Brave New World

バラ色の育児と仕事の両立の日々

全体表示

[ リスト ]

私だけの蘇州昼曲

イメージ 1

Ann Sally の「蘇州夜曲」を聴いて以来、
蘇州にはいつか行きたいって思っていたけれど、
まさかこんなに早く願いがかなうとは思ってもみなかった。
偶然なのか運命なのか、人生っておもしろい。

「蘇州夜曲」は春の宵の恋人たちの歌。
ひとりで中国人の中国人による中国語のツアーに参加して、
曇り空に汗がじわじわの暑い夏でロマンチックとはほど遠かったのにもかかわらず、
私の蘇州はとても感動の曲になったのでした。

実は中国の人たちのためのツアーに参加するのは、ちょっと心配だった。
言葉が通じない、ということもそうだけど、小泉首相の靖国参拝後だったので、
嫌な目にあうことも覚悟していたのだけれど、その反対でとにかくみんないい人たちだった。

最初の自由行動で、一人で来ていた 23 歳の男の子に写真をとってもらった。
彼は針灸の勉強をしている大学生で、少しの英語と筆談でいろいろとお話した。
それ以降、彼はずっとボディーガードのように私につきそってまわってくれたのだった。

蘇州の庭園は曇りの日でも、緑の池と赤い建物のコントラストがとても美しい。
そして窓の模様や原色のろうそくや提灯が、庭の緑と混じりあい、
ひとつひとつは主張するような色彩なのに、すべてが調和してなぜか色の音が静かになる。
私はまるい入り口がとても好きだった。
風景が丸く切りとられて、とても美しくて表情の変わる絵のようだった。
そこに人が立つと、その人も絵の一部になれるような効果があるみたい。

昼食のときにほかの人たちと 8 人くらいで一緒に食べた。
上海でもおいしいレストランに入って、おいしいものを食べたけれど、
実はここで食べた料理が一番おいしかった。
ごはんは雑に大皿に盛られて、魚の姿煮、麻婆豆腐、卵と魚の炒め物、
ナッツの豚肉の炒め物、青梗菜の煮物、おそらくどれも雑な大味のものだったと思う。
でも最初はひかえめだったのに、少しずつ打ちとけながら、
みんなで食べ物を共有するのがなんだかとてもなつかしくて、だからおいしいって思ったんだろう。

英語ができる人には英語でいろいろと質問され、「日本から来た」とわかっても、
「日本は美しい国だね」って言ってくれる人もいたし、
なんとか中国語でいろいろ伝えようとしてくれる人がいたり、
ずっとにこにこして、おかずをよそってくれる人がいたり、
その昼食以降、ずっとみんなで写真をとりまくった。
そのときに必ず、肩をぎゅってしたり、背中に手をまわしたりしてくれる。
それが受け入れられてる感じでちょっと嬉しかった。
でもこのときほど中国語が話せれば。。。と思ったことはなかった。
もちろん言葉が通じなくても、私たちには笑顔という最高の武器がある。

ツアーのコースには、刺繍研究所、お茶館、庭園 2 つと寒山寺、虎丘が含まれていた。
寒山寺の鐘の音は、「蘇州夜曲」でも歌われていたのだけれど、
自分で鐘をついて、その音色が響きわたるのはちょっと感動でした。
とてもいい澄んだ音がします。

最後に行ったのは、虎丘。
東洋のピサと言われる傾いた塔があるところ。
虎丘は春秋時代の呉王が父親を葬った陵墓らしく、
葬儀の3日後に、墓の上に白い虎が現れたことから虎丘と呼ばれるようになったらしい。
閉園ぎりぎりに行って、しかも行きたい人がツアーで 3 人しかいなかったので、
3 人で静かな園内を塔をめざして階段をのぼった。

せみの声が聞こえるのだけれど、日本のせみより声が野太い。
誰もいない景色に、じりじりというせみの声だけが響く。
ときどきさわさわと風が木々を揺らすだけ。
私たちは静かに塔まで登っていった。
塔はとても古くて、上ることはもちろんできなかった。
今にも倒れてきそうな塔が、我関せずな趣で荘厳に私たちを見下ろしていた。
ところどころに虎の石像があって、好き勝手な格好で物思いにふけっている。
夕方のせつない気配のなか、古いものにかこまれて、しばし時間の流れがとまったみたいだった。
せわしなくも楽しい一日だったけれど、ここでようやく心が体に追いつくことができた。
もしもここに行くのなら、閉園ぎりぎりがおすすめかもしれない。

