ちょい旅

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カインティンタワー

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Dさんは途中で何度も止まって道を尋ねます。
国道1号線から入る道が難しいんです、国道からは見えているのに。
「もっと先」
目印がありませんから、こう答えるしかないんでしょうね。

さすがのグーグルマップも、拡大したって日本の地図のようにこんな狭い道は表示されないんですよ。
だいいち、かなり拡大しなければチャムタワーも表示されませんでした。
頼れるのは他人様、だからベトナムでは一般車両にナビが付いていないんでしょうか。
何度か助けられて、ようやく近づいてきました。



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入場券売り場は閉まったまま、電話番号が小さく書いてあります。
Dさんがその番号にかけると、こう言われたそうです。
「鍵はかかっていませんから、扉を開けて入ってください」
時刻は13時半、まだ昼休み中なんですかね。



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「あとで(係員が)来たら、入場料を払えばいい」
「来なかったら?」
「それは、あなたの勝ち!」
ギャンブルをするつもりはないけど、早く見終わって帰ろうと焦る気持ちは何なんでしょう。
Dさんが扉を開けてくれました。



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いいフォルムをしているのに、壁面の彫刻も残っているのに、なぜか魅入られません。
コーナーピラーに白い材料を使っているからだと思います。
かなりの違和感があるんです。



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屋根にある九段の鴟尾(しび)も焼結レンガではありません。
「これは12世紀に建てられたものだそうです」
「でも、国宝や重要文化財ではなさそうですね?」
「指定は受けてなさそうです」
そうでしょうね、きっと。

世界文化遺産の『ミーソン遺跡群』だって、フランスの監修下で修復作業をした以外はコンクリートを使ったりの仕事でしたからね。
こんなにきれいな彫刻が残っているのに、もったいない事です。



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裏に回ると、見るも無残な状態でした。
「キン族(大多数のベトナム人)は、ほとんどチャム文化に興味がなさそうですから…仕方ないかな」
「最近はビンディン省もチャムタワーの管理に力を入れるようになったんですけど、まだ一部だけです」



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党の内部には、もちろん祭礼に使われたリンガやヨニは残っておらず、こんな祭壇が一つあるだけでした。
破風などの内部彫刻もなし、きっとダナンの『チャム彫刻博物館』などに展示されているのでしょう。
ただ、この博物館には出土した省名が書かれているだけで、それ以外の詳細には全く触れられていないのが残念です。



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内壁も落書きなどが消された跡が残っています、電動ワイヤブラシの痕跡がくっきり。
フラッシュを使ったので白っぽくなりました、しかしこれは焼結レンガなんですよ。
この後にサンドペーパーなどで整えると、復元しましたと言えるのに。



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たくさん写真を撮って、正面に戻って来ました。
やっぱり気になりますね、この柱。
コンクリートブロックに、彫刻だけは復元してありますよね。
12世紀のチャム族が持っていた技術に、現在のベトナム人は劣るなんて言われたくないだろうに。



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何度も首をひねる私に、Dさんはこのプレートを指さしました。
『カインティンタワーの修復プロジェクトはドイツ連邦共和国の財政援助です』

「財政援助って、当然技術指導や監修も含みますよね?」
そう言いかけて、やめました。

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