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梅真白

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勇気こそ地の塩なれや梅真白   中村草田男

俳句のサークルを始めて、最初に買った角川の「ハンディ版・入門歳時記」の、「梅」の項を開いた時。
まずは有名な「梅一輪一輪ほどの暖かさ」が目に飛び込んできて、その次に目についたのが何行か後に載っていた揚句だった。
「何?この句…どういう意味?」

「勇気」「真白」と純粋な美しさを持つ言葉で始まり、終わっている。
のちのち他の歳時記などに触れるようになってからも、けっこう載ってるのに鑑賞の対象にならない(解説がつかない)この句が、いつもいつも気になって仕方がなかった。

「塩」に調味料以外の意味があるのかと辞書で調べたりもしたけれど、塩はやっぱり塩。
「地」に「塩」は必要なような気も確かにする。塩化ナトリウムだよね。
植物の成長にも関係あるんだろうか?トリは時々「塩土」を食べたりするなあ。
人にも「塩」は不可欠なものだから…
なんとなくわかるような気はする。
「『勇気』こそが『土』に不可欠な『塩』のように、『人』に不可欠なものである。早春の梅のように、純白な勇気を持て」…こんな感じかな。なかなか深くて、いいじゃん。

わかったんだかわからないんだかわからないまま、「好きな句です」だなんて人に紹介なんぞもした。

パソコンを日常使うようになって、ふと「地の塩」で検索してみた。
塩せっけんなんかの宣伝に混ざって、出てきた出てきた。

「あなたがたは地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである」〜聖書 マタイによる福音書

あ、たぶんこれだ。ああ、そうか。
塩気のない塩は役に立たない。世の役に立つ塩になれよ、と、こういう感じのお説教をふまえて、
「『勇気』こそあなたを『地の塩』たらしめる力なのだ。真白な梅の花のように純粋に日々の挑戦をしなさい」
多分こういうことなのだ。ますます深い。

…そして、その後もう少し詳しく知ることになる。
この句が、学徒出陣する教え子たちへの餞(はなむけ)として詠まれたということを。
草田男は教師だった。教え子を戦地に送り出したのだ。
教え子に「勇気を持って『地の塩』になれ」と送り出す心情はどんなだったのだろう。

はたして「お国のためにその命を捨てよ」という意味だったんだろうか。

晩年に洗礼を受けたらしいけれど、草田男はこの頃はクリスチャンではない。
クリスチャンでない人が、戦時中に聖書をわざわざ持ち出して「死ぬ勇気」を説くだろうか?


出無精の腰をよっこらしょ、と上げて、梅を見てきました。曇天に、白梅の純白もあまり映えない。
ゆっくりしすぎて、売店のお弁当は最後の一個。一人分のお弁当で
「ごぼうとニンジンは私ね、レンコンと里芋はあなた」なんてつつきながら熱燗をいただいてたら、
頭の上で「チチチ」「チュイチュイ」と数羽の鳥の声。
見上げるとメジロが群で、梅の花の「美味しいところ」だけ食べまくってました。
一週間か十日前に、最後のノイバラの赤い実も食べ尽くしてしまっていたね。お腹すいていたでしょう。

中心の美味しいところだけ食べるとメジロは次の花に移る。
そのたびに枝が揺れ、花びらが私たちのお弁当の上にハラハラと散り落ちてきました。

梅はもちろん、沈黙し真白であり続けるだけでした。


鳥たちに蕊(しべ)差し出して梅真白    千秋

閉じる コメント(10)

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「勇気こそ地の塩なれや梅真白」…
全く知りませんでしたが、確かに深い句ですね。
学徒出陣する教え子を前に、いったい何を言おうとしていたのか。草田男が、国家のために死すべし、と説いているとだけは考えたくないです。もっと深い理由があるんでしょう。
知りたいですね〜。ポチ★

2009/2/12(木) 午後 0:41 アメジスト♂

深い句ですね〜〜!!
こんな深い素晴らしい句を読むには、いろんな知識があって、いろんなこと経験していないと読めないですね〜!
でもこんなに一つの句を解くのにいろんなこと調べたり、いろんなことに考えを広がらせたり、とても楽しいですね^^
・・・もとい!調べたのは千秋さんであり、その謎解きを読ませてもらうのがとても楽しいッ^^
蕊・・・っておしべ、めしべのことだったんですね♪
一つ賢くなりました
梅の花の下でゆったりとした時間が流れてる光景が目に浮かびます^^
千秋さんの句も謎解かなければ・・・ポチ☆

2009/2/12(木) 午後 2:14 まはろ〜まりりん

勿論、句だけ見て考えても全然わかりません。意味を調べろと言われたら、梅や塩をまず検索にかけると思いますが、地の塩ですか、これはまた深すぎます。
メジロ、まだ今年はお目にかかってません。食べまくって花びらを散らす姿は見てて和みます。

2009/2/12(木) 午後 6:43 bs

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草田男の句もさることながら、千秋さんの句もなかなか奥深いものですね。こりゃあ、随想もいいなあ、味があるんだよね。千秋さんは、やっぱりどっかで作家デビューすべきかなあ。この前、『続オールウェイズ 三丁目の夕日』を観たけど、下町の情景を描いて賞とってほしい。さらりと深い。ぽち!

2009/2/12(木) 午後 8:59 冬樹

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お久しぶりです。
一つの句から色んな事を教えられました。さすが千秋さんですね。
梅を見ながら一人分のお弁当を仲良くお二人で食べられている光景は
羨ましい限りですね。
お味はいい塩梅(あんばい)でしたか?(*^^)v
千秋さんの句、お見事です♪ポチッ☆
我が家にもメジロが毎日やって来ます。梅ではなくてビワの木にね。

2009/2/12(木) 午後 10:40 [ kag*mi1*2*00 ]

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物言わぬ真白な梅と、鳥たち。
過去も未来も、ずっと変わらぬ光景・関係なのでしょう。
仲良くお弁当を食べる千秋さんたちも、過去も未来も、変わらぬ仲睦まじさ。
素敵な情景ですね!!!

2009/2/13(金) 午後 1:37 キムラ〜

上記の意味だけなら良かった^^
「お国のためにその命を捨てよ」これは胸が締めつけられますね。
句の意味を知ることで、いろんな事が見えてくるんですね。
ほんとに奥が深いです。
たまに新聞に掲載されてるのを読むんですが、深く考えたこと無かったです(^^;

2009/2/14(土) 午前 11:51 るな

俳句は本当に奥が深いのだと思います。千秋さんをここまで悩ませるほどですからね、あの少ない言葉の中に。俳句は言葉からいかに想像し、世界を広めるのが醍醐味なのだと思います。素人の私が言うのは失礼かもしれませんが。

2009/2/14(土) 午後 2:51 [ jun ]

トラバ、ありがとうございました♪
これからの時期、桜はもちろんですが、一年を通して楽しめそうで
もっと早くデビューしてれば良かったって後悔してます(^^;
今度は隅々まで歩きつくすつもりで時間に余裕を持って伺わせて頂きますね(^^)

2009/2/16(月) 午後 5:44 るな

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へーぇ、深いねぇ。

あいなんて、「あなた方は地の塩」の聖書の言葉すら
頭には残っていたけれど
心に残っていなかったよ。

なんか、ここにくると近頃
反省ばかりだなぁ。。。

2009/2/20(金) 午後 4:37 あい

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