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以前はダチョウだけのエリアがありました。 10数羽はいて、ダチョウの養殖を手掛けているなどとまことしやかな情報が流れたそうです。 真偽を確かめることはしませんでした、確かめても何にもならないと思ったからです。 ひとりで園内漫歩に出かけると、今は1羽だけが金網に囲まれた中にいました。 別に声を掛けたわけではないのに寄ってきます、人恋しいのかも知れません。 私はダチョウのエリアには行かなかったので、決してこのダチョウとは顔見知りではありません。 扉には金網がないので、万一アタックされるとこの長い首ですから逃れられないと考えて、金網の張られた方から近づいてみました。 背の高さは、私がかなり角度のある見上げ方をしなければならなかったから、ゆうに2メートルはあるでしょう。 移動すると、ダチョウもついてきます。 人慣れしたダチョウなのでしょうか。 ダチョウの鳴き声は聞いたことがありません。 ここまで近づいてくれても聞こえるのは鼻息だけ、金網を突っつくようなことはせずに私の顔を見つめます。 ちょうど私の顔の高さ。 決して威嚇しているような雰囲気ではありませんし、鼻息に加えて、クチバシのカタカタとする音も聞こえます。 これは餌をねだっているのだと思いました。 顔を見定め終わったのか、突然ダチョウが踊り出しました。 足の向きを見てお分かりになると思います、私を正面にして羽根をバタバタ、首を大きく左右に振っています。 姿勢はごくごく低く。 これはやっぱりお腹が空いているのだと思ったけれど、あいにく私が持っているのはカメラだけ、みんながいるところに戻らないと何もないし、勝手に餌をあげてはいけないかも知れません。 「何もないよ、あげられないよ、餌」 初めてそう声を掛けると、いよいよ姿勢が低くなります。 目も、悲しそうに見え始めました。 これ以上続けてみていると、きっと餌を与えてしまいそうになります。 ダンスの途中で悪いけど、後ろ髪を引かれる思いでサヨナラを告げることにしました。 飼育員さんも減りました、その飼育員さんが帰路にいたので、家内に聞いてもらいました。 「ダチョウが餌をねだって、ダンスをしていましたよ。これは教えたんですか?」 飼育員さんが不思議そうな顔をするので、デジカメのモニタに再現して見てもらいました。 胸のポケットからメガネを出してみた瞬間言った飼育員さんの言葉に、わがファミリーからどっと笑い声が上がりました。 私だけが蚊帳の外。 「彼、なんと言った?」 「正直に言って、怒らない?」 「もちろん!」 「……このダンスは、求愛のダンスらしいよ……」 1羽だけ残されたこのダチョウが、雄なのか雌なのかは聞かずに帰りました。 どちらにしても大きな誤解なんですから。 クチ少数民族文化村。
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2009年07月22日
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