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多忙につき しばらくお休みが続いてしまい お返事 訪問コメが途中迄で ごめんなさい 14日も仕事…記事UP先行で失礼しております

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『JUNO/ジュノ』

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本作は、未婚の少女が予想外の妊娠をするという、扱い方によっては深刻になりがちなテーマながら、
前向きで親しみやすい主人公ジュノのキャラクターと繰り広げられる軽快なストーリー展開が印象的で、
明るい作品になっていますね。

ジュノ(エレン・ペイジ)はアメリカ中西部のとある町に住む16歳の女子高校生。

ドラッグストアのトイレで3度使用した妊娠検査薬で、自分の妊娠を知った彼女は、興味本位から同じ高校に通うポーリー(マイケル・セラ)と一度だけ関係を持ったことがあった。

ポーリーと親友のリア(オリヴィア・サールビー)に妊娠の事実と「中絶するつもり」と打ち明けたジュノは、中絶の手続きをするためにクリニックを訪れたが、クリニックの前ではプラカードを持ち、中絶反対を呼びかける同級生のスー・チン(ヴァレリー・ティアン)の姿を見かけた。彼女は中絶をやめて子供を産む決心をし、子供を自分で育てずに里子に出そうと考えた。

ジュノとリアは、フリーペーパーで、高級住宅街に住む若い夫婦が里親になることを希望している広告を見つけた。その後、自分の妊娠を父のマック(J・K・シモンズ)と、継母のブレン(アリソン・ジャネイ)に打ち明けた彼女を、両親がバックアップしてくれることになった。

ジュノと父親は、里親を希望している二人に会いに行き、ヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)とマーク(ジェイソン・ベイトマン)の夫婦と、生まれてくる子供を養子に出す契約をした。


この作品について、以下に3つのポイントから綴りたいと思います。

監督、脚本について

ジェイソン・ライトマン監督はカナダ出身で、昨年30歳になったばかりです。
長編映画デビュー作『サンキュー・フォー・スモーキング』(2006年)に続く本作は、今年(2008年)
のアカデミー賞作品賞と監督賞で、それぞれにノミネート作品となりました。

コメディタッチの作品における演出のうまさは、やはり父親譲りなのでしょうか。
彼の父親、アイヴァン・ライトマンは、1984年に大ヒットした『ゴーストバスターズ』や、昨年(2007年)
公開の『Gガール 破壊的な彼女』などを撮影したことで知られている映画監督です。

脚本のディアブロ・コディは、プロデューサーのメイソン・ノヴィックによって見いだされました。
本作で、その才能を世に認められた彼女は、過去にストリッパーをしていた経験があるという異色の
キャリアを持つ現在29歳の女性です。本作品の日本公開日となる2008年6月14日は、彼女にとっては
30歳の誕生日でもあります。

たまたまインターネットでコディのブログを見つけたノヴィックは、彼女の自叙伝出版に協力し、
その映画化に際して、スタジオ向けにサンプルの脚本を依頼したそうです。

コディは、高校時代の親友の実話などをベースに初めて執筆した映画『JUNO/ジュノ』の脚本で、
今年(2008年)のアカデミー賞脚本賞を受賞しました。

主要キャストについて

エレン・ペイジにとって、ジュノの役は、まさに当たり役でしたね。
彼女は監督と同様、カナダ出身です。表現力が豊かな彼女は、本作の演技でアカデミー主演女優賞に
ノミネートされました。今年21歳という実年齢より幼く見えますが、今や若手でも、実力派女優の一人
ですね。

10歳から子役として活躍していたペイジは、17歳の時に14歳の少女役を演じた『ハードキャンディ』
(2005年)で注目されました。そうそう、『JUNO/ジュノ』のシーンでも、『ハードキャンディ』のポスター
の「赤ずきんちゃん」を連想させる赤いフード付の服を着た彼女の後ろ姿を見ることができます。
来年(2009年)、彼女には、女優ドリュー・バリモアが初監督を務める作品への出演の予定もあり、
更なる今後の活躍が楽しみです。

ジュノのボーイフレンド、ポーリーを演じたマイケル・セラも、やはりカナダ出身。
子役からキャリアを積んできたセラの演技はリアリティがあり、なかなか良かったです。

作品の特徴

低予算で製作された本作は、2007年12月、たった7館だけの公開開始後、口コミによって評判を呼び、
2008年1月には2400館以上での上映になりました。2月に入ると、ついに全米で1億ドルを超える
興行収入(2月3日時点で1億980万ドル)を記録し、現在では全世界で2億ドルを超える大ヒット作と
なりました。

