日々平安

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さようならV君

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3日間、ずっと詰めていた音大生V君のお通夜。
お坊さんがお出でになって、葬儀が始まりました。

不謹慎ながら腹具合が悪くなってちょっと家に戻ると、ふと葬儀の一部だけでも画像におさめておきたいと思いはじめたのです。

葬儀中はとてもカメラを構える勇気などありません。
わが家前に霊柩車が止まっていて、もう時間がありません。
ベランダから、いつでもメモリーを紡げるようにしておこうと決心しました。

出棺が始まります。
V君のお兄さんが霊柩車に近い路地からの出口でお供え物を前に祈ります。
傍らには読経をするお坊さん。



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これは去年の暮れにあった葬儀、日本人にはちょっと不思議な光景です。
ほとんどの宗教でもほぼ同じ、こんな楽隊さんたちが派手な音楽を奏でて棺を先導するのです。



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V君の場合は、違いました。

日本なら雅楽でしょうか。
ベトナムの古典音楽隊が先導しました。
先頭はチャルメラに似た楽器。



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発案はこの方、二胡の名手。
弦楽器奏者を目指していたV君の先生でもあり、毎月第三日曜日にはまるで素人の私を個人レッスンしてくださる師匠でもあります。
もちろんV君の紹介でした。

この二胡はV君の演奏用、埋葬時にはお棺の中に入れられたそうです。



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導師さまが路地から出て来られました。
すぐ後ろにV君が友達や親族に担がれて来るはず、私もカメラを置いて降ります。

ベトナムでは一般の人が数珠を持つことはありません。
仏さまに仕える人のみが許されるとか。
だから、今まで数珠を持って葬儀に参列したのはごく近しい方の時だけに限っていました。
今回は、咎められてもいいからとずっと持っていたのは、とてつもなく日本びいきだったV君への感謝ですから、きっと許してもらえるでしょう。

霊柩車に乗せられる前、棺は『三顧の礼』でお別れをします。
『三顧の礼』などを使うのは場違いだとは知っています、でも、ここはこの言葉が一番ふさわしいでしょう。
棺の足元を持った人が屈み、頭の方を持った人が腕を伸ばしてゆっくりと三度。
正しい意味合いは知りません。
でも、「今までお世話になりました。これでお別れです」と、勝手に解釈しています。


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在りし日のV君です。
どうぞ安らかに。

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