乗り物百態

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『不明』に発病

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いつもスーパーバイクを見せてもらうガレージのオーナーさんから、「カスタム化したい人には、ここに行ってみたらと勧める」という改造専門店にようやくお邪魔しました。

実は早くからこの店は知っていたんです。
昔は鉄工所で、何度か電気溶接の設備を借りたことのある建物あとにオープンしていました。
もうかれこれ4〜5年前になるでしょう。
もの珍しげに眺めている外国人をまったく無視して仕事をされているので、「写真を撮ってもいいですか?」と口にもできずにいたお店です。

そう言うと、オーナーさんが指を左右に振ってこう答えてくれました。
「ノー・プロブレム、電話しておくから」
電話してくれたのはご本人ではなく、いつも上半身裸の工場長でしたけど。



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「ゆっくりしゃべってやらないと、ベトナム語はわからないよ。日本人だ」
工場長から電話を取り上げたオーナーさんの言葉です、まったくその通りですから仕方ありません。

「彼は英単語はよく知っているからだいじょうぶ、バイクの部品名に関しては」
こんなに後押ししてくれたし、工場長が直接電話もしてくれたし、訪問は早いほうがいいだろうと帰り道を遠回りして寄ってみました。

紹介のあった場合は臆することなく大声で。
「こんにちは!」
でも視線はこのバイクに釘付けでした。



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エンジンがかかっているんです。
排気口に手を当ててみたけれど、汚れもしませんでした。
ナンバープレートはかなり昔のもの、日本だと都道府県の一文字だけが表示された頃のものに相当します。

「日本人?」
「そうです、Qさん(バイクガレージの工場長)から…」
「ウェルカム トゥ マイ ファクトリー」
おそらく30代半ばぐらいだろうと思える方が、握手を求めてきました。
もう一方の手には『ベトナム語−英語会話集』をお持ちです。

「このバイクは、どこのメーカーですか?」
そう尋ねてみました。
「……」
やっぱり下手でも、幼稚と言われても、ベトナム語を使うことにしました。
「このバイクは、どこの国から来たんですか?」
「アン・ノウン(不明)」



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エンジンやミッションにも、手掛かりはありません。
オーナーさんが『車検証』に当たる『車両登録証』を持ってきてくれました。
ベトナムでも、この書類は免許証と共に携帯必須です。

きっと新たに登録しなおしたものでしょう、発行は1979年になっていました。
ベトナム戦争が終わって4年目、ちょうど私の初ベトナムと同じ年です。
病気が出始めたのは、このためでもあると思います。



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『登録証』は見事にベトナム語での『アン・ノウン』がオンパレード。
排気量が250ccであることと、現在の所有者、それにナンバープレートと車体番号が手書きされている以外、すべて『アン・ノウン』でした。
これでも街を走れるんですね。

「これ、写真に撮ってもいいですか?」
「ノー」
「どうして?」
「簡単に偽造できるから」
そんなものですかね。



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ホーンもヘッドランプもあります。
方向指示器がありません。



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外観で文字があったのはここだけ、左側に付けられたハードキャリーに英語。
これはヒントになるかなと思って撮っておきました。

「これ、売り物ですよね?」
「もちろん。1800ドル、買うかい?エンジンはQさんが手入れしたからノー・プロブレム!」
「……」
完全に発病してしまいました、『欲しい欲しい病』に。



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奥には古いハーレーもあります。
これだって復活させるんでしょうね。



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これが、毎日わが家の前を走っています。
ノイズからは単気筒、フロントがディスクブレーキになっています。
やっぱりこの『カスタム化工場』の作品だということでした。
私なら、ちゃんとメインスタンドを完全にあげて走る自信があります。

しばらく寝言攻撃でもしましょうか。



おまけ。
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キャリーケースを検索してみたら、古くから米軍の使っていたケースだと、ミリタリーショップのHPに掲載されていました。
ちょっとヤバい代物。

バイクの出自には、何の手掛かりにもなりませんでした。

寝姿四人男

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いつでも、どこででも眠れる自信がありました。
この国で暮らし始めてからは、自慢することもなくなりました。

この通りは『カックマンタンタム(8月革命)』、ホーチミン市内でも交通量の多さではトップクラス。
時刻は午前10時過ぎ、昼寝には早すぎます。
信号が変わるたびにクラクションが鳴らされる交差点でも、問題なさそうでした。



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一方、こちらは路地なか。
ハンドルからぶら下がったコーヒーの氷がまったくなくなっているので、かなり前からお休みのようでした。
アイマスクの代わりに新聞。
明るいと眠れない方みたいです。



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この環境なら、私だって眠れると思います。
川に架かった橋の下。
日陰だし、いい川風が流れているし。
ただし、バイクの上では無理です。



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普段見かけるバイクでの眠り方とは、足と頭が逆。
きっと本か新聞でも読んでおられるのだろうと思いました。
身じろぎひとつなかったので、念のために撮っておきます。



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やっぱり眠っておられました、それもおねえ座りです。
この姿勢は長続きしないはず。
きっと誰かを待っているうちの仮眠でしょう。