本作は、2008年のアカデミー賞作品賞ノミネート作の中ではダントツに多い興行収入です。
ちなみに2008年2月3日時点での全米興行収入は、『ノーカントリー』が5,510万ドル、『フィクサー』
が4,410万ドル、『つぐない』が4,210万ドル、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』が2,100ドルでした。

どちらかと言えば重いストーリー展開の各作品の中、親しみが持てるジュノを主人公とした軽妙な
ストーリー展開の本作が、多くの観客から支持を得た結果とも言えるでしょうね。

各シーンにマッチしたサウンドトラックも大ヒットとなり、2008年2月9日付、全米ビルボードの最新
アルバムチャート「The Billboard 200#1 This Week」ではトップの座を獲得しました。
映画のサントラが1位になったのは、昨年の『ドリーム・ガールズ』以降では初めてのこと。

本作を配給した「フォックス・サーチライト」は、やはり低予算で製作され、少ない上映館での公開
からヒット作となったコメディ作品『リトル・ミス・サンシャイン』を世に出した会社です。
同社の配給作は、2年連続でアカデミー賞脚本賞受賞の快挙となりました。


本作の大きな魅力は、何と言っても、ジュノのありのままの姿だと言えますね。

試写会での鑑賞中、観客の爆笑が起こったシーンはありませんでしたが、他人の評判や目を気に
しないジュノのユニークな言動が面白く、ところどころのシーンでクスクスと笑いが広がりました。
ほのぼのとしたコメディ作品ですね。

予想外の妊娠をしたジュノは、周囲の人々に見守られながら、出産に向けての日々を、自分らしく
行動的に過ごします。

皮肉っぽい口調を交えながら、誰に対しても気さくに話しかけ、いつも自分の気持ちに素直で、
ユニークな少女の姿は、観客それぞれの目にどのように映るのでしょうか。

冒頭で手にしていた大きなポリタンク入りのドリンク(3.78リットルらしい)、いかにも使いにくそうな
バーガー型の電話機などの小物や、77年のパンクロックやスプラッター映画のファンだったりする
ところなどに、風変わりな彼女のキャラクターが良く表れていて、結構笑えます。

ジュノは、時折、繊細な一面を見せる時がありましたが、いつまでも落ち込んでいることはありません。
賢い彼女は、気持ちの切り替えが早く、前向きな性格です。


ポーリーは、ジュノとは対照的に口数が少ない少年。
当初、ボーっとしていて、どこかオタクっぽい、冴えないイメージがありましたが、しだいに頼もしさが
感じられる若者になっていきました。


若い二人が成長していく姿と共に、様々な反応を示す周囲の人々の様子も活き活きと描かれていました。
ジュノを取巻く友人や家族、養子縁組を希望する夫婦といった人々は、誰もがそれぞれに個性豊かで、
それぞれに理解しやすいキャラクターでした。

里親になることを望む夫婦は、女性が母親になることに対して現実的で、男性が大人になり切れずに
夢を追いかけているところがあり、対照的なキャラクターでしたね。観ていて「母性本能」という言葉が
心の中をよぎりました。


ストーリーは、単に面白いだけにとどまらず、考えさせられるところもありました。

ジュノのように、未婚での出産を決意する少女にとって、心と身体への負担は大きく、とまどいや悩み
も尽きないことでしょう。人々から好奇の目で見られることもあるでしょうし、未婚での妊娠・出産を
あまり心良く思わない人々も少なくはないでしょう。その点、ジュノは、両親や友人など、周囲の人々
からの理解があったことは幸いでした。

未婚で妊娠しても、出産を望まず中絶手術を受けたり、生まれてくる子供を様々な事情から育てること
が困難だったりする女性が辛い立場に置かれる一方で、子供がほしくても子供ができないために悩んで
いる夫婦が存在するのも、紛れもなく今日のアメリカ社会の現実です。

本作のストーリーには、今日のアメリカにおいて、どちらの境遇にある人々の思いにも応えるように、
里親制度が一般的になっていることがうかがわせるものがありました。

やはり今年観た映画なのですが、昨年のカンヌ国際映画際、パルムドール(最高賞)受賞作となった、
共産政権時代のルーマニアでの未婚少女の妊娠を扱った作品、『4ヶ月、3週と2日』がありましたが、
映画のストーリーながら、時代や社会の体制によって、未婚の少女の妊娠を取り巻く環境が、こう
も違うものか…とつくづく思い知らされました。

