ワンコとアントゥ

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花もつけずに

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三歳の時にチビが植えたおはじき、目印として竹の棒を建てて籾殻まで撒きました。
私が年に二度していた事をよく覚えていて、しっかりとコピーしたものです。

事の起こりはお姉ちゃん格の姪っ子たちに買って来たおはじきをすっかり巻き上げられ、残ったひとつをこうして増やそうとの魂胆でした。
話を聞いた家内が私たちに内緒で果物の種をいくつか植えて、ひとつから芽を出したのです。
「これ、何の木?」
「そう、ニャンの木」
ニャンとはリュウガンの事、それでもチビはおはじきの木だと言い張ります。
わが家では『おはじ木』と命名されたのです。



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2004年ですから、今から三年前。
成長競争では、チビの背丈を超えました。

「ニャンは接ぎ木でしか実はならないよ」
義弟からそう聞いていたので、収穫の期待はしなかったのです。
もうこの頃には、チビも「おはじきの木」だとは言わなくなっていました。



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お伝えしたようにロープが食い込んで幹が折れ、今もなおロープは取れません。
その奥に大胡蝶の種を植えたので、伐採してしまう事も考えました。
「この木は、しぶといよ」
家内が言うとおり、どの枝も枯れたりはしません。
なかなか決断ができないのは、チビと成長を競争していた思い出があるからでしょう。



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確かに競争は続いていて、今はどちらも横へ横へと…。

3日前の事でした。
「あれ?実がなってるよ」
遠くはよく見える家内が言いました。
嘘っ!と思ったのは、まだこの木から花が咲いたところを見た事がなかったからです。
イチジクは実が花、他に花も咲かずに実のなる植物が思い当たりません。



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チビや私は『実はならない』と思い込んでいたのはおおいに迂闊、ずっと水遣りしていたのに気づきもしませんでした。
ほらと言われても、まだ分かりません。
「いぇーい!」
チビも発見したようです、私はこの枝先だと言われてようやく分かったのでした。



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ここに二つ、ニャンの子供が。
枝を近くに持って来ないと、これは水遣り時には見つけられませんよね。
家内が手を伸ばして、ようやくの記念写真です。



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その隣に一つ、直径は2センチほどでしょうか。
ニャンは表皮が硬い果物、それにゴツゴツ感がまだありません。



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ひとつの枝から小別れした小枝に合計5個のニャンの実、他の枝にはまったく実っていません。
接ぎ木しないと実はできないはずの木に、ニャンという事でしょうね。
義弟は「この枝だけが、先祖返りした」などと言い訳をします。
ジャム作りに凝っているチビは、ネットで作り方を検索。
市場でたくさん買って来て、それに混ぜれば『わが家産・ニャンのジャム』として通じるかも知れません。
産地偽装でも、親類内なら許してくれるでしょう。



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これがベトナムのおはじき、チビが3歳の時に撮っておいたものです。
今さらこんな実が出来たって、9年生(中学3年生)では見向きもしないでしょうね。
伐採しないでよかったとの気持ちと大胡蝶の成長とがバッティング、狭い箱庭で勢力争いが繰り広げられるのかも知れません。

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