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日豪経済連携は視野を広く (日本経済新聞 2007/01/15(月))
日本とオーストラリアの経済連携交渉の開始が遅れている。安倍晋三首相とハワード首相は昨年12月に、自由貿易協定(FTA)を核とする経済連携協定(EPA)締結を目指して正式協議に入ることで合意したが、国内の農業保護問題をめぐり肝心の日本政府の交渉方針がしっかりと定まらないからだ。
両首脳が合意して以来、日本国内では日豪FTAに反対する勢力が慌ただしく運動を始めた。国会の農林族議員や農業団体は、豪州の生産力が大きい小麦、砂糖、乳製品、牛肉の4品目を、事前に交渉対象から外すべきだと主張している。自民党内には「反FTA」の意見を集約する
懇話会を新設する動きもある。農業問題だけに目を奪われ、交渉が遅れる事態に陥ってはならない。米国と強い同盟関係にある豪州は日本にとってもアジア・太平洋地域内で戦略的に極めて重要な国である。日豪両国が強固な連携協定を締結し二国間関系をさらに強化すれば、地域全体の安定にもつながる。
日豪交渉は単なる貿易自由化にとどまらず「経済安全保障」の考え方を重視して進めるべきだ。豪州は天然ガス、・石炭、ウランなどエネルギー資源の重要な供給国である。鉄鉱石、アルミニウムなどの鉱物資源や、穀物を中心に食糧でも日本の豪州への依存度は高い。
個々の貿易取引は民聞企業の契約に基づくが、国どうしの友好関係を深めておき、いざという局面に備えるのが安全保障政策の基本だろう。日本に欠かせない天然資源を安定的に供給する枠組みは、政府間の協定で築くことが可能だ。
もちろん農業をめぐる交渉難航は避けられないだろう。日本の農林水産省は、関税撤廃により小麦、砂糖など重要4品目だけで国内生産が7900億円減ると主張するが、例外品目なく自由化の道を探りながら、農政改革を進めるのが筋だろう。
ウラン資源の確保などを重視する中国は日本に先行し、豪州と本格的なFTA交渉に入っている。日豪交渉が遅れる間に、中豪間で貿易・投資が拡大すれば、豪州での日本の存在感が低下しないとも限らない。日本政府は大局的な見地に立って豪州との交渉開始を急ぐべきだ。
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