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被災地へ続く長いトンネルは、電気が消えていて真っ暗だ。
すれ違う対向車のヘッドライトの向こう、出口が小さく見え隠れする。
乾いた泥がタイヤに巻きあげられて宙を舞い、ヘッドライトの視界は10m程だろうか。
突然ライトの左端に自転車!!
心臓が大きく反応し、僕は急ブレーキを踏んだ。
収束していく鼓動を感じながら、
自動車専用道路の表示に油断していた自分を恥じた。
今は非常時なのだ。
そして自転車が荷を満載していたこと、
さらには前に幼児を乗せていたことに衝撃を憶えた。
支援車両の排気ガスと土埃の中、
人ひとりがやっと歩けるほどの側道を
重い自転車を押して 壊滅した自分の集落へ向かう
彼等の透けるような影はすぐに見えなくなった。
あの幼児は泣いているだろうか?
それとも目を見開いてトンネルの出口を見据えているだろうか?
刻みつけていてくれ そのちいさな瞳に
このトンネルの出口を。
Pray For Japan
僕らが出来ることは小さなことだけれど
この国の未来のために 決して無駄ではないと確信しよう。
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