ここにはすべてを書ききれないけれど、蘇州はとても美しい場所でした。
春の宵、雨の日、青空の下、冬の朝、きっとどれも別の美しい表情を持っているんだろうなと思う。

私の蘇州は曇り空。
でもあの日に聴いた私の蘇州は、どんな曲にも負けないくらいすてきな曲だった。

閉じる コメント(14)

顔アイコン

蘇州には『呼ばれて行った』ような感じだね。よい蘇州を聴いたね。読んでて気持ちいい文章。書ききれない想いも伝わってきそう。ニッコリ

2006/9/5(火) 午前 6:57 [ - ]

うん。そうなのかもしれない。たまにそういう「呼ばれてる」ことってあるよね。人生のいいタイミングで行けてよかったと思います。暑くて溶けそうだったけど、今ふりかえるとなんか涼しい風があった気がする。

2006/9/5(火) 午後 4:57 Thursday

顔アイコン

今晩は。お帰りなさい。鐘が鳴ります寒山寺。寒山拾得ですね!骨董では絵がよく出てきます。敬愛する骨董主は抜群の拾得図を持っています。鴎外の小説にもありましたネ。寒山拾得のように自由に生きたいものです。遠い道のりだから、時折、私なんかは正しい道を通らず近道しちゃいます。で、草ボウボウの藪の中へ・・・。笑えます。ゆっくりしっかりと旅ですね。

2006/9/5(火) 午後 7:31 [ gigei10 ]

顔アイコン

お帰りなさい。中国、色使いの凄さ、手造りの凄さですね、見ていると引き込まれるときありますよ。心配ごとも杞憂に終わりよかったです。

2006/9/5(火) 午後 8:09 [ さけ うき ]

顔アイコン

よかった。

2006/9/5(火) 午後 9:00 [ タケモ ]

gigei10さん > そうなんです。寒山拾得の寒山寺です。ユーモラスな絵が多いですよね。鴎外の小説は知らなかったので読んでみました。不思議なお話。。。旅って寄り道だと思ってても、実は正しい道だったりして、おもしろいですね。藪の中にも発見ありです。

2006/9/6(水) 午後 9:24 Thursday

sakeukiさん>本当、すごく感動しました。原色だけどうるさくないんですよね。不思議。それに人々のエネルギーにすごくびっくりしました。奥深いなって思ったので、今度はまた別のところにも行ってみたいと思いました。sakeuki さんの中国便りも楽しみにしています!

2006/9/6(水) 午後 9:26 Thursday

nrqkj568さん> ありがとうございます!うん。いろんな意味でよかったです。

2006/9/6(水) 午後 9:27 Thursday

中国で行ったことがあるのが香港やマカオみたいな街だったから、にぎやか過ぎてなんだか疲れた思い出しかなかったんだけど、読んでたらここに行ってみたくなった。寒山寺の澄んだ鐘の音、聞こえてきそう(^-^)

2006/9/6(水) 午後 10:48 atsuko

ここは、すごく良かったよ。観光客はもちろん多かったんだけど、でもすごく情緒があったし、たぶん人がもっと少なかったら、静かでもっと堪能できたのかもしれない。でもわいわいがやがやも楽しかったんだけどね。

2006/9/7(木) 午後 9:15 Thursday

蘇州夜曲の舞台、よかったですね。虎丘に行った時は一番暑い時で、汗だくの思い出だけだったけど、寒くなったらまた別の風景かもしれないなと想像してましたよ。

2006/9/9(土) 午後 9:00 ANN

いろんな季節の蘇州を見てみたいなってちょっと思います。庭園もすばらしかったけど、虎丘が一番印象に残っています。たぶん人が少なかったから堪能できたからかも。。。

2006/9/10(日) 午後 0:58 Thursday

蘇州の庭園、素敵ですね。曲に合うわー

2007/1/15(月) 午後 6:23 Bion

Bionさん>コメントありがとうございました。そうなんですよ。蘇州夜曲にぴったりの風景でした。ぜひ行ってみてください!

2007/1/18(木) 午後 6:43 Thursday

開く トラックバック(1)



プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事