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約70軒ほどの居酒屋・カラオケ・小料理屋
等々が駅周辺にひしめく、大袋。
ヤドカリ島ちゃんは此の町一番の有名人である
自分の店を持たないが。
独自のお客を大勢抱えている。
島ちゃんは今迄に何回も借り店を移動しているが
変わる毎に客筋は即日から付いて回った。
昼間開いていない店舗をそっくり借り受け
午前10時から夕方5時まで営業をするのだが。
兎にかく廉い。
酎ハイ・酎サワー類は総て300円均一。
摘まみ類は総て200円〜250円
鮭鎌・焼き鳥・餃子・マグロ切り落し・納豆・サラダ
昼飯は
焼きそば250円カレーライス200円
日替わりランチ300円
カラオケは一曲100円
店は島ちゃん一人で切り盛りする。
島ちゃんが偶に歌うと
後に続く者は出ない
その辺のプロよりよっぽど上手い。
仕入れは出勤前に自分で市場で仕入れてくる。
客筋は女性客が80%
朝から飲みたい親爺連中が20%
女性は水商売関係が主だが
以外に医療関係者の若い女性も多い
島ちゃんは、長年自分の住まいを持たない。
毎晩近隣のラブホテルに泊まる。
妻・恋人はいないが、
常に押しかけフアンが泊まり込む。
多くは飲み屋のおかみさん。か
常連の女性客。
島ちゃんは5時に店を仕舞うと
店をピカピカに磨き掃除する。
その後銭湯で寛ぎ
夕暮れから近所の居酒屋を梯子する。
何処の店も島ちゃんが顔を出すと
無料で一杯出す。
廻りの客からも引っ切り無しに差し入れが出る
其処で知り合った客と
訪れた先の居酒屋のママは
間違いなく明日は島ちゃんの店を訪れて来る。
島ちゃんは客が進めた盃は一切断らない。
全て飲み干す。
島ちゃんに、
絶世の美女の押し掛け恋人が出来た。
大病院の
消化器外科の正看護師である。
大手術立ち合いが在った日は必ず訪れる。
30歳前後で在ろうか、色白黒髪の長髪であった
カウンタ−の一番端に座る。
500円のビールの大びんを頼む。
彼女は強い
おっさん連中からの差し入れも
断らず、全て見事に飲み干す。
島ちゃんの飲みっぷりも良くなったように見えた。
1っか月後に
突然、島ちゃんは脳溢血で倒れた。
絶世の美女は
一夜にして大酒乱と変身した。
気が狂ったように飲み
誰彼なく抱き着いて号泣した。
3日後に大袋のヤドカリは消えた。
享年47歳
今でも彼の常連客は
行く当てもなく
夜の街を1000円札を握りしめて彷徨っている。
朝から飲むところも無く成った連中は。
近くの小公園のベンチに屯した。
大袋は腑抜けの街と成った。
おわり
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短編・やどかり
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