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伊勢の続きの話であるが、伊勢神宮の内宮のご参拝の後の更なる楽しみは「おはらい町」での散策である。
ここには「赤福」の本店があり、所謂江戸時代に伊勢商人たちが参拝客のために御もてなしをした所である。
伊勢商人と近江商人はかって、堺の商人とともに江戸のライフラインを作ったのであるが、さて突然であるが、ここで近江商人に注目してみることにする。
特に近江商人は「三方よし」の精神が有名で、「三方よし」は、明治になってから井上政共編述『近江商人』のなかで、
「他国へ行商するも、総て我事のみと思わず、その国一切の人を大切にして、私利を貪(むさぼ)ることなかれ、神仏のことは常に忘れざるよう致すべし」と、簡潔に要約されている。
これを見ても「三方よし」の精神は近江商人の到達した普遍的経営精神を示すものであろう。
中でも近江商人で東本願寺の熱心な門徒であった初代小野善助は、80歳となった元文2(1737)年に遺言を書いているが、そのなかで
「人間は人の情が分らなければどこにいても暮らし難いものである、常に相手の身に良かれと心がけ、自分の奢(おご)りのためには一銭も使わず、無限の水さえ無駄にしないように始末しながら、北陸や東海地方を行商して、ついに奥州盛岡に開店できた」と述べている。
重要なことは、強い信仰に裏打ちされた勤勉、商いのやり方という個人的要素だけではなく、世間への奉仕の精神が強調されている点なのである。
世界に先駆けていち早く商行為の基礎に、社会の一員という社会認識の重要性を強調する近江商人の到達した「三方よし」の経営精神は、企業は公なりという現代の企業認識とも明白なつながりをもった、長い歴史に培われた経営精神の精髄であるといえよう。
不況に喘ぐ企業が取り戻すべきものは、国家がなす不況対策や商品開発やマーケティングの開発の前に、この長い歴史に培われてきた本質的な「三方よし」の精神を取り戻すことかもしれない。
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