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オリジナル論理問題24
設問24
次の文を読んで、筆者の主張と根拠を示しその導出が論理的に正しいかどうかを説明しなさい。
「タバコを吸うと肺ガンになる」は本当?
もはや常識になっている「タバコを吸うと肺ガンになる」という因果関係ですが、それがウソだとしたらびっくりしますか? ある意味ではウソなのです。私が最近手術をした肺腺ガンの患者さん100人のうち、半数以上の60人が非喫煙者でした。肺腺ガンは、肺ガンの半分以上を占める代表的なガンですから、このデータを見る限り「タバコを吸うから肺ガンになる」とは限らないと思います。
(出典 「喫煙と肺がんの実はよく知られていない関係 タバコは一体何が体によくないのか」 奥仲哲哉 山王病院副医院長)http://toyokeizai.net/articles/-/211607
解答と解説
まず主張とその根拠を示そう。
主張:「タバコを吸うと肺ガンになる」というのは偽である。
根拠:肺腺ガン100人のうち60人が非喫煙者である。
「タバコを吸うと肺ガンになる」という命題は論理的には「AならばBである」という条件文である。Aが成り立つならば必ずBが成り立つ。喫煙と肺ガンの関係を直観的に理解するためにベン図で表してみよう。大きな円の中にすっぽりとおさまる小さな円を描く。小さな円は喫煙者の集合、大きな円は肺ガン者の集合である。
この図から直観的にわかるのはタバコを吸っている人は必ず肺ガンになるが、肺ガンになった人でもタバコを吸っていなかった人がいる可能性があることだ。つまり「タバコを吸うと肺ガンになる」という命題と「肺ガンであるが非喫煙者であった」という事実は両立可能である。
したがって、「肺腺ガン100人のうち60人が非喫煙者である」ということを根拠として「タバコを吸うと肺ガンになる」という命題を否定することはできない。問題文の導出は論理的に誤っている。
以下余談
もしかしたら問題文の筆者は肺ガンの集合円と喫煙者の集合円とがぴったりと重なりあうベン図を考えていたのかもしれない。それならば「肺腺ガン100人のうち60人が非喫煙者である」という事実を根拠として「タバコを吸うと・・・」の命題を否定できる。
しかしこのようなベン図にするためには、「タバコを吸う人だけが肺ガンになる」という命題でなければならない。確かに「タバコを吸う人だけが肺ガンになる」という命題は「肺腺ガン100人のうち60人が非喫煙者である」という事実を示すことで否定できる。しかし「タバコを吸う人は肺ガンになる」という命題は否定できないのである。
もう一つの解答例
問題文の筆者は「タバコを吸うと肺ガンになる」という命題の「裏」である
「タバコを吸わないならば肺ガンにならない」を同値とし、非喫煙者でも肺ガンになるという事例を根拠として、その裏命題が成り立たないのだから最初の命題もまた成り立たないと誤って立論している。
命題とその裏命題を同値としたことがそもそもの誤りである。「AならばB」が真のときその裏である「AでないならBでない」は偽である。したがって「肺腺ガン100人のうち60人が非喫煙者である」(タバコを吸わなくとも肺ガンになる)という事例を根拠として「タバコを吸うと肺ガンになる」という命題を偽とすることはできない。
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