本作には、人々の多様な生き方、考え方、そして、生まれてくる子供の人権が尊重されるアメリカ社会
の懐の深さも感じられます。「赤ちゃんポスト」や「代理母」を巡る出来事がニュースになる日本に
比べると、アメリカは養子縁組や里親制度に対する社会の理解がありますね。

アメリカと日本では、未婚での出産に対する受けとめ方や、養子縁組に対する考え方、社会の取り組み
にも隔たりがあるので、自分の子供を里子に出そうとする彼女の考えは、日本の観客にとっては、
アメリカの観客のような共感は呼びにくい面があるように思えます。

ともすると、本作は、ジュノの考えや行動を理解できるかどうかについて、観客に問うというストーリー
として捉えられてしまう可能性があるような気がしますが、むしろ、現実には深刻な問題ともなりうる
十代の未婚女性の妊娠について、観客に考えさせるという問題提起的な色合いがあるストーリーとも
言えますね。


ジュノは、たとえ血のつながりのない母と子、家族であっても、きっとうまくやっていけるということ
を実感していたのでしょうし、信じていたのでしょう。彼女の決心には、彼女自身が、実父とともに
継母からも深く愛され、理解されていたことが、大きな影響を与えていたに違いありません。

とは言え、ラストのシーンを観ていると、どこか切なく、複雑な思いが心をよぎりました…。


春から初夏に変わる頃、出産を迎えるジュノ。彼女の出産は、6月という設定でしょうか。

作品の中で、ジュノ自身が触れていることですが、彼女の「JUNO/ジュノ」という名前は、ギリシャ
神話の「ゼウスの妻」の名前にちなんで名付けられたものだといいます。

古代神話でのジュノは、結婚と出産の女神で、英語の6月、「JUNE」の語源でもあります。
「JUNO」という主人公の名前が、結婚や出産について、考えさせる本作を象徴しているタイトルにも
なっていて興味深いです。


ジュノの決心や行動には、母親になること、母親であることの意味など、作品を観る人それぞれに
考えさせられるものがあるでしょう。

明るい内容で笑いを誘いながら、観客には静かに様々なことを考えさせ、自分と他人をありのままに
受け入れること、人への思いやりを持つことの大切さをも伝えてくれる作品でした。

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今回のコンペティション部門では、22作品が最高賞のパルム・ドールを競います。

今年は、クリント・イーストウッド監督、スティーブン・ソダーバーグ監督、過去二度、パルム・ドール
を受賞しているリュック・ダルデンヌ兄弟監督、ヴェネチア国際映画祭で一昨年グランプリを受賞して
いるジャ・ジャンクー監督といった実力のある有名な監督が、それぞれの作品を出品しています。

注目作品が結構あるので、賞の行方は予想がつきませんね。

この記事では、コンペティション部門に出品された22作品のうち、特に注目されている作品について
紹介します。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

『ブラインドネス』


今年のオープニング作品。
原因不明のまま、視界が真っ白になる病気の感染が広がってゆくというストーリー。ジャンルとしては
パニック・サスペンスですね。

コンペ部門の出品作では唯一、予告編を観たことがあり、特に話題性も高い作品です。
製作費をブラジル、カナダ、日本が均等に出資している三ヶ国の合作です。

フェルナンド・メイレンス監督はブラジル出身。代表作に『シティ・オブ・ゴッド』、『ナイロビの蜂』
があります。

原作は、ノーベル文学賞受賞作家のジョゼ・サラマーゴの小説『白の闇』。
2008年5月9日から、この映画の日本語公式サイトもありますね。
2008年11月に日本公開が予定されていて、キャストとして日本人の俳優(伊勢谷友介、木村佳乃)が
夫婦役で出演している作品でもあります。

『NEXT-ネクスト-』、『アイム・ノット・ゼア』、『美しすぎる母』と今年、日本公開出演作が続いている
ジュリアン・ムーアが主演、日本でも人気があるガエル・ガルシア・ベルナルも出演しています。

ブラジル映画としては、他に『Linha de Passe』という作品がコンペ部門に出品されています。

今年は、ベルリン映画祭で、やはりブラジル出身のジョゼ・パジーリャ(Jose Padilha)監督の
『The Elite Squad』が金熊賞(最高賞)に選ばれていることもあり、果たして本映画祭でも、
ブラジル人監督作品が最高賞受賞となるでしょうか。


