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わたしはあの日
学校からの帰り道
大好きだった彼にフラれて
ぐちゃぐちゃだったんだ・・・
そしたら
わたしのまえを過ぎ去った車が
すごい勢いでバックしてきて
わたしのまえで止まって・・・
助手席のドアが
ぱたっと開いて・・・
「乗って。」
わたしが躊躇してると
「どこ? どこまで・・駅か?」
せんせいは
車の中で捨て猫の話をしてくれたね
小さい頃
捨て猫をみつけて
でも 家では飼えなくて
泣く泣く りんごだけ置いて
帰ってきたって
そして次の日
心配になって見に行ったら・・・
もう ほとんど動かなくなっていて
どうすることもできなくて・・・
そのとき
なにもできなかったじぶんが
悔しくて悔しくて・・・
医者になったって
だから
じぶんが医者になったのは
あいつのおかげだ・・・なんて
「だから
どんなにつらくても
明日を見ることをあきらめんな」って
そう 言って
コンビニに寄って
タオルと牛乳と傘を買ってくれて
牛乳を温めてくださいって
店員に少し 笑われながら
恥ずかしそうにしてるあなたを見てると・・・
そんなの誰だって
好きになっちゃうじゃん・・・。
ズルイよ
車に戻ると
思い出したように・・・
なんか
きみを見てるとあいつのこと
思い出すんだ
なんかすこし
きみと似ててね・・・
・・・なんて いっしゅん
猫といっしょかよって
思っちゃったけど
そんなこと言われたら
あなたの猫になりたい・・・って
思っちゃうよ
そんなことで本気になって
なる気もなかったナースになって
いつかあなたの・・・なんて
一生懸命になって
あなたと同じ病院に就職して
あなたにもらった名刺のEメール宛に
はじめて勇気を出してメールをして
何気ないやりとりが続いた・・・。
やっと 想いを伝えられる
「会いたい・・・」って誘ったら
あなたは
「俺には家族がいます
だから 会うことはできない」・・・って
そんなの
・・・ないよ
わたしと出会ったあの日・・・
ひとりで弁当ばっかり
食べてるって
いまは仕事のことで
頭がいっぱいなんだ。って
言ってたのに
いつの間に
そんなひとができたの・・・
あの車の中で
今度 急に雨が降ってきたら
今度はわたしが
迎えに行ってあげるねって言ったら
ぼくの仕事は終わるの遅いから
きみはまだ 子供だし
夜来てもらうわけにもいかないしなぁ・・・
また 君がおとなになったらね
・・・なんて
子供扱いして
愛逢い傘・・・
したかったなぁ・・・。
苦しいよ。
先生・・・
この傷に効く
くすりはないの?
苦しい くる・・しい・よ
あっ
また 火曜だ・・・。
前もそうだった
なんで
いつも
わたしが捨てられる日は
燃えるゴミの日なんだろう・・・。
わたし
燃えないよ・・・。
ゴミでもない・・・
でも
かれにとって
わたしは そんな存在だったのかな
過ぎ去ったら
すぐに忘れ去られてしまう
ゴミみたいに
でも
わたしとっては
すごいすごいたいせつにしたかった
思い出なんだよ・・・。
先生にとっては
流れては消えていく
風景の1部だったとしても
わたしにとって
せんせいとの時間は
かけがえのない時間だったから
捨てられないよ・・・。
先生への想いが
未だ・・・
写真のように
こころのなかに散らばっていて
痛い。
ナースコールで
呼んでも 先生には届かないしね・・・。
どうしよう・・・。
もう
わかんなくなっちゃった。
じぶんのなみだで
溺れるなんて
わたしは
ばかだ。
気休めにと
じぶんで入れたコーヒー。
いつか
先生にも入れてあげたかったなぁ・・・。
まずい・・なんて
笑いあったりして。
そんなのが夢だった・・・。
ありふれた夢
でも
もう叶うことのない夢。
不思議だ。
あれだけ泣いていても
散々 泣いて泣いて泣き疲れると
こどもみたいに
眠くなってくる。
気を紛らわせるために
はじめたネットサーフィン
たとえ
ここで眠っても
溺れることはなさそうだ。
ねぇ
この海はどこに
つながっているの?
だれか
おしえて・・・。
ん・・・
なにこれ?
詩・・・。
「愛逢い傘・・・。」
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