ちょい旅

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ある恋の物語

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メコンデルタ地帯で隣国カンボジアに接するドンタップ省、ティエン江沿いにこの邸宅がありました。
建設されたのはフランス統治下ですから、ベトナム戦争や第二次世界大戦よりもずっと前のことで100年近くの歴史がある建物です。

屋根飾りは中国風、建物自体は南フランス風の一風変わったスタイルでした。
当時はもっと広い敷地の、日本風にいえば『母屋』に当たります。



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これも日本風にいえば『平屋建て』かな。
レリーフや柱飾りはフランス風でも、掲げられた額などはやっぱり中国の香りがいっぱいです。
建設当時はかなりの広さがあったそうで、共産党が全国統一された後にこの屋敷だけが残されました。



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今は公営の『ドンタップツーリスト』が管理、72の提携旅行社に東南アジアの会社は含まれても、残念ながら日本の旅行社はありませんでした。
そもそもこの辺りに興味を示す人なんて、いませんよね。
ほとんどがビーチリゾートや有名観光地にお出かけ、バックパッカーもこんな情報はネットでも見つけられないでしょう。

矢印がサイゴンツーリストのロゴ、でもやっぱりここはベトナム人だって知る人は少ないようでした。



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下の写真が、この物語の主人公です。
男性はフイン・トゥイ・レという中国系ベトナム人、女性はマルグリット・デュランでフランス南部のニース出身、男性が留学中に知り合ったそうです。
どうです、お似合いのカップルではありませんか。

あはは、古いフランス映画『愛人/ラ・マン』をご覧になった方ならお分かりでしょう、この写真群はそのシーンからです。
映画の舞台はサイゴン(現:ホーチミン市)の中華街チョロン、しかしそのモデルになった主人公が暮らしていたのがこの地なのでした。

原作はマルグリット・デュランご本人の自伝的小説ではあっても、映画ではかなりの手が加えられていて、この映画を公開されることにかなりの反対されたそうです。
これで建物の由縁が、お分かりいただけたでしょうか。



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こちらが実際の写真、マルグリット・デュランと家族も写っています。
映画の中では設定が『家族はフランス語教師の母と二人の兄』となっていますが、右下の写真ではそうではないと分かります。

中央右は彼女の母親が実際に教師をしていたサディック省のフランス語学校です。
その左は『愛人/ラ・マン』の監督ジャン‐ジャック・アノーとの打ち合わせショット、ご本人にしてみれば原作本と全く違った映画の仕上がりをどう思われているんでしょう。



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案内してくださる女性、フランス語は堪能でも英語は苦手。
そうおっしゃいますけど、私の質問にもきちんと答えてくださる、なかなかの英語力でした。



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寝室には小さなベッドに枕が二つ、映画をご覧になった方々にはきっと刺激的。
あ、枕もとの扇風機は、当時なかったと思われます。
それに、蚊帳の外からではほとんど意味がないでしょう。

映画『愛人/ラマン(原題:THE LOVER)youtubeはこちらから』の原作者が住んでいた家があると聞いてもう10年、ようやく念願がかないました。



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エントランスの天井も仏華折衷、額とシャンデリアが妙な雰囲気でした。
でも、私は嫌いじゃないな。
わが家だって日越折衷です。



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一角にあったスーベニアショップ、ここで珍しいものを見つけました。



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1947年発行の、1ピアストル硬貨です。

第二次世界大戦が終わってホー・チ・ミンがバーデン広場で独立宣言をしたのが1945年、そして翌年の12月に第一次インドシナ戦争が勃発。
裏には『インドシナ連邦』とあり、表にはこの通り『フランス連合』ともあります。
動乱の中で発行されたコインです。

肖像には『P.TURIN』とあって、フランス語をグーグル翻訳してみたけれどさっぱり分かりませんでした。
ほとんど自分にはみやげを買うことのない人間が、いい記念になったと喜んでいます。

追記:調べてみたら、この映画はベトナムで公開されてないそうです。
かなり官能的ですから、きっと当局はこれからも許さないでしょうね。

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