『チェ』


『The Argentine』と『Guerrilla』の二部作。
キューバの実在の革命家、チェ・ゲバラの伝記映画で、4時間を超える長編ですね。

パルム・ドール受賞実績のあるスティーブン・ソダーバーグ監督による二部作にも注目です。
彼は、1989年、初めての長編映画『セックスと嘘とビデオテープ』により、史上最年少の26歳で
パルム・ドールを受賞しています。

ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットが出演した『オーシャンズ』シリーズや、最近の作品では、
『さらばベルリン』の監督としてもよく知られています。
主演は、ベニチオ・デル・トロ。ソダーバーグ監督の監督賞の他、アカデミー賞4部門受賞となった
『トラフィック』で助演男優賞を受賞した俳優です。


『チェンジリング』


誘拐された息子が警察に保護され戻ってきたものの、その子供が実の子供ではないのではないかと
母親が疑念を抱き、行動するというストーリー。何と1920年代の実話が元になっている作品だそう。

クリント・イーストウッド監督作だけに、やはり期待が集まる作品ですね。過去、カンヌのコンペ
部門には、4度、出品していますが、意外なことに受賞は一度もありません。
映画関連の各マスコミの扱いにも、今回こそは受賞かとの期待の高まりも感じられます。

主演の母親役を演じているのが、ハリウッドを代表する演技派女優、アンジェリーナ・ジョリーだけに、
なおさら注目の作品となりますね。


『ル・シランス・デ・ローナ』


アルバニア人女性ローナは、ファビオという暗黒街の人物と共謀し、ベルギー国籍を取得するために
麻薬中毒患者のクラウディと偽装結婚するが、ファビオはベルギー国籍を欲しがるロシア人とローナ
を結婚させようと、クラウディを殺害しようと企てるというストーリー。何だか危険な内容ですね。

1999年『ロゼッタ』と2005年の『ある子供』で、二度のパルム・ドール受賞の実績があるベルギー出身
のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督作ということもあり、どんな作品なのか興味深い
です。

ダルデンヌ兄弟監督作、『イゴールの約束』のイゴール役、『ある子供』のブリュノ役、それぞれの
好演が、とても印象的だったジェレミー・レニエが出演しています。


『シネクドキ、ニューヨーク』


人生に行き詰った劇作家が、自分の新たな「ニューヨーク」を作り出すという巨大な芸術プロジェクト
を構想するというストーリー。「シネクドキ」は、日本語では「提喩」という意味ですね。

『マルコヴィッチの穴』、『エターナル・サンシャイン』で脚本を担当したチャーリー・カウフマンの監督
デビュー作。今迄に独創的な脚本を手がけてきた方だけに、初監督の作品が、一体、どんな作品で
どんな評価を得るのかが興味深いです。


『24 シティー』


四川省、成都を舞台に、国営工場の移転が決まった跡地に建築されるという高級マンション…3世代の
女性労働者が語り出す思いを撮った作品のようですね。

『長江 哀歌』で2006年、ヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞したジャ・ジャンクー監督の作品です。

四川省といえば、つい先日の大地震で被災した地域だけに、映画が撮影された地域に住んでいる人々の
ことが、映画の話題とは別にとても心配です…。


『アン・コント・デ・ノエル』


1人の息子を亡くしたものの、成長した3人の子供を持つ夫妻。家族関係に不協和音が漂う中、母親が
白血病にかかるというストーリーらしいです。

今年も複数のフランス映画が出品されていますが、フランスの名優二人が出演しているこの作品が、
特に注目されているようですね。
『ミュンヘン』、『潜水服は蝶の夢を見る』に主演したマチュー・アマルリックと、フランスを代表する
女優、カトリーヌ・ドヌーヴの共演作品ということもあり、日本で上映になれば観てみたいです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

最終日の5月25日、パルム・ドール賞のプレゼンターを務めるのは、今年の映画祭のエンディング作品
となる『What JustHappened?』の主演俳優、ロバート・デニーロです。

パルム・ドールは、一体、どの作品が獲得することになるのでしょうか?
どんな結果が出るのかが、とても楽しみです。

もちろん、この記事で取り上げた以外の作品がパルム・ドール受賞する可能性も大いにあると思います。

カンヌ国際映画祭で、パルム・ドールをはじめとした各賞を受賞することや、高い評価を得ることは、
各作品にとって、きっと、その後の興業的な成功に好影響を与えることでしょう。

