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中古バイクばかり並んでいる中に、見覚えのある懐かしの原付が1台ありました。 ベトナムで初めて見たリトルホンダ、それも信じられない程度の良さです。 いつもお世話になっているバイクガレージで精巧に作られたホンダシャリィを見てから、生産中止になったはずのバイクが新しいと、眉にツバを塗る気持で見るようになっています。 これもきっとそうだろうな、そう思いながらお店の方に写真を撮る了解をもらって近づきました。 バイク自体にたくさんの埃をかぶっていますから、キャブレターにも埃が積もっていても当然。 それでもシリンダーヘッドや吸気のゴムも新しそうです。 何より、クランクケースには『HONDA』のマークもエンボス加工でくっきりと入っていました。 フロントフェイスも、紛うことのない『リトルホンダ PC50』そのものです。 ヘッドランプの上についた速度計も、その下のホーンも、ちゃんと見覚えがあります。 ここで、何かもの足らないことに気づきました。 方向指示器がないのです。 1969年発売のリトルホンダPC50は、日本だけでなく欧米でも人気を博したそうです。 そのどの国に輸出される場合にも、方向指示器は必須だったはず。 この辺りから、ある確信が生まれてきました。 ガソリンタンクにもプレスでエンボス加工された社名入り、その前のウイングマークが張られているのは家に戻って検索してみても、どの写真にもなかったものでした。 足漕ぎペダルにも、使用痕はありません。 埃をかぶったスピードメーターも、本物は50km/hまで。 走行距離が4桁ともゼロ表示、本来ならその下に『日本精機』と入っているはずです。 これだって、とてもよくできた『リトルホンダ』だと思います。
価格は、聞かずにおきました。 |
カブとシャリィ
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今回は、日本製を確認した上でのカブたち。 ベトナムで余生を送っている長寿カブにすれば、ところどころ改造は加えられていても状態のいいものばかりです。 このどちらもフレームに貼られているシールから『正しい日本語』を確認できましたから、太鼓判を押せます。 タイニン省の、露店マーケットで。 サイゴンではずいぶん新車が増えて、カブは荷物を運ぶ用途に使われていることが多くなりました。 そんななか、珍しくきれいなカブに出会って感動。 この色もあまりベトナムでは見かけないなと近づくと、もとの持ち主を推定できるこんな文字がありました。 たぶん街の食堂で使われていたであろうカブ、きっと出前に活躍していたんでしょうね。 こんなバイクに出会うと、私の連想癖がつい始まります。 最初は中年のご主人が厨房を守って、しっかり者で愛想のいい奥さんが店を切り盛りする、そんなパターン。 出前役は遠い親戚の青年、ちょうどサザエさんに出てくる三河屋さんの『サブちゃん』がぴったりかな。 でも、『おふくろの味』が売りとしたら、厨房担当は逆の方がお似合いかも知れません。 このカブがお店に来た時、きっとご主人が白いペンキで、しゃがみ込んでワクワクしながら書き込んだのでしょう。 パソコンやプリンターのない、お品書きや価格は全部手書きの時代でしたから。 思いを巡らしていると、オーナーさんから声をかけられました。 「どこまでだ?」 こんなカブでバイクタクシーをされていたんですね。 すぐ近くに住んでいるからと、丁寧にお辞儀をして断りました。 ここに書かれていた電話番号で検索しても、該当するお店はありませんでした。
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四角いヘッドランプと、ちょっと横長の六角形メーターからでしょうか、通称『宇宙船』と呼ばれているシャリィ。 ベトナムではこのタイプが出る前の、ヘッドランプが丸形シャリィが大半です。 私が『日本製認定基準』としているシールは3種類。 そのうちのひとつは、ほとんどのシャリィに貼り付けてあるんです。 メーター下の『運転中はヘルメットをかぶりましょう』などの注意シールと、シフトパターンシール。 印刷されている日本語も、確かでした。 でも、ごらんのように日本で生産されたものなら絶対貼られているチェーンのたるみ調整シールや、タイヤの空気圧指定シールがありません。 HONDAさん、シャリィは海外でも生産されているんですか? そう思って、ホテルのメンバーにHONDAのディラーはどこにあるのかを聞いて、訪ねることにしました。 次回にそのご報告をしましょうね。
