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よく考えます。いや、本当に殺すわけではないですが。
家庭での父の地位を奪いたいという欲望は、その必然性の欠如から抱いたことなどなく……
さりとて父はやはり厳然と僕の前に立ちふさがる……
乗り越えるというよりは比肩すべきものの代表として、無防備に、あたかもこちらを意識してさえいないように憮然と、泰然と、僕の意識の中に権力を持ち続けている……
父は農家の長男という出自で地方官吏となり、うだつの上がらない人生を送っていました。少なくとも高校時代まではそう認識し、僕は心中で密かにあざ笑ってすらいました。
「僕が父に負っているのは経済だけだ。しかもそれは経済支配ですらある」
などと若輩特有の地に足の着かない思い上がりを平然としていたのですね。
父はその後大学に通わせてくれ、こうしてうだうだしているだけの僕を、何も言わずに経済支配し続けています。
……………。
経済的自立……ここに打開の糸口があるのは確実です。しかしそれだけで、僕の意識の流れの中に鎮座してそびえる巨岩を取り除くことはできるのか…できるのか…
このような状態で父という男に対峙したとき、今の僕はどうするのでしょう……。
いやね、近々父が僕を訪ねて来るらしいんですよ。目的を告げず。
ううー……戦慄を禁じえません…。
念のため刃物は隠しておこう…。念のため…
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