コンペティション部門出品作には、これから日本での公開が決まる作品もあるかもしれませんね。
第61回カンヌ国際映画祭が、いよいよ開催となりました。

2008年5月14日から25日までの期間で開催される今年のカンヌ国際映画祭。
ヴェネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭とともに世界三大映画祭のひとつに数えられ、映画関係者
や映画ファンにとっては、とても関心が高い映画祭です。

期間中、人口約7万人という地中海に面したフランスのカンヌに、世界各国から多くの映画製作者や、
監督、俳優、ジャーナリストなどが集まります。

今迄にカンヌへは行ったことがありませんが、海岸沿いの風景が美しい国際的なリゾートとして有名な
場所ですよね。

今年公開されたイギリス映画『Mr.ビーン カンヌで大迷惑』では、昨年のカンヌ国際映画祭が主な舞台
となっていましたが、スクリーンで観ることができた風景と、レッドカーペットなどの華やかな映画祭の
様子が記憶に新しいです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

カンヌ映画祭には、最高賞のパルム・ドールを競うコンペティション部門、特別招待作品の上映のコンペ
外部門、「ある視点」部門、短編映画部門といった各部門があります。

1946年、フランス政府が開催に関わり、はじまった映画祭で、例年、複数の作品が地元フランスから
コンペティション部門に出品されているというのも、この映画祭の特徴といえますね。今年の場合は、
22作品中、合作1作品を含めて5作品がフランス映画(あるいはフランス合作映画)です。

毎年、審査員を務めるメンバーが変わる映画祭だけに、受賞結果には、その年の審査員団、中でも、
審査委員長の好みが色濃く反映されていると言われています。そのため、マスコミや映画評論家の
予想で高い評価を得ていた作品以外の作品が、パルム・ドールを受賞することも結構あります。

実際、昨年60回のコンペ部門には、後に米アカデミー賞で作品賞、監督賞など主要4部門受賞となった
『ノーカントリー』が出品されていて、事前の各マスコミなどの予想では高評価を得ていたようですが、
カンヌでは一つの賞も受賞になりませんでした。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

各受賞作品が決定されるまでの大まかなプロセスを米アカデミー賞と本映画祭の場合で比べてみると、
それぞれの選考方法の違いと内容が、一層分かりやすくなるかもしれませんね。

米アカデミー賞の場合は、前年、ロサンゼルス郡内の映画館で上映された全ての作品(外国語映画賞
対象を除く作品)の中から、ハリウッド映画関係者である映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の会員
(現在5,000人以上)による無記名投票により、各賞ノミネート作が選出され、結果以外は公表されて
いない最終投票によって各賞が決定されます。

一方、カンヌ国際映画祭の場合は、主として公開前の作品の中から、外国映画を選定する委員会と
国内映画を選定する委員会によってコンペ部門の出展作品が選出されます。その後、ごく少人数で
構成される審査員の審査結果によって各賞が決定されます。

主催者によって選ばれる審査員の顔ぶれは毎年変わり、例年、映画監督、俳優、作家など、9人程の
比較的少人数の映画関係者が審査員を務めています。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

今回の審査委員長は、俳優であり、映画監督としても活動をしているショーン・ペン。
彼は、『ミステリック・リバー』で、アカデミー賞主演男優賞受賞実績がある他、カンヌ国際映画祭を
含めた三大国際映画賞全てで、男優賞の受賞実績がある俳優です。

今回の審査員を務める他8人のメンバーは、映画監督5人とナタリー・ポートマンを含め3人の女優です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

前回まで、ここ4回のパルム・ドール受賞作品は、『4ヶ月、3週と2日』(2007年)、『麦の穂をゆらす風』
(2006年)、『ある子ども』(2005年)、『華氏911』(2004年)となっています。
それぞれにイメージが違う作品ながら、エンターテイメント性が高いタイプの作品というよりもむしろ、
観ることで社会について考えさせられるようなドキュメンタリータッチの作品が目立っていますね。

本映画祭では、過去には、日本映画として、衣笠貞之助監督の『地獄門』(1954年)、黒澤明監督の
『影武者』(1980年)、今村昌平監督の『楢山節考』(1983年)、『うなぎ』(1997年)がパルム・ドールを
受賞しています。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

今回、コンペティション部門出品作の中に、日本作品がないのは残念な気もしますが、きっと、世界
各国から、見ごたえのある様々なタイプの作品が出品されていることでしょうね。