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ずいぶんバイクガレージの写真がたまっています。 なのに、近直のお話からお伝えします。 オーナーから直々の電話があってガレージに出かけると、このシャリィが組み立てられているところでした。 「わっ、これは新車じゃないですか!」 「だから、電話をしたんだよ。欲しがってただろう?」 確かにそうなんですけど、こんな急に言われても…。 確かに梱包されてあったらしき木枠の残骸は近くにあったし、メーターも日本仕様。 「日本からのルートができたんですか?」 「いや、タイから」 この辺りからいろんな疑問が湧いてきます。 シャリィは2000年までに生産が終わっているはず、日本でこんないい状態で残されていたのなら、好事家にはかなりの価格で取引されるはずだからです。 輸入関税の軽減策として、同じASEANグループのタイを経由して日本製品が輸入されることはあります。 ただこれは税額の高い建設重機や高級車がほとんどだと聞いています。 それに、シャリィが海外で生産されていた話も耳にしたことはありません。 このオーナーは決して嘘は言いません、時にはムキになって本物だと証明してくれることがあります。 ここは訊ね方を変えることにしました。 「メイドインジャパンですか?」 オーナーが黙って指さした先はエンジンのクランクケース、傷ひとつない表面には『HONDA』の文字の下に小さく『MADE IN JAPAN』とありました。 「いくらで売るの?」 「買うのなら、言う」 「プライスが分からないと、考えようがない」 「…お前なら、…500ドル!」 ここで二人が大笑い、コピーですと宣言したようなものですから。 各所に貼られているはずの日本語注意シールもなければ、控えさせてもらった車体番号もシャリィのものではありません。 家に帰ってからネットで確認すると、ボディのストライプもどの写真からも見られなかったし、速度計の内部にあるHONDAマークもこの『シャリィ』にはありませんでした。 「いいナンバーだろう?組立が終わったらすぐにでも乗れる」 「でも、私は丸形ヘッドランプのシャリィが欲しいんです。緑色で、もちろん日本製」 「知ってるよ。でも、日本製のお古とあまり変わらない値段で、新車に乗れるんだよ!」 私には魅力のある提案ではありませんでした。 たぶん私の考えと同じ方がベトナムにも多いようです、なかなか嫁入り先も決まらずに、今日前を通った時もガレージの中にありました。 このオーナーは本物志向がウリのはず、いつもらしくない『シャリィ』なのはどうしたことかとお留守のようだったのでメカニックさんに尋ねてみました。 不自由な会話の中で分かったことは、オーナーさんの弟が某国で商談中に見つけたのがこの『シャリィ』、とてもよくできているからとサンプル購入したものが到着したようでした。 もちろんオーナーさんは叱りとばされたそうで、店では売らないからと弟さん名義で登録してしまったとか。 そんないわく付きの『シャリィ』、どうして私にオファーがあったのでしょうか…ね。
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この色、たぶん世界のどこの国で生産されたスーパーカブにもある国以外に標準カラーはないはずです。 もしかしてと、近づいていろいろ観察させていただくことにしました。 所有者の了解なしにバイクに触れると問題があるのは、どの国も同じ。 近くを見回しても通りすがりの車ばかりで周囲は無人でしたから、よけいに気を使います。 もともとがこの色なのか、それともカスタム化されてからこの色になったのか、アンドンの目立つ正面から撮らせてもらいました。 フロントの泥よけが特にかすんだ色になっている以外、明らかな色相違いはないようです。 日本で生産されていて日本で販売されるのなら、この英語シールはきっと不要でしょう。 本当は剥がれ掛かったシールの部分を、もう少しめくってみたかったんです。 どうもクランクケースだけが銀色の塗装された雰囲気があったから。 チェーンカバーに貼られていたシールです。 最近、カタカナに疑いの目を向けることが多くなっているので困ります。 見れば見るほど日本語なのに日本で印刷されたものかどうかが不明になります、漢字は合格かな…。 ところどころ錆が出ているところからも他の塗装色も見えないし、スプレーを使ったらしいタッチアップされた共色もうかがえます。 もしかして日本の郵便局で使われていたカブ…なのかな。
たぶん持ち主さんが現れても、ご存じなさそうな気がします。 珍しい色の、もしかしてカブでした。 |




