インドオリッサ病院日記

インドの医療ボランティアとして働く激動日記日々上梓!

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サラセミア

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「サラセミア(thalassemia)」
病院で、ちょくちょく見かけるこの病気。皆さんはご存知ですか?
上記の写真は、そのサラセミア疾患の赤ちゃんの写真です。

マラリア発生地域に多いと言われていて、日本ではあまり見かけないこの病気ですが、
私にとっては、ほんと大学の試験勉強で勉強して以来の言葉で、名前は知ってるけどなんだったっけ?
ってな感じで、すっかり忘却の彼方でした。

インド、特にオリッサ州はこのサラセミア患者が多くいるそうです。

日本ではなかなか経験できない疾患なので、血液学に詳しい女医さんにもいろいろと
教えてもらい、まとめてみました。

【サラセミアとは】
・ 遺伝性の血液疾患で、赤血球中のヘモグロビンを形成するアミノ酸の鎖
(α鎖、β鎖)のうち1鎖の産生が不均衡なためにバランスを崩し生じる
溶血性貧血疾患です。

【サラセミアの分類】
α鎖に異常が生じる「αサラセミア」と、β鎖に異常が生じる「βサラセミア」
とに分類され、αサラセミアは黒人に多く、βサラセミアは地中海地域と東南アジア
地域出身の人に最も多くみられるとされ、
日本もインドも圧倒的にβサラセミア患者が多い。
また、それぞれ軽症をminor,重症をmajorと分類する。
【症状】
貧血、黄疸、脾腫
【検査】
βサラセミア
・ 血液検査にてクロマトグラフィ法にてHbFとHbA2比率を測定し、両者
もしくはHbA2のみの増加が認められる。
・ 血液標本にて赤血球の形態異常が認められる。弓の標的のような中心部に
ドットを持つ標的赤血球が特徴的で、そのほか、楕円の形をした楕円赤血球、
涙の滴様の涙滴赤血球など様々な形態をもつ。異常の数が散在するのみだと
サラセミアminor、異常赤血球が多くさらに破砕赤血球や半月型赤血球などの
様々な形態の赤血球が混在する場合は、サラセミアmajorの場合が多い。
αサラセミア
Hb FとHb A2の百分比も正常で、特殊なヘモグロビン検査と遺伝のパターンにて検査。

【治療】
輸血療法にて赤血球を補充するのが、メインである。しかし、サラセミア患者は、
血清中の鉄は低下していないため、輸血を繰り返すことで、過剰な血清鉄の上昇
となり、心臓や、他の臓器に鉄沈着する恐れがある。そういう場合は、
鉄キレート剤の経口投与で過剰鉄の排出を行う。



症例から学ぼう


上記写真の赤ちゃんは、生後3ヶ月でサラセミアと診断。現在10ヶ月の写真です。
お顔のほっぺ下方が腫れてるように見えるのが特徴の一つで頬骨が突出してきます
(サラセミア様顔貌)。黄疸は出てないようですが、貧血様の血色です。

この赤ちゃん、生後3ヶ月の当初はなんとヘモグロビン値2.0mg/dl。ほんと?と
思うくらい信じられない低値で、その後数回輸血を繰り返し、今回7.2mg/dlまで
回復。

その赤ちゃんと家族の検査データを見せてもらいました。

イメージ 2


遺伝性の疾患のため家族の検査も州のサポートで行なっているようです。
お父さん、お母さん、お兄ちゃんはすべて陰性で、この赤ちゃんだけがサラセミア
と診断されています。このように、両親が陰性でも、祖父母に陽性者がいれば遺伝
します。赤ちゃん(Tapan君)のデータは、HbA1 3.9%、HbF 8.2%で、Hb異型
としては、HbFとなっています。

女医Drにも見てもらい、赤血球の形態をチェックしたら、標的赤血球の存在も確認。
全体的に赤血球は薄く大小不同も見られました。しかし、破砕赤血球、半月赤血球
などは混じっておらず、minorサラセミアの可能性が高い。

ここオリッサ州は、インドでも1,2位を争う保守的な州で、特に結婚に関しては、厳しく
カーストのさらに細かい分類での中でしか結婚は許されません。
インド独自の文化の1つとして、存続されることは良いにしても、この病気の発生率が
減らない現状は、同じ階級同士での結婚しか出来ないということにも一理あると思います。
まったく自由にとまではいかなくとも、少しでも結婚相手の選択の幅が広がれば、
遺伝も薄まり、患者数も軽減されるのにと、またしてもインド文化の厚い壁を
感じてしまいました。

閉じる コメント(4)

サラセミア・・・私も忘却の彼方です。。。。
説明文を読んで、教科書のどの辺りに書いてあったなとか、α鎖とβ鎖の絵がこんな風に描かれてたな・・・とかそんな事まで思い出してきました!
ヘモグロビンA1cを測定していた時にHbFが高い患者さんがいて、その時にサラセミアの話が出たのですが、「・・・・サラセミアってなんだっけ?」みたいな話に・・・。。。
ヘモグロビン値2.0mg/dl!?
凄いです。。。
お国柄的な病気でもありそうですね。
同じ階級同士の結婚は遺伝的にも何か関係がありそうです。
とある病気に弱い種族は新しい種族と交流をもつようになり交わるようになると、その病気に対して強い抗体を持ち蔓延しなくなったって話もありますからね。

また一つ勉強になりました☆

2009/6/7(日) 午後 4:23 [ なち ]

なちさんへ

貧困層の人たちが、どこまでこの病気を理解してるのかわからない
のですが、病気についての知識を少しでも知れば、また変わる?
などと思ったりもしますが、そんな簡単な問題でもないのでしょうか…。
あと、面白いのがサラセミアの患者は、マラリアの罹らないんです
って。マラリア原虫も、不完全なHbの中では寄生できないってこと
なんでしょうか。

2009/6/8(月) 午後 6:27 [ thokofumi ]

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僕もサラセミアは本の中でしかしりません。
なちさんと同じでA1c測定するときの分画で、そういうのあるな〜位です。
でもマラリアのような寄生虫やサラセミアは日本で患者さんが来ても中々Dr始め想像出来ない気がします。。
あとマラリアとサラセミアの関連は初めて聞きました。興味深いですね。。

2009/6/8(月) 午後 7:51 [ sor*har*n ]

そらりんさんへ

そうですよね、日本はA1cは測定しても、HbA2、HbF、HbSなんて
まずオーダ来ない感じですよね。
標的赤血球も慣れないと見つけるの難しいなあと、思いました。
一見よくある小球性低色素の赤血球形態に似てるので、そういう目
で見ないとなかなか・・・。

2009/6/8(月) 午後 10:25 [ thokofumi ]


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