さて、今回は、一体どういった作品が出品されていて、審査員は、どの作品を最高賞のパルム・ドール
に選ぶのでしょうか。後に日本公開が予定される作品には、どういった作品があるのでしょうか。
インターネットなど通じて得られる作品に関する情報は、それ程多くはありませんが、色々と興味が
尽きないところです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

今年は特別招待作品として、『インディ・ジョーンズ』の最新作、スティーブン・スティルバーグ監督
作品『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年6月21日、日本公開予定)と、
ドリームワークス製作のアニメーション作品『カンフーパンダ』(2008年7月26日、日本公開予定)が
上映になります。

イメージ 1


イメージ 2


人気アドベンチャーシリーズ作品と豪華ボイスキャスト(ジャック・ブラック、ジャッキー・チェン、
ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー等)のアニメ作品。すでに現在(2008年5月17日)、
日本の映画館で予告編が上映されています。『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の
特別鑑賞券を、すでに購入していますが、どちらの作品とも日本でも関心が高まっている話題作です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

今回、ある視点部門には、東京に関連した作品が二本出品されています。
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ、三人の外国人監督による東京を舞台に
したオムニバス作品『TOKYO!』と、黒沢清監督による『トウキョウソナタ』。
『TOKYO!』は、すでに5月15日に上映されたようですね。どちらの作品とも、チャンスがあったら、
いつか観てみたいです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

カンヌでは、映画祭とほぼ同じ時期に5月16日から27日までの期間で、カンヌ・フィルム・マーケット
という国際見本市も開催されます。

この見本市は、アメリカン・フィルム・マーケット (AFM)、ミラノ国際映画見本市 (MIFED)とともに
世界三大フィルム・マーケットのひとつにもなっています。

今回は、約900本のバイヤー向け上映や、約500のブースの出展があるそうですね。
これだけ規模が大きい見本市が、ほぼ同時期に開催されるということも、カンヌ国際映画祭独自の
特徴といえるでしょう。見本市では、各国の映画製作者などにより、海外配給を目指す数多くの新作
映画のプロモーション活動が盛んに繰り広げられます。

今回の見本市には、日本から『隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS』が出品されるというニュース
も報道されていましたね。現在(2008年5月)日本で公開が始まったばかりの作品ですが、すでに公開
が決まっているというタイ、台湾以外での海外配給を目指し、プロモーション活動が行われるようです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

カンヌ国際映画祭については、回数は未定ですが、これからも記事にしていく予定です。
次の記事では、パルム・ドールを目指すコンペティション部門に出品された作品から、いくつかの作品
を取り上げて、簡単に触れてみたいと思います。

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大金持ちの実業家のエドワード(ジャック・ニコルソン)が、自らが買収した病院に入院したとき、先に入院していた自動車整備工のカーター(モーガン・フリーマン)と、偶然に同じ部屋となった。
	
病室のカーターのもとを妻のバージニア(ビバリー・トッド)ら彼の家族が見舞いに訪れるが、エドワードのもとを訪れるのは、秘書のトマス(ショーン・ヘイズ)一人だけだった。

病床の二人に対し、医師からそれぞれに余命6ヶ月の末期ガンであることが告げられた。

エドワードは、カーターが何かをメモに書きとめているのに気がついた。

その昔、カーターは、大学一年生哲学の授業で、教授が学生たちに対して「バケツリスト」を書くようにと勧めていたのを覚えていた。バケツリストとは、自分が棺おけに入る前に、やりたいこと、見たいもの、体験したいことの全てを書き出したリストのことだった。

「荘厳な景色を見る」、「見ず知らずの人に親切にする」、「マスタングの運転」、「笑うほど泣く」・・・。カーターは自分の「バケツリスト」のメモについて「もう無意味だ」と語った。46年間、自動車修理の仕事で働き続けたカーターにとって、「バケツリスト」は、今となっては、もはや叶わない空想のリストに思われた。

一方、会社を大きくし、利益を得るための仕事に追われていたエドワードは、企業買収や美味しいコーヒーを飲むことには夢中になっていたが、自分が本当にやっておきたいことについて深く考えたことがなかった。

エドワードは、カーターの「バケツリスト」に自分自身がやっておきたいことを書き足した。「スカイダイビング」、「ライオン狩りをする」、「世界一の美女にキスをする」・・・。そして、エドワードは、「きっとできる。いや、すべきだ」とカーターに語りかけ、そのリストの実現を持ちかけた。


