ちょい旅

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帰り道で5分間だけ

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牛車の先のカーブを回ると、見えてくるんです。
ずっと気になっていたけど、ずっと車のドライバーにちょっとだけ止まってくれませんかと言っても「車内から(写真は)撮って」と言われるばかりでした。
今回はまだ家内の顔が利くサイゴンツーリスト、S君にちょっと止まって写真を撮らせてくれと申し出てみました。



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「やっぱり車内から撮れませんか?」とS君の答え、たった一人のリクエストに応えていたらキリがありませんからね。
今回も同じだろうと諦めていたら、ドライバーが徐行をしてくれました。
でも、やっぱり車からの写真では思ったような画像は撮れません。



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思いがけなくドライバーが、停まってくれました。
ガラス越しでもいいやと考えながらシャッターを切っていると外を指さして、「5分だけだよ」とドライバーのありがたいお言葉。
もちろんシートベルトを外して、国道1号線に飛び出しました。



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この際バイクがいたって車が通っていたって、逆光だって気にしません。
このチャムタワーはレリーフが美しくて有名、山地に残されているタワーとは違って建設当時のままなのです。
5分間で済ませると言ったからには交通量の多い国道1号線を渡る訳には行きません。
ふとドライバーを見たら「行け、行け」の手合図、何キロメートルも信号がないのでこの辺りは時速80キロが制限速度。
高速道路を渡る気持ちで横断しました。



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どうです。
親子タワーをこんなアングルで撮れました。
邪魔なショベルローダーもフレームには入りません。

ここは国家文化財に指定されていても一般公開されていない、唯一のチャムタワーなんです。
正式にはホアライ遺跡、『地球の歩き方』にも「ニャチャンから南下する国道1号線に接していて、壁面に施された精緻な彫刻は必見に値する」とあります。
今までずっと車内からの画像でしたから、こんなにうれしいことはありません。



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資料によれば8世紀から9世紀半ばまでの建立、今から1100年以上前の彫刻がこんなにきれいに残っています。
平地に建てられていたからかベトナム戦争の戦火にも遭わずに残されているのは奇跡的、でもこれから国道が拡張されれば文化スポーツ観光省は守ってくれるんでしょうか。
じっと見つめているだけで時間が過ぎます。



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これが塀の外からズームがいっぱい、千年以上の香りが伝わってきます。
中央にあるシバ神も美しいし、屋根を支えるガルーダも当時のまま残っています。
接着剤なしに積み上げられた焼結レンガも、ほとんど欠け落ちることもなく角が立っていました。



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これは南側にある小ぶりな建物は、宝物庫でしょうか。
お伝えしてきたように、シバ神信仰は朝陽を一番重視します。
きっと出入口は他のチャムタワーと同じように、左の東側に開いていると思われます。



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車が待っていてくれる所に戻ってみました。
塀の外からでは、これ以上仕方ありませんね。
この重機は道路整備用でしょう、この遺跡に関しては修復の必要性はありませんから。
もっと詳しく見たいし、公開すれば中国と同じような落書きや外壁を壊されるような行為がありそうなので、このまま非公開がいいなと思ったり。

あっという間の5分間、写真はもっと撮っているんですよ。
もう車に戻らなきゃ、日本人は時間を守ります。



おまけ。
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車に乗ってスタートしてから、反対側の写真も撮っておきました。
何の変哲もない、ベトナムの稲作地帯でした。

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