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なぜ丈夫な金属部分が折れたのか、説明しないといけませんね。 実は食べかすが歯茎と仮歯の間に入るのが気になって、仕方がなかったんです。 じっさい何度もうがいすると、何時間も前に食べたカスが出てくることもありますから。 それに、心配なのは歯茎への影響、歯周病にでも罹らないかと案じる気持ちもありました。 おお、これはうまく行きそうだ、1・2・3…と。 こうして外す時に、チタン合金の部分に余分な力がかかったんでしょうか。 ブラッシングできてすっきり満足した後で取り付けると、今度は舌触りが気になって仕方がありません。 ここをこう曲げてやれ、いや曲げ過ぎたかな。 ああでもない、こうでもないと何度も繰り返した結果、折れてしまったのです。 ベトナムの医療費は面白い事に『グロス制』、眼科専門病院も同じで細かな事にとらわれずひと山いくら。 白内障の検査はこれだけ、手術代はこれだけと一覧表まであるのです。 日本だと治療に通う日ごとに『再診料』やその日の治療費を払わなければいけません、その点は非常に楽な『どんぶり勘定』制度です。 今回は修理できればいいけれど、合金部分が折れてしまったからきっと無理でしょうね。 どの項目に当たるのか、扉の金額票を見ても分かりませんでした。 今日は緊急事態とあって予約なし、どんな対応をしてくれるんでしょう。 「あと15分待ってください」 そうですよね、日本では虫歯が痛んでも予約を取らないと治療してくれない事もありますから良心的なのかな。 今日は男先生か女先生か、どちらでしょうか。 ニコッと笑って「ナムチャムキンドン(50万ドン)!」 こんなに手間がかかるのに、50万ドン(¥2500)なんですか。 日本なら健康保険があってもきっとこれぐらいは支払わないといけないでしょう、いい国に来たものです。 ひんやりした歯型取りは上と下の歯に、温かい樹脂はかみ合わせを型取りする時。 前回と全く同じ、3日後に来なさいと言われました。 「先生、簡単に取り外しできるようにしてもらえませんか?」 「できません!」 今年は放射線の特異年だわ。 「今度は折らないようにしてください。いくらチタン合金でも何度も同じところを曲げたら、折れるんです」 私は原因を一度も口にした事はありません。 先生、家内に電話した?それとも家内が電話したのかな? 仮歯を嵌めて終わりかなと思ったら、今度は丹念にエアで吹いてから接着剤らしきものを付けます。 「これで取れないでしょう」 意地でも外しましたよ、例のニッパで。 今度はヒビが入りました、でも脱着は舌だけでもできるようにもなりました。 写真は象牙色に写っている仮歯、実際はもっと白い歯なんです、念のため。 インプラント完成まで、この歯が持ってくれればいいけど。 たかが50万ドンと言えども、こちらでは缶ビールが40本も買えます。 二度目の仮歯を入れた時の事、男先生が言いました。
「今息子が来ているから、家まで送らせましょうか?」 送迎付き歯科医なんて、これも日本にはありませんよね。 |
日々平安
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