この作品について、以下に3つのポイントから綴りたいと思います。


主要スタッフについて

ロブ・ライナー監督は、本作において製作も務めています。
父親が映画監督のカール・ライナーという彼は、1947年、ニューヨーク生まれ。
子役の頃から俳優としても活動しています。

監督代表作に『スタンド・バイ・ミー』(1986年)、『恋人たちの予感』(1989年)などがあります。
『めぐり逢うまで』(1993年)、『あなたにも書ける恋愛小説』(2003年)では、監督を務めるとともに
出演もしています。

脚本は、製作総指揮のひとりを務めることになったジャスティン・ザッカムが執筆したものでした。
ザッカム自身が、「やりたいことリスト」を記していたことがアイディアのきっかけとなっているそうです。
彼が34歳で本作の脚本を執筆しているということには驚きですね。
ライナー監督に、映画化の着手を決意させ、名優二人を納得させた脚本は賞賛に値します。
ロブ・ライナー監督は、本作の脚本をわずか10ページ読んだだけで映画化を決めたようです。

過去に幅広いジャンルの作品を手掛けてきたロブ・ライナー監督が、すばらしい脚本と出会い、
名優二人を主演に迎え、人生について映画を観る人々に問いかけるような、すてきな作品を世に
出したと言えますね。

主要キャストについて

主演二人は、とても自然体の演技で、さすがに、現在のハリウッドを代表する名優同士でしたね。
実際、二人の演技がパーフェクトだったため、撮影はかなり順調なものだったようです。

ジャック・ニコルソンは、最初にキャストに決まったフリーマンが、共演者としてロブ・ライナー監督に
提案した俳優でした。過去には共演したことがなかったものの、ニコルソンとフリーマンは、実生活では
親しい友人同士だそうですね。

ニコルソンの起用は、監督自身、過去に『ア・フュー・グッドメン』(1992年)で、キャストとして起用した
こともあり、既に考えていたキャスティングだったといいます。

ご存じの方も多いのではとないかと思いますが、『カッコーの巣の上で』(1975年)、『恋愛小説家』
(1997年)ではアカデミー賞主演男優賞受賞、『愛と追憶の日々』(1983年)では助演男優賞受賞と、
男性俳優として、唯一人、3度のオスカーを獲得しています。

本作品の映画撮影中には、彼も色々なアイディアを出していて、映画の一番最後に語られた印象的な
ナレーションは、ジャック・ニコルソンのアイディアを、ライナー監督が採用したものでもあったようです。

思ったことをはっきりと言い、陽気で行動的な性格のエドワード役は、ジャック・ニコルソン自身の
キャラクターとも、合っていたと思います。

モーガン・フリーマンは、脚本を手掛けたザッカムが、彼を想像しながら書いていたという俳優でした。

フリーマンは、ニコルソンとの共演について、インタビューで次のように語っています。

「ジャックと共演することは、僕が長い間抱いてきた大きな夢のひとつだった」

なるほど、彼にとって、「ニコルソンとの共演」が、まるで「バケツリスト」の事柄のひとつだったとも
言えるかもしれません。

長年働き続けてきた実直な人物、妻や子供を愛し、思慮深い性格のカーター役も、いかにもフリーマン
のイメージに合っている役でしたね。

モーガン・フリーマンも、ニコルソン同様、ハリウッドで長年活躍してきた名優です。
過去の出演作で、やはり、男同士の友情が描かれていた『ショーシャンクの空に』と同様に、実に味の
ある演技でした。
最近の出演作では、アカデミー賞助演男優賞を受賞した『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)、
『バットマン・ビギンズ』(2005年)、『ラッキーナンバー7』(2006年)などがあります。

二人の行動を陰から支えるエドワードの秘書、トマス役のショーン・ヘイズが、ちょっととぼけた演技
を見せてくれています。彼には独特な存在感がありました。
ボスであるエドワードとのやり取りに、二人の微妙な関係が感じられ、なかなか面白かったです。

誠実な医師、ホリンズ役のロブ・モローと、夫であるカーターと家族を思いやる妻、バージニア役の
ビバリー・トッドが、それぞれの立場を理解できるような好演でしたね。


本作品の特徴


「この映画は墓場でジョークを言うような映画」

映画の公開に際して来日したジャック・ニコルソンが、記者会見で語っていた言葉です。
なるほど…。作品の特徴が良く分かるような、いかにも彼らしい表現ですね。

各シーンでエドワードとカーターが繰り広げる言動には、個性的な二人のキャラクターがそれぞれに
良く表れていました。二人の日常的なやりとりは、観ていてとても楽しかったです。

