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「最近ね、内陸部で起こる民衆の暴動の数が増えてきているんです。数が増えただけではなくて、質的にも変わってきたようなんです。勿論私もこれについて正確な情報が得られる部門にいる訳じゃあないですから、はっきりしたことじゃあないんですけれど」
「そうですか。 まあ、うわさには聞いていますけれど、質が変わったとは必ずしも理解されていないですね」
「勿論そんなことは、極秘事項だから正式には漏れないはずなんですけれど」
「でも、少数民族や貧民の暴動が少しくらい増えたって、それが今までと違ってきているとはいえないのでしょう?」
「あっ、やっぱり言ったじゃないですか」
「いや、失礼! 失礼!」
「わっはっは、いや、いいんです。 でも、それだけじゃあなくて、食い詰めた連中が徒党を組んで悪さをするようにもなってきているんです」
「ほーお」
「そんなことは開放政策を取り始めたころには考えられなかったことなんです」
「そうか、そうだったですね。もう30年以上も前の話ですね」
「そうなんです。ところがその強盗団が何を、どこからかっぱらうかということが問題なんです」
「ほーお、なぞなぞですか」
「それが今私が一番気にしていることなんです。政府の担当部署の方でも同じことを考えていると思いますよ」
「ふーん、それで」
「彼らが襲うのは昔の強盗団とちがって、政府の財産なんです。そうでなければ国営企業の物資運搬トラックや列車なんです。それこそ大規模な集団なんです」
「へーえ。そりゃあすごい。中華人民共和国政府に楯突くやつがいるんですね。」
「しかもね、そう言うことをやっているのが、チベット人や新疆のウィグルでは無いんです。」
「ほーお、誰なんだろう?」
「中国人自身なんです。 河村さんのいう支那人そのものなんです。」
「中国人だと言っても、集団強盗が捕まったらお宅のお国では死刑でしょうに」
「そうなんです。即刻死刑です。それなのにそういう危険を犯してまで強盗を働くということはよっぽどのことじゃあないかと思うんです」
「密告や盗聴、自白の強要を駆使して犯人を追い詰めるのは社会主義国家のお得意技じゃあなかったのですか」
「ところがそれがなかなか捕まらないんです」
「どうしました、盗聴器が錆び付き出したのですか。メイドインチャイナの優秀な盗聴器を捜してきてあげましょうか?」
「ありがとう。どうです、冗談じゃあ無しにメイドインチャイナも優秀な製品ができるようになったでしょう?」
「いや、確かにそうです。感心していますよ。私が中国から離れていた間に、本当に進歩しましたね」
「そうか、カワムラさんにそれを言われると嬉しいですよ。なんと言ったって私の母国ですからね。ところが、それが盗聴器の問題じゃあなくて、それ以前の問題なんです。正確な情報が集まらないんです。だからそいつらを捕まえることが出来ないんです。どうもそういう奴らは義賊として行動しているようなところがあるんです」
「そしてそれを貧しい人民が後押ししている、とそういう寸法なんですね」
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