ちょい旅

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病院で温泉

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温泉卵=熱湯に漬けただけの茹で卵=を早々に食べて、来た道を戻ります。
確か50メートルほどだと言っていたのに、200メートルは走りました。
この左がその病院、入院もしていない観光客に果たして使わせてくれるんでしょうか。
交渉役はDさんと家内に任せましょう。



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突き当りの赤い屋根に源泉から引かれたパイプが入っています。
事務所にDさんと家内、きっと私がネタに使われているのでしょう。
「日本から来た男が、温泉に入りたがっている」



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交渉の合間に、院内を拝見させてもらいました。
このかたが病院の創設者ですかね、レ・フー・チャックさんが亡くなったのは1791年ですから相当な歴史のある病院のようです。
胸像にお線香と花、ベトナムらしいではありませんか。



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交渉成立、看護婦さんが『男湯』に案内してくれました。
手作りみたいなステンレス浴槽は、私が横になっても頭まで入ってしまいそうですから、180センチ以上あるでしょう。
石鹼がありません、きっと入浴する患者さんたちは『マイ石鹸』と『マイタオル』を持ってこられるのでしょうね。
「水着とタオルは持って来ています、でも石鹸がありません」
そう言うとホテルに備えられているような小さな石鹸を持って来てくれました、2000ドン(¥10)でした。



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看護婦さんが水と温泉を出してくれました。
どちらもバルブは全開、大きな浴槽ですからお湯がたまるまで時間がかかりそうです。
ここでひと悶着。

「日本は水着を付けずに温泉に入ります。どうしても水着は必要ですか?」
「病院のルールです」
「でも、あなたが出て行ったら誰もいませんよね。それでも水着は必要ですか?」
「………」
屁理屈では誰にも負けません、家内以外。

内側から鍵をかける条件で、めでたく日本式浴場に許可が出ました。
ただ、体を洗う時に必要な、上品に言うと『バスチェアー』がありません。
バケツを反対にして腰掛ける、これで対応しました。



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久しぶりに小1時間もかけて風呂に入りました。
なのに家内と子供たちはまだ出てきません。
『女の長風呂』はベトナムでも健在、バスルームからはキャッキャと歓声が聞こえてきますから、まだ時間がかかりそうです。
湯上りの散歩でもしましょうか。



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家内と子供たちは水着のまま体を洗っているんだろうか、そんなことを考えながら歩いていたら先ほどの看護婦さんが。
「いいお風呂でした」
「5人ですから、10万ドン(¥500)です」
家内は入る前に支払いをしていなかったみたい、それでも一人百円とは安いじゃないですか。

私が出てからもう30分、Dさんは木陰で休んでいました。
やっぱり口から出てきた歌は『神田川』のメロディー。
♪こんどは 二人で 待ぁたぁされた♪

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