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中国広西チワン族自治区にある陽朔を訪れたあと、 僕は夜行バスで広州へと向かった。翌日香港を出てオーストラリアへ帰るために。 出発は晩の10時。陽朔のバス乗り場から広州までは片道8時間かかる。 バスの車内はそこそこきれいな感じで特に衛生面での問題もなさそうである。 昔から夜行バスでは眠れない。というか今までぐっすり眠ったためしがない。 確実に言えることだが、昼間乗ったほうが案外寝れる。 社内灯消されて「さあ寝てください」モードになるともうダメなのだ。 さらに「今眠っとかないと明日必ずきつい」というプレッシャーが加われば、 もう目はばっちりである。 しかも運の悪いことに席は一番前。運転席の真後ろである。 正面から対向車のライトが否応なく視界に入る。 しかもドライバーの運転は噂通りとても荒く、前に走っているトラックやバスすべてを追い抜きにかかる。 まるでそれが義務であるかのように。 こうなると対向車線に出て追い抜こうとしたら、正面からトラックが!「うわーっ!!」という連続である。 しかもすべての一部始終が僕の席からイヤでも見える。心配で見ずにはいられない。 これはたまったものではない。 夜中の1時。不穏な事態が起こる。 料金所で止まって再び発進しようとしたバスのエンジンがいきなり止まった。 運転手がキーを何度も回してもエンジンはかからない。 懐中電灯を取り出して前のカバーを外し何やら見ているが一向に修復の気配なし。 運転手もとうとうやけくそ気味になり小声でわめき始める。 そのうちタバコと携帯持ってどこかに消えやがった。。。 社内はほとんどの人が寝ているか、もしくはこの深刻な事態を息密かに見守っているのか、 かなりの静寂であった。 それもあって僕も割と冷静に今後どうするべきか、ぼんやり考えていた。 現在、夜中の2時。香港からの帰りの飛行機は今日の午後6時に出る。 広州から香港とのボーダーの深圳まで2時間、そのボーダーから香港空港まで1時間だから 遅くとも広州を午後1時には出なければならない。 我々がいま止まってる場所から広州までまだバスで5時間はかかる。 どうせ代わりのバスなんか来るはずもないのだから、 近くの街までなんとかたどりついて、鉄道かバスで広州へ向かわないといけない。 でもこんなわけの分からない山奥から、どうやって交通の便が通っている街まで行けるのか。。。 結論、このバスが動かなければおそらく飛行機には間に合わない。 半ばあきらめにも似た感情が僕を支配しているとき、行方をくらましていた運転手が社内に帰ってきた。 で社内の客に向かって大声でしゃべり出した。勿論中国語なので分かりはしない。 その後、乗車客全員がバスを降りていく。 もうバスは動かないから全員ここから歩け、という意味なのかな。。 とりあえずここは皆の後をついて行くしかない。 外に出た。さすがに2月の真夜中の山中、肌寒い。 こんな真っ暗な山奥のどこを歩けと言うんだろう、、、さすがに不安な心境になった。 ここでふと見ると、乗車客がバスの後ろへ移動し車体を全員で押しだしたのである。 どうやら運転手の指示は「全員降りて、バスを押してくれ」だったのだ。 数十人の力によりバスは勢いよく前進する。一人車内に残った運転手がエンジンをかける、、、 かかっーたー!! その時ばかりはバスを囲んだ人々全員から歓声がこだました。 なんかこの状況面白すぎて、車内に帰ってからも僕はひとりでくすくす笑うしかなかった。 いつものように、僕はそれからもバスでは眠れなかった。 最後の1,2時間うとうとしたような― バスはほぼ定刻で広州に着いた。どうなってるんですか!?ここは! |
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ああ、ハラハラドキドキ。
めでたしめでたしでよかった〜!ヽ(^o^)丿
結果論ですが、旅はこうでなくっちゃ!←失礼しました!<(_ _)>
2009/3/12(木) 午後 5:20
良かった 中国、マンマンデ〜でしたっけ。中国では何が起きてもおかしくないですね(25年前)良く中国に行きました。突然飛行機がなくなる 理由もなしに、あとで聞くとお役人の為に飛行機を
まわしてしまうそうな
2009/3/12(木) 午後 8:55 [ EITAI ]
よかったですね〜!
無事、赤い大地にたどりつけて!!