彼らのバケツリストは、二人がそれぞれに置かれた境遇から思いつくような、バラエティに富んだもの
でした。もちろん、リストに書きとめられた事柄は、経済的に裕福でなければ実現できそうにないもの
もありましたが、お金をかけることなく、実現できるようなものもありましたね。

余命いくばくもない病気ではありながらも、二人とも行動できる体力があり、エドワードが経済的に
豊かだからこそ実現できるような事柄もあります。観方によって、まるで夢のようなストーリーという
側面はあるのですが、二人が、バケツリストを次々と実現していくプロセスは、観ていて実に爽快です。
やはり、映画には、観客にとっての夢や憧れ、理想をも実現させていく役目もあると言えるのですよね。

バケツリストの事柄を一つ一つ実現するシーンには、演じている彼ら自身が、まるで演技をこえて、
心から楽しんでいる様子が感じられるほどでした。

中には、命に限りがあることを知っているからこそからなのか、ハラハラさせられる冒険心に富んだ
命知らずの行動もありましたが…(^^;。

同じ病で余命を告げられた二人は、同じバケツリストを共有することによって、お互いに元気づけられ、
不安な気持ちを取り払い、バケツリストを実現していく強い心を持ち続けられたのかもしれません。

もちろん、病状の進行に、深刻な気持ちにさせられるシーンもありました。やりたいことを実現する
ために残された人生を思ったように生き抜き、それぞれのシーンで満面の笑みを見せてくれた二人の
姿が、本当に印象的でした。

ときおり考え方に行き違いがあって衝突するのも、お互いがそれぞれに自分の人生を生きてきたから
こそとも言えるでしょう。

二人は、お互いの人生観の違いに気付きながらも、リストにあげた事柄を二人で実現することによって、
自分一人だけでは気付くことがなかった人生のすばらしさに、さらに気付かされたのではないでしょうか。


誰の人生にも限りがあります。
今迄、健康に生活を送っていたのが、身体に不調をきたして入院をして、さらに医師からの余命の宣告
を受けたとなると、それこそ様々なことが次々と脳裏をよぎるでしょう。

人生の終焉に思いを巡らすような状況になったとき、遺言を書くのではなく、どれだけの人が、命ある
内にやり遂げたいこと、いわゆる「バケツリスト」のようなリストを書いているのでしょうか。
全く想像ができません。自分自身の人生について考えながら、「バケツリスト」を書きとめておこうか
と思ってしまいました。

人生の終焉には、やはり切なさがあります。そうした内容を扱った映画でありながらも、笑みさえ
こぼれるような楽しさにあふれ、清々しいストーリーの作品になっているところに、深い感銘を
受けました。

本作は、新たな友情を育んでいくストーリーが、まるでロード・ムービーのようでもありましたね。

作品の後半、ラストへと続く一連のシーン…涙なしには観ることができませんでした。

限りある人生、仕事に追われるばかりではなく、本当にやりたいと思う何かを実現してはどうですか!
あなたにとっての「バケツリスト」はありますか?

エドワードとカーターの姿、そして、二人の思いに理解を示す、あたたかい周囲の人々の姿を通して、
観る者一人一人に向かって、語りかけてくるような作品。

すばらしい作品を鑑賞することができて、本当に良かったと思いました。

開く トラックバック(7)

…思わず観に行きたくなるような邦題ですよね。HOW TO本の題名にもなりそうなタイトルです。

原題はというと…THE BUCKET LIST。…?

えっ?バケツリストですか?一体、どんな意味なのでしょうかね…。

ベテラン俳優、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの共演作品ということで、
前から観たいと思っていましたが、いよいよ明日から公開となりました。

本作は、『スタンド・バイ・ミー』や、『恋人たちの予感』、『めぐり逢えたら』など、
私が今迄に観た作品でも、それぞれに良い印象があるロブ・ライナー監督の作品でもあるので、
なおさら興味があります。

ここのところ、上映初日に鑑賞できた映画がないので、久しぶりに明日は公開初日に観に行こうかな…。

境遇が全く違う男性二人が余命6ヶ月と宣告され、その後をどう過ごすかといったストーリーと

いうことで、深刻なのかな?という感じがしないではありませんが、「予告編」を観た印象では、

明るい作品のようですね。

鑑賞後、早めにレビュー記事もアップできたらいいなと思っています。

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