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椰子のロープ

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年に三度も収穫できる稲作が出来なくなりつつあるのはお伝えしました、そこで現金収入を考えないといけなくなったみなさんは知恵を絞ります。
これは椰子の葉を乾燥させてから編んだ籠、試作品ですから骨組みは長兄さんが拵えた針金。
日本の農協に似た組織で認められたら、良さそうな竹を探して作るとか。
長兄さん、それなら最初から竹でこしらえた方がよくないですか。
そう言ったらここで会話が中断、またいらぬことをと家内に叱られました。



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これは次兄さんが作っている椰子の実で作った小物入れ、今度は何も言いませんでした。
もちろんまだ仕掛り品。



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二つ切りにしたふたを開けると、こうなります。
これから塗料を塗るとか、どんな手作り感が出せるかがカギかな。
どうやらその農協に似た組織でコンクールが催されているみたい、何かいいアイデアはないかと急に言われてもねぇ。
ベンチェー省ですぐ手に入る材料で、第一それがまだ理解できていません。



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これは長兄さんの奥さんが昔からされているいわば手内職で、椰子の実繊維をまとめたもの。
こんなにきれいになるんですよね、こっちの方が何か考えるには早そうではないかな。



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今はこんなロープしか作っていません、それでも前に来た時よりも進化しています。
昔は古い自転車の車輪とペダルを利用した手動、モーターに変わっていても停電時には復活するそうで、巻取り器の向こうに置いてありました。
見栄えは悪くても長兄さんのお手製、ベトナム人は器用なんです。

奥さんがこの仕事をするのは朝食前、食事の準備は次兄さんの奥さんが担当とか。
始まりはだいたい朝の4時半、私の起きる時間とほぼ同じです。
いつもは早朝散歩に出るけど、明日はこちらの納屋を拝見させてもらい約束をしました。



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起きてからすぐに顔を洗って行ってみると、もう作業は始まっていました。
何だか蚕から取れた絹糸を糸撚り器にかけている昔の映像を思い出させる雰囲気、違うのは撚りをかけるために回転するのがモーターである事ですかね。



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長兄さんがモーターに替えてから、作業はずいぶん早くなったそうです。
「どれぐらい早くなった?2倍?5倍?」
「10倍ぐらい」
モーターは使わなくなった脱穀機の中古、プーリーだって何かの流用品だそうですから元手はほとんどかからず。
「1日に何メートルぐらいロープに出来る?」
「何メートルかは分からない、だいたい朝の2時間で5〜6キロ(グラム)ぐらいかな。あとは畑仕事もあるし」



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喋っている間でも、モーターは遠慮なしに同じ速度で回ります。
奥さん、追われてる。
「喋りながら(仕事を)したことはないからねぇ」
邪魔して、すみません。



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早朝散歩を終えて帰ってきたら、玄関にロープの束が置かれていました。
これが1週間の成果、仲買人が今日引き取りに来るそうです。
ベトナム女性は働き者、それに引き換え…。



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朝食からこのありさま、お客様として歓待してくれるのはありがたいけど、先ほどの仕事を拝見した後では気が引けます。
それでも飲みますけどね、ご好意を無駄にしてはいけません。

左が長兄さん、右のボケてしまったのが次兄さん、次兄さんの隣がドライバーでその隣が村長さん。
もちろんドライバーはアルコールなし、今日も運転してもらわないといけませんから。
行先はベトナム戦争で有名になった女傑の博物館、近くの村出身ですからよく自慢話を聞かされました。



おまけ。
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長兄さんが購入したビデオカメラのケース、日韓ふたつの会社名を足して二で割った大陸製。

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