月並みですが 簡潔に一言
素晴らしかった!
大和猿楽四座のうち 外山座を源流とする 宝生流
宝生流を鑑賞させていただくのは 初めてでしたが
ぽん多本家の 扉を開いた時のような
ピンとした空気 温かみ 伝統
即座に シンクロしたのでした
導入部 ワークショップで語られた
辰巳満次郎さんの 解説は 能ビギナーの私にとって
最良の 案内人となって それから演じられる 演目の感じ方を
そっと手助けしてくれるものでした
能は 鑑賞回数が少ないので 大きなことは言えませんが
今の時点で シテ宝生和英さんの表現する『三輪』は
最も好きな演目に 急浮上
文楽を鑑賞し始めた頃のように
台本と舞台を 追いながら 鑑賞していると 隣のお席の 和装が
似合いそうな洋装の 2回りくらいご年配の女性が
突然 バックから 取り出した 飴を2つ
台のようにかざしていた台本の
上に ちょこんと2つ 置いた
ビックリして 横を見ると 肩をすくめお茶目な笑顔
そして同じ飴を パクっと上品にお口に 放り込んだかと思うと
形は違うけれど同じ台本を ウンウン頷きながら 見ておられた
きっと能の通のお方なんだろうなぁと
私も 舞台に集中した
台本の上の飴は 文字を追うのに ちょっと邪魔な存在になった
いくらなんでも ご夫人のように 器用に食べられそうになかったので
結局 終演まで 握っていた
空間を最大限生かした 創造の世界
柔軟性と 統制感 泳ぐような 旋律
これこそが 能の醍醐味 と 感服してボーッとしていたら
『宝生流のお方ですか』突然話かけられた
『いえいえ まったくビギナーです』
『あら そうでしたか ご覧になり方がてっきり宝生流の方かと』
『絵や音楽には携わっておりますが』
『あ やっぱり 芸術家さんね 』
『あのーもしかしたら宝生流の方でいらっしゃいますか』
『私はただの能が好きな者です よく観てるだけですねん
どうでしたか?今日は?』
『素晴らしかったです 演目も演じる方も』
『でしょぉ ですよね 私 三輪大好きでね こればっかり
何回も観てますねん そやけど 今回が1番
良かったですわ 宝生流いいと思いませんか?』
弾んだ 見知らぬ 通の方との対話
どの分野も 信念をもって向き合ってる人たちの 仕事は
心に 響く
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