・・・機内からの写真、オーストラリア?
2009/3/13(金) 午前 6:54
おそるべし中国
2009/3/13(金) 午前 8:20 [ hiromi21cen ]
おお!それはスリリングな体験をなさいましたね!
アルゼンチンのバスの旅は快適ですよ、座席がかなりフラットになるので。今度はぜひ、アルゼンチンのバスの旅をとうぞ♪
2009/3/13(金) 午前 11:29
バスの旅は色々ありますね。
私も東南アジアの旅行中、バストラブルは何度も経験アリです。
でも飛行機に乗れるか乗れないかっていう状況はキツイですねー。
定刻どおり到着したのはナゼ〜??(笑)
2009/3/13(金) 午後 0:39 [ - ]
乗客全員で手動で押すって、なんだかコメディ映画のワンシーンみたいでした(笑)実際はハラハラな体験でしたね、お疲れ様でした。
わたしもバスは勿論、乗り物全般に眠れない性質で・・・いつの渡西か忘れましたが、成田からセビージャまで一睡も出来なかったことがありました。途中もちろんトランジットも含め、マドリードのホテルで仮眠の時間があったにもかかわらずですよ・・・超神経過敏になって、本当に眠れなかったんです。同行者から驚かれましたが、意外に平気でした(笑)
2009/3/13(金) 午後 6:15
ものみ様、
その通り!これくらいの事件がないと旅行もスリル感が欠如して面白くないですね。勿論最終的にハッピー・エンドが前提ですが笑。
2009/3/14(土) 午前 2:53
EITAI様、
今経済的に躍進している現在でも僕らにとって不思議なことがたくさん起こる国でしたね。
2009/3/14(土) 午前 2:55
LILY様、
無事赤土のオーストラリアに帰ることができました!
2009/3/14(土) 午前 2:56
ひろみ様、
本当におそるべし中国。
2009/3/14(土) 午前 2:57
ままデえりす様、
いつかは南米も行きたいのですがね。時間とコストがかかるのでなかなか難しいのですが。。。
2009/3/14(土) 午前 2:58
yashu様、
やっぱ飛ばしすぎやねん!ということですねえ笑。
2009/3/14(土) 午前 2:59
Nely様、
結局僕は出遅れてしまい、その手押しには参加できなかったんです。
僕は飛行機とかも全く眠れないですね。日本で電車とかだと爆睡なんですが笑。やっぱ神経過敏なのかなあ。。。
2009/3/14(土) 午前 3:01
このお話の後、最初の写真の場所に行ったんですね。
お話読んでると、移動がほとんどの旅だったんですねぇ。。
それにしても、皆で押したら動いたってのもスゴイし、定刻に着いちゃったってのもスゴイ。
運転手、相当飛ばしたのでは^^
2009/3/15(日) 午前 11:08
telcoさん、
最初の写真はこの記事のバスに乗る前に滞在した陽朔という街です。
たぶん遅れちゃうと運転手に相当なペナルティとかあるんじゃないでしょうかねえ。バスひっきりなしに走ってるし。そういう意味では逆に危ないよね。
2009/3/15(日) 午後 1:24
車が動いている時にエンジンをかければOKなんですか?不思議な国ですね〜(笑)運転手さんもそれがわかるなんて前にも同じような事件があったんでしょうか・・・。
2009/3/15(日) 午後 5:58 [ りっちゃん ]
Emiさん、
僕は車のことよく分からないですが、エンジンをかけ直すためにそうやってしてるのはこっちでも見たことあります。さすがに大型バスでもそんなことするのは想像できませんでしたけど、、、
2009/3/15(日) 午後 10:08
実はこの記事、携帯で見ていたのでコメントを入れたつもりになってましたが入れて無かった!(笑)表現の上手さと言いますか、その展開に思わず引き込まれ読ませて頂きました。そしてハッピーエンド。話の構成も文章力も素晴らしいです。経済発展を遂げたとはいえ、まだまだこういう現状が残っている中国ですから個人的には肩を並べるのは半世紀早い!と言いたいですね。(笑)
2009/3/24(火) 午前 11:21
めぐる会さん、
日本という国は進んでいる、とかそういう表現ではなくその几帳面さ、清潔さは一種の文化でありその一面において他国の追随を許さない特性を持っているのだと実感しましたね。
2009/3/25(水) 午後 5:07