伊藤哲司の「日々一歩一歩」

茨城大学で社会心理学を担当している伊藤哲司のページです。日々の生活および研究活動で、見て聞いて身体で感じたことを綴っていきます。

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中国から帰国

イメージ 1  早朝、成都の空港から帰国の途につきました。最後まで同行してくれていたゼミ生の蔡さんが、空港まで見送ってくれました。中国の国内線はやたら遅れることが多いようで、上海への便は約2時間遅れ。そのため上海乗り継ぎの時間が1時間ぐらいになってしまい、広い空港を小走りに移動して、帰国便のチェックインを優先的にさせてもらって、どうにかこうにか成田行きの便に乗ることができました。
 今回は、教え子の結婚式出席ということもありましたが、2つの被災地――2008年5月12日の四川大地震と、2013年4月20日の中国四川地震――を歩くことができたことは、とても貴重な経験となりました。中国に渡る直前に、2011年3月11日の東日本大震災の被災地もあらためて歩いていますから、それもいれれば3つの被災地ということになります。災害研究が自分の専門だとは思っていませんが、思いがけずそんなフィールドを渡り歩くようになりました。そして、そういうフィールドからは、当該社会がもともと抱えている問題が顕在化し、人々の生のあるようが、より鮮明に見えてくるということを感じるようにもなりました。
 被災した建物等を基本的にはすべて取り壊してしまおうという日本のあり方に対し、それを「遺跡」とし「観光化」の中心としようとする中国のあり方、もちろんそれは表面的で単純な対比だけでは語れませんが、震災の記憶のとどめ方にも、大きな違いがありそうだということが見えてきました。社会主義・中国の党主導トップダウンによる支援の仕方については、迅速に動けるというプラスの側面がある一方で、むしろ体裁を保つ、成果を強調することが、末端まで支援を行き渡らせることよりもときに優先されるということも、少しうかがい知ることができました。個々人の命を軽んじているという批判がありうる一方で、では福島のフィールドなどを見るに、では日本はどうなのか、そんなに個々人の命が尊重されているのかという思いにも囚われます。
 夕べ、ゼミ生と一緒に食事をしながら、彼女は中国人が日本人のことを「冷淡で心がないように思っていることが多い」ということを率直に教えてくれました。私たちもまた、中国人をあるステレオタイプで見ているところがあり、なかには極端に中国人を嫌悪する見方をしている日本人がいることは周知の事実です。互いの無理解を乗り越える術を、私などは「円卓シネマ」(映画を見て一緒に語らう方法)などをつかって考えてきましたが、全体の大きな傾向などそうそう変えられるものではありません。それでも、夕べは成都在住の元ゼミ生が訪ねてきて美味しい四川料理をご馳走してくれたのですが、そういった中国人たちの日本人には真似しがたいもてなしを感じられる1人であり続けたいと思います。
 今回は辛い四川料理が中心でしたが、体調を崩すこともなく、無事帰国することができました。四川にも縁ができたので、また行かないといけないかな。今回の旅で得た糧も、自分のものにしながら大事にしていきます。

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いとうてつじ
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