一年ぶりのシリーズ復活でした。

ある友情

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表の道から聞きなれない音がしたので、デジカメを持ってベランダに出ました。
カメラのモードはマクロ。
これを遠景モードに切り替えているうちに、荷物を落としたバイクがUターンして回収作業に当たっていました。

もっと右にもう1個落としていたのに、間に合わなかったのは残念。



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20リットルの飲料水が入っていたボトル。
最初に契約する時はデポジット料を払いますから、配達先から回収した空容器だって飲料メーカーには資産のはず。
ちゃんと会社まで持って帰らないといけません。

なんだか積み方が横着だなと思いました。
空容器だってロープかチューブゴムで固定すればいいのに。
ヒョイと後ろに積みなおして、スタートしました。



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きっとこのあとに、何かが起こる。
予感がしました。



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やっぱり…。



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今度はバイクを止めて、走りました。
笑っているのは、照れ隠しでしょうね。



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どうやら前方で待っていた同僚が戻ってきたようです。
落とした1本は左手に持ったまま、また落ちそうなもう1本を同僚さんが引き取ってくれました。

『仲良きことは美しき哉』
でも、失敗体験を学習してくれないと、いつも助けてもらえるわけではありませんからね。

バイクの荷物+1

相変わらず『バイクの荷物』は撮り続けているんですけどね。
「警察は放置しているんですか」とか「危ないじゃないですか」などのご意見が多すぎて、リコメが面倒に。
毎月半ばのご紹介を中断していました。
ある方とのお約束したこともあるし、年末バージョンとして『バイクの荷物+1』と過激に復活してみました。

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最初は過去に記事でご紹介した写真。
ドライバーはかなりご高齢、『+1』はかなりお若い女性でした。



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背中に荷物がない分、ゆったり乗られていそうな『+1』です。
私がこの姿勢で乗せてもらうと、膝から下が血流不全になると思います。



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たぶん、ご夫婦であろうかと…。



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スーパーカブですから、女性のお尻の下には貨物台のバーが横に通っているはずです。
バックミラーが、元気なさそう。
荷物はサンダルのようです。



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荷物用の横木を持つより、ドライバーさんの腰に手を回せばいいのに。
ご夫婦ではないのかな、どちらもまだお若いようだったので関係が気になりました。



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微妙な年齢になると、乗り方も微妙になるのかな。
たまねぎも、これだけ詰め込むとかなりの重量になるでしょう。



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余計なことでしょうけど。
シートからお尻が半分以上ずれているのでは。



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最後は、荷物の上に座っておられました。
この乗り方は、ベトナムでもほとんど見かけません。
決して『族』ではありません、念のため。

本当は天秤棒を担いだまま後部座席に乗っている女性を撮ってから、記事にしようと思っていました。
『走るやじろ兵衛』と、タイトルまで考えていたのに。
次回は、未定。

ロシアンベンリィ

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いつもお世話になっているバイクガレージに、とってもきれいなHONDAの実用車が止まっていました。
もう生産は中止になったはずの、CD125Tです。
後部座席に鍵付きのスチールボックスがあったらあまり近づきたくないけれど、異国ならだいじょうぶだと思いました。

ちょうどガレージのオーナーさんもいたのでいつも通り写真の許可をもらおうとしたら、ちょっと待つようにとの指示。
近くにいた欧米人と思わしき男性二人に、なんとベトナム語で話してからOKサインが出ました。
「二人のバイクなんですか?」
「ああ、ロシア人だよ」



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タンクに貼られたシールは、紛れもない日本語です。
5速のギア、ODとあるのは『オーバードライブ』の意味でしょう。

「あの人たち、ベトナム語を話せるの?」
「とっても上手だよ、ユーもトレーニングしないと」
どうせ私のベトナム語は『三歳レベル』ですよ。



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計器は角ばっていることから、確か『弁当箱』と呼ばれていたと思います。
間違っていたらごめんなさい。
左のウインカー近くにある黄色いランプはサイドスタンド警告灯。

「ロシアで買って持ってきたのか、ベトナムで買ったのか聞いてきてよ」
「オレが売ったから、ベトナムで買った」
「いくらで?」
「整備して2500ドル、オリジナルのまま」



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このバイクガレージではどれだけの手間をかけて『整備』されるか、もうみなさんはよくご存知でしょう。
必要があればエンジンも下ろすし、タイヤを外してホイルの裏側まできれいにしてくれることはお伝えしました。

「今日は整備?どこか悪くなった?」
「違う。よくガソリン切れで押して歩くことが多いから、燃料ゲージを付けられないかと言ってきた」
「走る前にキャップを開ければ見えるのにね」
「そうだよ!あの二人に言ってくれ!」



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もう一度ロシアからのおふたりを振り返りました。

「……イヤだよ」

直接カメラは向けられないので、タンクのメッキ部で。
HONDAウイングマークの左右に写り込んだ右はスキンヘッド、左は背中まで延びた長い髪をひとつに束ねたどちらも大男です。

「……イヤだよ!」

すぐに引き上げました。



おまけ。
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帰り道の路地で、また即席麺の積み替えシーンに出会いました。
ここでも「手伝え!」と言われそうなので、写真は気付かれないよう1枚だけにしておきました。

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