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 先般の記事「労働ビッグバン」には要注意!で、経済財政諮問会議の八代尚宏委員の目指しているところは、「全労働者のフリーター化」ということに尽きるのだと書きましたが、それを裏付けるかのような記事が毎日新聞に掲載されていました。

労働市場改革:正社員待遇を非正規社員水準へ 八代氏示す
 経済財政諮問会議の民間メンバーの八代尚宏・国際基督教大教授は18日、内閣府の労働市場改革などに関するシンポジウムで、正社員と非正規社員の格差是正のため正社員の待遇を非正規社員の水準に合わせる方向での検討も必要との認識を示した。
 八代氏は、低成長のうえ、国際競争にさらされた企業が総人件費を抑制している中、非正規社員の待遇を正社員に合わせるだけでは、「同一労働・同一賃金」の達成は困難と指摘。正規、非正規の待遇を双方からすり寄せることが必要との考えを示した。
 また、八代氏は現在の格差問題が規制緩和の結果生じた、との見方を否定し「既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある」と述べた。
 八代氏は、労働市場流動化のための制度改革「労働ビッグバン」を提唱しており、近く諮問会議の労働市場改革の専門調査会の会長に就任する予定。【尾村洋介】
12月18日MSN毎日インタラクティブ

 この記事だけでは、正確にどのような発言があったかは定かではありませんが、「正社員待遇を非正規社員水準へ」という標題のような発言がおおむねあったのでしょう。

 労働者の権利まで「既得権」がとする論調は、はっきり言って尋常ではありません。八代氏は、全労働者を原子(アトム)のごとくバラバラな存在として、団体としてのパワーを無力化することをイメージしているのでしょう。大企業経営者にとって、こんなにありがたいことはないでしょう。

 そういえば、先般、液晶ディスプレイについての国際カルテルに関する記事が出ていました。
液晶、国際カルテルの疑い…シャープ、サムスンなど
 テレビやパソコンに使われている液晶ディスプレーの販売価格を巡り、日本や韓国、台湾の主要メーカーが国際カルテルを結んでいた独占禁止法違反(不当な取引制限)などの疑いがあるとして、日本と韓国の公正取引委員会が調べていることが分かった。
(中略)
 液晶ディスプレーは高画質化が進み、携帯電話やデジタルカメラなどの小型画面から大型液晶テレビまで需要が広がっているが、主力の液晶テレビは競争が激化。背景には、韓国や台湾メーカーの低価格攻勢があるといい、モデルによっては価格が前年比3割下落するなど、各社の収益が圧迫されている。
(以下略)
12月13日YOMIURI-ONLINE

 少し前までは産業の国内回帰の象徴として大きな注目を浴びてきた液晶テレビも、今や、国際競争の激化の中で価格が大きく下落し、収益が圧迫されているようです。各家電メーカーが液晶やプラズマの工場建設に莫大な投資を行っていることは周知のとおりですが、コストを回収することは相当至難の業であることは、傍目にも明らかです。上記記事が事実であるとすれば、背景にそうした事情があることは否定できないと思われます。

 こうした中で、各メーカーにとっては、国際競争を勝ち抜く上で、人件費の削減が大きな経営課題となっていることは言うまでもありません。大企業の側としては、コストのかかる正規社員よりも、非正規社員を好むのは、ある意味、当然の行動であるわけです。

 先日、経団連も2007年版 経営労働政策委員会報告を取りまとめているようですが、この中でも、
パートタイマー・契約社員等の非正規従業員については、長期雇用のいわゆる正規従業員との均衡処遇が問題になるが、仕事、役割、貢献度を一時点でなく、将来に亘る活用の仕方(配置、貢献度、育成など)を踏まえて、個別に適切に評価し、公正・公平な処遇を図るべきである。
として、非正規従業員の活用を強く滲ませているとともに、格差問題についての批判に対しては、
 近年、正規と非正規従業員間の所得格差、成果主義の導入による従業員間の給与格差、所得格差の大きい高齢者世帯の増加、中央と地方との景気回復力の差等々、さまざまな局面に着目しての格差論が台頭している。
 規制改革が格差を拡大させているという意見もある。しかし、規制改革は、多くの意欲ある人々が市場に参入できるように競争条件を公正・公平な形に整えること、換言すれば機会の平等や選択肢の拡充を目指して行なわれる政策であり、チャレンジを奨励する政策とも言える。
格差問題に対する考え方のポイントは、格差がもたらされる事由が合理的なものか、その事由の回避が可能であるか否かにある。
 公正な競争の結果として経済的な格差が生じることは当然のことである。所得格差は個々人の能力や仕事・役割・貢献度の差異等の合理的事由による場合が多い。
 しかし、所得格差が固定化する、あるいは、必要な教育の機会がすべての人に開かれていない、一度失敗した者、機会を逃した者が再び挑戦する機会を得られないということであれば、それは問題とすべきである。格差の固定化をもたらさないためには、公正な競争、機会の平等を促進し、何度でも再挑戦の機会が与えられることが重要である。
として、しっかりとエクスキュースすることも忘れていません。

 そういえば、だいぶ以前の記事大企業政治〜外国法人の政治献金緩和で取り上げましたが、経団連会長の企業であるキャノンが政治献金を行えるようにする政治資金規正法の改正も、12月13日に国会で成立しています。大企業がいよいよ政権与党に対する献金を強化していけば、政策が大企業の思惑どおりに傾いていく可能性が当然予測されるわけです。

 いろいろ述べてきましたが、今動きつつ労働政策は、労働者1人1人の生活に直結する極めて重大な問題です。しかも、労働者の権利を「既得権」と称する人物によって、その方向性が大きく決められようとしている現実はもっと広く知られてしかるべきでしょう。

 企業の競争力が高まったものの労働者の生活がぼろぼろになった、ということにならないよう、こうした動きをしっかりとウォッチしていく必要があると思います。

閉じる コメント(7)

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人口推移を見ても、今後の日本が今の夕張市のようになる可能性があると思います。若年層が安心して子孫を残せるようにはまだまだ厳しいですね。

2006/12/21(木) 午後 8:53 [ ひろし ]

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こちらも転載させてください。それにしてもこんな酷い論法がまかり通ってしまうなんて信じられないですね(−−;

2006/12/26(火) 午前 0:34 [ 閉店ガラガラ〜 ]

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はじめまして。上の八代氏の発言の囲み記事、一部をパクらせて下さい。

2006/12/26(火) 午前 10:58 sta*sto*y60

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パクらせて頂いた記事をTBさせていただきます。

2006/12/26(火) 午前 11:39 sta*sto*y60

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>ys260213さん ほんとにそうですね。経団連が格差を正面から肯定しているようでは、若年層はますます安心できなくなってしまいます。

2007/1/7(日) 午後 3:57 [ the*d*r_w*00* ]

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>taka bou 2000さん 全くです。「チャレンジを奨励」などという美辞麗句に惑わされてはいけませんよね。

2007/1/7(日) 午後 3:59 [ the*d*r_w*00* ]

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>starstory60さん 八代氏は「教授」という肩書きで暴論を振り回すのでやっかいですね。

2007/1/7(日) 午後 4:02 [ the*d*r_w*00* ]

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