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しかし大阪の鶴橋みたいに『駅に降りたら焼肉の匂い』などといったことはなく、高層建築もない昔のサイゴンらしさが残る街並みが見られる通りでもあります。 ふた月に一度、『情報交換会』とは名ばかりの5人が集まって何のテーマもなくガヤガヤと昼飯を食べるだけの会があります。 日本人のくせにゴルフもしない男たちが日曜の昼に集まりだしたのは、もう三年になるでしょうか。 お互いに名刺の交換もしたこともない癖に、サイゴンに何年暮らしているとか家族構成とか出身地とかはよく知っている間柄。 今回の世話役はY氏で、指定したレストランはこの通りにありました。 待てよ、ここは昔『北レス』のあった場所ではなかったのかな。 「ここは、もしかして北レスじゃないんですか?」 北レスとは在留邦人の通称で、正式には『北朝鮮国営レストラン』のこと。 しばらく閉店していたのに、いつ復活したんでしょう。 この通りはあまり使わないので、まったく知りませんでした。 いっぱいバイクが並んでいる所を見ると、最近の開店ではなさそうです。 反対派のO氏が言います。 「喜び組のダンスや演奏は夜にしかチマチョゴリを着てきませんよ、お昼の店員さん姿はごく普通の女の子にしか見えません」 私も言いました。 「私たちが使ったお金は核実験やミサイルに化けて、日本を脅しにかかるんですよ。食べていても美味しくありません」 Y幹事が反論。 「ある人のブログを見たんですけどね、ちょっと高くても結構うまいものを喰わすそうですよ。ソウルのレストランとはひと味違うって」 5人とも韓国での仕事も経験済み、ちょっと心が動きそうになりました。 通りに面しての入り口はなさそうです。 リーダー格O氏が決然とした態度の言葉で決まり、私がタクシーを拾いました。 どうやらこの奥に店の玄関がありそうです。 最近13人の従業員が『脱北』したニュースは、当然みんな知っています。 「奥に住宅があったのは、従業員寮だろうか」 「もしそうなら、あそこから脱出するのは難しそうだね」 誰もがしっかり観察していました。 いくらブログネタにしたくても、抑制する力は残っています。
ご報告は、店の表からだけでお終いにしておきましょう。 |
食べ物・飲み物
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