乗り物百態

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あるゴミの物語

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ゴミがコイだったら、どんなにロマンチックな事でしょうけれど。

テト(旧正月)も近づいたある日の午後、卒業も決まった大学生さんがアパートからゴミを出していました。
早くから就職も決まって喜んでいた、近くのアパートの1室をを2人でシェアしていた男性。
このボードは、きっとパーティションで使っていた物でしょう。

ホーチミン市の条例では日本と同じで、粗大ゴミはそれなりに処理方法が決められているはず。
誰も守りませんけどね、運河に捨てられるよりはマシかな。
ただね、この地域のゴミ収集業者が来るのは朝の3時前、話をするにも大変なんです。
市に電話?この国の公務員はちょっとやそっとで動いてくれませんよ。



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翌朝、こうしてゴミが増えていました。
目ぼしい物はないかと自転車を降りたおじさんも、どうやら諦めたみたいですね。



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その日の午後、ボード2枚の貰い手がありました。
日本みたいな当番制で掃除をする制度もなければ、月に一度の町内清掃の仕組みもありません。
自分の家の前だけきれいにする、公共部分はお上の仕事と割り切っている節があるのです。



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ゴミが少なくなったぞ、テトはもう4日後だし掃除しておこうかな。
箒と塵取りを持って家を出ようとしたら、義弟に止められました。
「もうすぐテトだよ、どの家も大掃除でごみを誰かが持ってくる」



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本当でした、これが翌日の姿。
でも、すでにゴミがあったから、それが誘い水になったのではと思っても後の祭り。
朝の暗い内からデジカメを持って屋上にあがってみたけど、すでにこの状態だったんです。
写真を撮ったって、公安(警察)は動いてはくれないでしょうけど。



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この男性は地区坦(党の末端組織で、自治会長に当たります)の息子さん、自分のバイクにゴミを乗せ始めました。
この先に日本と同じゴミ収集車が来て、バイク式リヤカーから移し替える場所があるのです。
きっと地区坦のお父さんから言われての作業でしょう、これはこれで感謝。



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義弟に聞いてみました、もう掃除してもいいだろうと。
「まだまだ大掃除をしている家があるから、ゴミは出る」



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大当たり、もう大晦日前日の朝というのにご覧の通り。
去年まではこんな事はなかったのに、道路は深夜の内に管理局がきれいにしてテトに備えています。
やっぱり縦割り行政だわ。
地区坦さんの息子みたいに、私もバイクで集積場まで運ぼうかとしたら、義弟が言いました。
「昼頃にかたづくよ、地区坦さんが言ってた」
缶ビールのケース5杯を地区坦さん宅に配達した義弟が、断定的に言いました。



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午後ではなく、大晦日の朝でした。
少し増えたゴミを積んでくれたのはありがたかった、きれいにするのは今しかない。
塵取りと箒に、バケツ1杯の水を持って出動です。
義弟はうんうんと頷くだけ、キミも協力しろよ。



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捨てる人あれば拾う人ありがベトナムの粗大ゴミ、うまく回転しているのにテトの時期になると違うようでした。
ああ、スッキリした。
いい気分でテトを迎えられたけれど、4日目からはまた…。
看板を立てますか、でも個人の土地以外は立てると規則違反。
難しい国だわ。

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