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どんなテーマパークや遊園地にも、ひときわ目立つ高さのある構造物があると思います。 それはお城風なモニュメントであったり観覧車だったりさまざまでも、園内のどこからでも見えるように配慮されています。 以前にアミューズメントパークを設計された方とお話をさせていただいた中で、それはシンボルであると同時に、園内のお客様に現在の場所と方角を示すためだとも聞いて、なるほどと思ったことがありました。 「だから」と彼は言いました。 「京都タワーや神戸のポートタワーのような構造物は、広大なアミューズメントやテーマパークには相応しくないんです」 バナ族のロングハウスがクチ少数民族文化村のシンボルに当たります。 漢字では「巴那族高脚屋」とありました。 確かに園内のどこからでも見えるバナ族のロングハウスは、高さ24メートル。 以前にこれをご紹介した時に、「バナ族って、そんなに背が高いんですか?」というツッコミを戴きましたが、今回はご容赦下さい。 バナ族だって、日本人の平均身長よりずっと小さいんです。 権力の象徴はどこも同じ、巨大な建物に住むのが首長の証でもあったのです。 開園当時はこの前で水牛を交えた伝統の踊りや、ロングハウスの屋内では結婚式が再現されたと、古いパンフレットには書かれています。 今は何の催し物も行われていません。 椰子の葉を使った屋根材もところどころにほころびが見え、スコールの時にはきっと雨漏りがあるはずです。 確かに、どこの位置からもロングハウスの屋根が望めます。 ここはロングハウスを取り囲むように設定されている養殖池を兼ねた遊園池の東端、入口とはほぼ逆の位置になります。 ベトナムは54の民族からなります。 その中で広義のベトナム人とされるキン族が87%を超え、同じ平野部に競合して住居を構える中国系(華人)やクメール系のベトナム人を含めると、ほぼ90%になります。 残り10%の約80万人が高地山岳地帯に暮らしていました。 クメール系のバナ族もその1民族、20年前の古いデータでも136000人でしたから、今はもっと減少しているでしょう。 ロングハウス前の広場に繋がる竹橋です。 フェスティバルが盛大に催されていた頃は、ここから次の出番に向かう民族衣装の列が見られました。 今は少数民族の娘さんたちも、渡ることはなくなりました。 80年に公布されたベトナムの憲法前文に、こうあります。拙訳です。 『各民族は自らの言語と文字を使い、自己の風俗、習慣、伝統及び麗しい文化を受け継ぎ、表現することの権利を有する』 民族の融和を念頭に置いたはずのテーマパークならば、外資に頼らずに民族資本や政府の主導のもとで始まっていたら、もっと違った現在になっていたかも知れません。 2年前は渡れた竹橋もあちこちで破損していて、私もここまでで諦めました。
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2009年07月13日
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