伊藤哲司の「日々一歩一歩」

茨城大学で社会心理学を担当している伊藤哲司のページです。日々の生活および研究活動で、見て聞いて身体で感じたことを綴っていきます。

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イメージ 1  フエ滞在も残り2日。これまでのベトナム体験の成果を発表する時間を午前中に持ちました。一人ひとり話をしてもらったのですが、みな異口同音にベトナム人たちの距離の近さや、本音で気持ちよくつきあってくれる様などを語っていました。それらはそっくり、私がベトナムとつきあい続けてきた印象と重なります。私自身そんなことをずっと感じ続けて、かつて『ベトナム 不思議な魅力の人々』(北大路書房)という本を出したのでした。
 その拙著の最後に書いたことを、学生たちにも紹介しました。

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 本書を書きながら、私にとっての「ベトナム」を再体験することになった。これもまた私にとって、貴重な機会だった。
 あらためてしみじみと感じたのは、人と人とが出会い繋がっていくことの面白さ、それに豊かさと大切さだ。それが、ベトナムと関わり続けてきた私の、揺るぎようのない実感だ。
 ベトナムにしばらく滞在して日本に戻ってくると、「ああ、日本人って、こんな顔をしてたのか」と思うことがある。何かに感情を押し殺されたような疲れた表情・・・・ベトナムではあまり見ない顔である。
 ある年配の日本人男性と話をしたときに、彼は私がベトナムにときおり行っていることを知って、「でもベトナムは、日本に比べたらずいぶん遅れているんでしょうね」と言った。短い会話のなかで、十回ぐらい「遅れている」と彼は繰り返した。そういう感覚は、多くの日本人がいまだに共有しているのだろう。
 しかし「進んでいる」と思っている私たちの社会は、本当に「豊か」なのだろうか。
 サイゴンの調査でアインさんという男性通訳者が、小雨降るサイゴンで私をバイクの後に乗せながら、「日本人は過労死しそうで大変ですね。ベトナム人は自由なんですよ!」と流暢な日本語で叫んだ。妙な説得力があって、私は何も言えなかった。
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 もちろんすべてベトナムが良くて日本が悪いなんて言うつもりはないし、この本を書いてからずいぶん時間がたって、私のベトナムに対する見方も少しは変化があるのですが、でも基本的にはこの印象は変わっていません。
 さて、フエ外大でのプログラムをすべて終えて、午後はハイバーチュン高校の日本語クラスを訪ねました。白いアオザイ姿の女子生徒も多い華やいだかんじの教室で、まずは通常の日本語授業を見学。そのあと生徒が高校の紹介を日本語で、さらに茨大生たちが日本の震災のプレゼンをしました。小グループで少し話をしたあとは、近くのお店に移動し、フエ外大の学生も加わって総勢50人以上で賑やかに食事をしました。こんなことは私も初めてで、高校生たちも一生懸命日本語を話し交流をしてくれました。隣に座ったドイツ人観光客が「どんな集まりなんですか?」と驚いていました。
 フエ最後の夜の最後はカラオケ屋へ。まあ1回ぐらいこんな時間があってもいいでしょう。日本語の歌も少しあって、学生たちも解放された時間をベトナムの学生たちとさらに交わりながら楽しんでいる様子でした。すっかりみな、ベトナムにはまったようです。かつての私と同じように。

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いとうてつじ
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