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プノンペン3時間の旅

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ツアーバスはトゥール・スレンの『虐殺博物館』へ向かう途中、セントラルマーケットに寄り道してくれました。

「ここに、12時に来てくださいよ。何かあったら、必ず電話をしてください」
時刻は8時45分、ガイドの『岡本課長』からいただいた自由行動は3時間と少しです。
「お昼ご飯なら一人で食べますから、もう1時間ほど…」
「チケットなどはどうにでもなりますが、食事は人数分を会社に別途請求されますからね。ひとり足らないとなると理由を聞かれることがあります、これは困ります」

困らせることはしない主義、3時間だとどうするかだけが頭の中でぐるぐる回り始めました。



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歩きながら去年お世話になったホテルのチーフ・レセプショニスト『ナリン君』に電話を入れると、『この電話は現在使われていません』のメッセージ。
仕事中でも電源を切ったりせず、トラブルが起きた時には電話を入れると即応してくれた人です。
もしかしたらSIMカードを変えてしまったのかもしれません。

とりあえず去年の拠点近くに向かうことにしました。



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建築中だったホテルも、すでにオープンしていました。



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中華料理店が、コンビニになっていたし。



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これは去年の写真、左下に見える『北京ダック $9.80』の誘惑に、毎夕耐えていたものでした。
1日の食費が10ドルと決めていたので、とうとう味見もできないままになってしまいました。

もちろんビール代は別勘定が、わがビンボー旅行の掟です。



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まだ時間が早いからか、シャッターの下りている店が目立ちます。
馴染みになっていたレストラン、開いているのかが心配になってきました。



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ありました、開店もしています。
名前も同じだけれど、ちょっと雰囲気が違っていました。
去年は店内もオープンエアー、私の姿を見かけるとすぐに扇風機を持ってきてくれて、何も言わなくてもジョッキのビールが出てきたお店でした。

どんな反応を見せてくれるかとっても楽しみな部分と、もしかしての不安が交錯してきます。



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ガラス戸を開くと、すっかり模様替えされていました。

「ビール、飲めますか?」
「イエス!」
「オーナーさん、まだお見えじゃないですね」
「この店、私のお店なんですけど」
どうやら、代替わりされていたようでした。

お話では9ヶ月前にこのお店を買われたとか。
「ここは、ご存知だったんですか?」
ジョッキのビールを持ってきていただいた時に、訊ねられました」
「はい、去年3月に訪ねた時は、ほとんど毎日2回来ていたんです」
「今回は何日の滞在ですか?」
「今日、サイゴンに帰ってしまうんですよ」
「それは、残念」
私も、残念でした。



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これも、去年の写真。

プノンペン大学の学生さんだった長男さんには、バイクに乗せてもらって日本の援助団体が建てた小学校にも案内してもらったし。
安価でおいしい食事をさせてもらったし。
何よりいつも笑顔がいっぱいで、ビールの味が格別だったんです。

持ってきてもらったジョッキにも、小さな皿に山盛りのピーナッツがついてきたのに。
私は、それが残念だったんです。



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さて、気を取り直して『ナリン君』のホテルに顔出ししましょう。
せっかくアオザイ人形をおみやげに持ってきたんですから。

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