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流しの鋳掛屋さん

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最近多くなったマイクから流れる掛け声ではなく、独特で渋みのあるナマ声です。
一週間に一度か二週間に一度回ってくる鋳掛屋さんが、わが家の路地側に止まったみたいでした。

子供の頃、鋳掛屋さんの仕事をそばにかがみこんで眺めていたことを思い出します。
当時は鍋のアルミの材質も悪かったせいか、底に穴の開くことが多かったようでした。
なべ底を天にかざして穴の位置を確認して、「ほらここに穴があるやろ」と教えてくれてから作業を始めました。

同じアルミの小さなリベットを打ち込んで、当て金を添えて鍋の裏から金づちでカンカンと。
これでなぜ水が漏れないのかが不思議でした。
子供の頃はすぐそばで、長じてしまった今は二階から、いずれも覗き込むのは同じ好奇心の塊です。
昔は自転車、今はバイクで回っている差はあれど、大好きな手仕事の始まり、始まり。

今回お声がかかったのは、鍋の取っ手が取れてしまった修理のようでした。
道具箱から似たような取っ手を取り出して、穴ピッチの確認でしょう。



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まずプライヤーで取っ手を外したのでしょう、左下の方に残骸があります。
次は残っているリベットを外さないといけません。



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左膝に当て金を置いて、穴の明け直しでしょうか。
ポンチを叩く音が聞こえてきます。
両方の取っ手に同様の作業、なかなか手際はいいじゃないですか。



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二個目の穴にかかりました。



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新しい取っ手にリベットを入れて、取り付けできるかの確認だと思います。



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大丈夫なら、リベットをカシメに入ります。
今度は当て金を直接手で持って、アルミですから叩く音も変わってきました。

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これで完成ではありません、取っ手が二つあってこその両手鍋です。



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これで完成、タイムスタンプで確認したら最初の写真から5分の早業でした。
日本で見た時の差が、一つあります。

焦げの付いたところをスチールウールできれいに磨き上げて、お客さんに返していたんです。
「ほら、こんなにきれいになるんやで。一つ買うといたら?」
当時はまだ珍しかった、確かボンスターと言ったかな。
鍋の修理にセールスマンも兼ねていた、日本の鋳掛屋さんの方が一枚上手でしょうか。
でも、取っ手が溶けるまでって、どんな料理法をしているのかが気になりました。

まだまだ物を大切にするベトナム、経済がもっと発展したらこんな仕事も消えてゆくのでしょう。
修理代が品物の価格の何割になると新品を買う、そんなデータがありましたっけ。
まだ今は『いい時代』なんでしょうか。

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