門だし、と「恋愛」を消去。 するとテーマがなくなってしまったので、あわてて「恋愛」の消去を取り消す。 とりあえず、音信不通のお詫びを兼ねて共同テレビのI氏に連絡。 あんなに高い所で働いているとは思えない落ち着いた親切な応対にひと安心。 ●2005年4月×日 またあの恐ろしいオフィスで打合せ。 タイトルは『王子さまの梅干し』。 よく「白馬に乗った王子さまが迎えに来てくれる」などと言われるが、 本当に突然王子さまが来ちゃったらどうなるかという内容であることをお話しする。 テーマの「恋愛」からは微妙にずれていうような気もするが、ご同席くださったO氏もI氏も、 その点には触れなかった。 お二人とも高い所で働いているせいで注意力が落ちているのではなく、きっとお心が広いのだろう。 ●2005年4月×日 登場人物4人のプロフィールとあらすじを提出したところで頭を抱える。 「小説」を書くつもりでいるにもかかわらず、普段、芝居を書いているせいか、 「せりふ」しか頭に浮かんでこない。 思いきって「シナリオ形式で書かせてください」とI氏にお願いすると、快諾のお返事。 気の緩みから「連休明けにできた分だけお送りします!」と約束。 ●2005年6月×日 「連休明けとは言ったけれど、ゴールデンウィーク明けとは言わなかったもんね…」などと 心の中で屁理屈をこねながら、ようやく本編に着手。 この間も別に怠けていたわけではなく、「梅干しの作り方」「馬のすべて」「草木染め百科」 「大鏡」「君主論」「恋愛論」「中世の暮らし」などを読み漁っていたら、勝手に季節が過ぎていったのだ。 いつものことだが、これらの参考資料でどれだけ下準備となる勉強をしても、本当に勉強なんか したのか疑わしいほど、たわいのないとぼけた物語が出来あがってしまうのはなぜだろう。 ●2005年7月×日 やっと第1話を送信。すぐに折り返しの連絡をいただく。 てっきり遅れを怒られるものと思い、居留守を使おうか一瞬迷ったが、恐る恐る電話に出ると 「脱稿はいつ頃になりそうですか?」というI氏の爽やかな声。 私「7月の土用(20日頃)の話なので、リアルタイムで読んでもらえたらいいと思うんですよね」 I氏「ああ、それは最高です。いいですねえ」 私「ねえ……」 I氏「ええ……」 電話の向こうでI氏が、私と同じく遠い目をしているのが見えるような気がした。 ●2005年8月×日 半分ほど書き進めたところで大変なことに気がつく。 一話分の字数を間違えている……。 一回分の規定の倍近い文字数で書いていた。どうりで書いても書いても回数が増えないわけだ。 急いで書き直し、I氏に事情を説明して謝罪する。 I氏は笑って許してくれた上に、3話までしか書けていなかったはずが一気に6話まで増えたことを喜んでくれた。 その懐の深さに、高所で働く人への偏見を改める。 ●2005年9月×日 ついに決定稿を送信。 息抜きに読んでもらうのにはちょうどよい愛すべき作品になったのではないかと自負するが、 新作の出産直後で親バカホルモンが分泌されているだけかもしれない。 I氏から早々の返信。 「ありがとうございます!お疲れ様でした!つきましてはプロモーション用にブログの原稿を 書いていただけませんか?急で申し訳ないのですが、〆切は今週末です」 今週末……。期限に遅れ続けた自分に責任があることはわかっているが、やはり高所で働く人 に油断は禁物のようだ。 『王子さまの梅干し』作品紹介 <願い事をする時は、気をつけたほうがいい。叶ってしまうかもしれないから> キヌさんと桃子の前に突然現れた、中世の「白馬の王子さま」。 「梅御殿」と呼ばれる古いお屋敷で繰り広げられる、現代の大人のファンタジー。 小川未玲ワールドがゆるーく展開される、ほのぼのとした名作です。 小川 未玲(おがわ みれい)プロフィール 1967年、神奈川県生まれ。 女子美術短期大学卒業。 93年、テアトル・エコー戯曲募集において「深く眠ろう死の手前ぐらいまで」で佳作入選。 新進気鋭の劇作家として、主にテアトル・エコーで活躍。 ●主な作品● 『お勝手の姫』(1998年/テアトル・エコー) 『やっかいな楽園』(2000年/テアトル・エコー) 『ちゃんとした道』(2003年/テアトル・エコー) 『涙で頬が傷だらけ』(2003年/テアトル・エコー) 『もやしの唄』(2004年/テアトル・エコー) 『ジュリエットたち』(2004年/劇団昴ザ・サードステージ) 『王子さまの梅干し』はこちらで読めます! NTT Docomo「どこでも読書」 【iMENU】→【メニューリスト】→【TV/ラジオ/雑誌/小説】→【小説】→【どこでも読書】 au「どこでも読書」(WIN) 【EZトップメニュー】→【EZサービスで探す】→【電子書籍】→【総合】→【どこでも読書】 au「快読!ケータイBookクラブ」 【EZトップメニュー】→【カテゴリで探す】→【TV・メディア】→【マガジン】→【快読!ケータイBookクラブ】
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2005年09月15日
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