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7/14 の土曜日、土砂降りの雨の中、
デイヴィッド・ヘルフゴットのピアノコンサートに行ってきた。
映画の「Shine」で主人公のモデルとなった人だ。
興味のある人は、ぜひ wikipedia で彼の名前を探してみてください。
彼は若い頃より将来の期待される天才的ピアニストだったのだけど、
若いうちに認識機能障害に陥り、しばらく音楽活動もできなくなった。
しかし奥様のサポートのおかげで、
今ではいろんな国でコンサートをこなせるようになりました。
私は映画を観て以来、ずっと彼のコンサートに行きたいと思っていた。
この映画で、すっかりラフマニノフのピアノ協奏曲第3番のとりこになったので、
ピアノ協奏曲第3番をやると聞いて、めちゃくちゃ楽しみにしていました。
今回は伊達さんと一緒だったのですが、
7/14 のコンサートの前に行われた別のコンサートで、
うちのバンビ (母) が彼の演奏に大感動して、
今回チケットを急遽購入したので、席は別でしたが、バンビも一緒に聞きました。
ヘルフゴットさんは、出てきたときから、すごくかわいくて子供みたいだった。
指揮者の人と手をつなぎながら飛び跳ねるように登場して、
両方の親指を立てて笑顔をふりまき、共演者の人をハグしまくってました。
演奏中も、ぶつぶつとつぶやきながら、猫背になってピアノに向かい、
自分の出番が終わると、「待て」と言われた犬みたいに、
指揮者の人の合図を一心に「まだか、まだか」というように見つめていました。
そういう演奏する姿にもなんか心を打たれました。
音楽が好きでたまらない、ピアノ弾くのが好きでたまらない、というのが、
ひしひしと伝わってきたから。
そして彼の奏でる音楽は、言葉で言いあらわすのがむずかしいのですが、
本当に胸に響く美しさを持っていました。
今まで聞いたピアノで一番美しいピアノでした。
音を出すのは誰にもできるピアノという楽器なのに、
どうして人によって奏でられる音は違うのだろう、と不思議に思います。
知っている音楽だけに、盛り上がるところや、優しい音色になるところで、
感情を抑えきれなくなって涙が出てきました。
すごいなあ、音楽を聞いて泣けるなんて相当長い間なかったことです。
感動が、自分という小さな容れ物にしまっておくことができないくらい、
あふれてくると涙になるんだなあと他人事のように思った。
そのとき思ったのは、世の中にはまだこんなに美しいものがあるんだなということ。
実はこの頃すごく悲観的な意見を聞いて、ちょっと疑問に思っていたところでした。
世界はどんどん悪くなっていく、という意見。
私はそうは思わない。
確かにニュースを見ると嫌なニュースはいっぱいある。
私たちが抱えている問題は山ほどある。
それでも、世界は美しい場所、花、人、音楽、美術、言葉、に満ちあふれていると思う。
悪いことにばかり気をとられて、美しいものが見えないなんてもったいない。
ということで、短い時間でしたが、聞き終わった後は新しくなった気持ちでした。
演奏後には、スタンディング・オベーションで拍手はなりやみませんでした。
彼は嬉しそうに何度もお辞儀したり、周りの人をハグしたり、
よしよししたり、観客で花を持ってきた人にキスしたりと、すごくかわいかった。
そしてなりやまない拍手の中、三曲もアンコールに応えてくれました。
その中でも、Flight of Bumble Bee を聞けて、ちょっと感動。
これは映画「シャイン」の中でもすかっとする場面です。
アンコール演奏中、オーケストラの人も涙をぬぐってたのが印象的でした。
土砂降りの雨の中を濡れそぼって帰る途中、
それでもみんな笑顔で興奮気味で私たちはみんな幸せな一群でした。
機会があったらまたぜひ行きたいと思います。
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