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2011、12、24(土)付 毎日新聞「余録」を読み解く
読解力を鍛えるために毎日新聞「余録」を題材にして国語の設問を作りました。私たちは、新聞のコラムくらい一読すればわかると思っていますが、本当にわかっているのでしょうか?
この設問はできるかどうかを試すための“試験”ではなく、読解を深めるための設問です。設問をつくってそれに答える――意識的に問いを発してそれについて考える――ことによって読解と解釈を深めることができるのではないかと考えました。ではやってみましょう。
(問1) 以下の文章は6段落から構成されるコラムの全文ですが、各段落は順不同になっています。これを本来の順に並べ替えなさい。
(ア) 全国の児童相談所における児童虐待の相談件数は年ごとに増えている。子供たちが身近な大人に悲惨な目に遭わされる事件も後を絶たない。柔らかな肉体を持った、あどけない存在が理不尽な暴力にさらされているのを思うといたたまれない
(イ) 3人暮らしだが、夫はあまり協力してくれない。実家の両親は忙しい。孤立無援で睡眠不足と過労でへとへとになっている。唯一の息抜きは近所のコンビニへ行くこと。一人で乳児と向き合う日々に、壊れてしまいそうなのだ
(ウ) <一弥がお腹(なか)の中にいた時のように、一弥と一体化したかった。一弥と溶け合いたかった。自分が何故(なぜ)こんなに矛盾に満ちた気持ちになるのか分からない。混乱していた。一弥が愛(いと)おしいのに、一弥の顔を見ていると、私は狂ってしまう>
(エ) 今夜はクリスマスイブ。世界中の子供たちの幸多かれと祈りたい。そして、お母さんたちを孤立させない人のつながりを考えたい
(オ)金原ひとみさんの長編小説「マザーズ」(新潮社)の一節だ。今年の日本文学を代表する作品の一つだろう。20代の母親は生後9カ月の一人息子についつい暴力をふるってしまう。「死んじゃえ」と叫びながら、たたいたりけったりする。ところがその最中に抱きしめたくなり、冒頭のような気持ちに襲われる
(カ) 金原さんが「蛇にピアス」で芥川賞を受賞したのは2004年のこと。8年近くがたち、ヒロインは孤独な不良少女から、悩み苦しむヤングマザーになった。でも、加害者の側から描かれた虐待はどこかで祈りのようなものにも通じている。育児の難しさは大きな喜びと表裏であることも示される
(問2) この文章に題名を付けなさい。
設問の答え
(問1) (ウ)(オ)(イ)(カ)(ア)(エ)
(解説)
考え方は昨日、おとといの記事と同様。一つの段落に着目してその前と後にはどの段落が来るべきかを考えていく。
(ア)の前では児童か幼児の虐待について述べられているはずである。この後にはどういうことが言及されるべきか。何とか防止できないかという内容になるはずだ。該当するのは(エ)しかない。「祈って」食い止めたいということらしい。
(ア)(エ)の順。
(イ)は虐待をしてしまう母親の置かれた状況を説明している途中らしい。この段落の前ではその説明を始めているはずである。(オ)がそれにあたる。
(オ)(イ)の順。
(ウ)は全文がカッコつきなので、何かの引用だと察しがつく。この前後の段落ではその出典についての説明があるはずだ。(オ)に「長編小説「マザーズ」(新潮社)の一節だ」とあるから、(ウ)の後に(オ)が続く。
(ウ)(オ)の順。
(カ)はどうか。前半は金原ひとみ作品の説明である。この前段落ではその作品を紹介しているはずである。該当するのは(イ)と(オ)であるが、(オ)が(イ)の前なので(カ)の前には(オ)は来ない。よって(イ)(カ)となる。
(イ)(カ)の順。
1〔(ア)(エ)〕 2〔(オ)(イ)〕 3〔(ウ)(オ)〕 4〔(イ)(カ)〕。この対になった4組の順番を検討してゆく。
2、3、4は統合して〔(ウ)(オ)(イ)(カ)〕となり、(エ)には“解決策”があるからこの後には何も来ない。したがって全体の順番は(ウ)(オ)(イ)(カ)(ア)(エ)となる。
この段落並べ替えの設問は「〜のはずである」「べきである」「〜でなければならない」を武器に考えていくことがカギである。つまりそれは論理的に考えるということである。推論というものは「〜でなければならない」というかなり窮屈な中で行われるものなのだと言うこともできる。好き勝手に考えるという自由さはない。
(問2)
● 「幼児虐待に苦しむマザー」
12月24日(土)付「余録」は以下のウェブサイトから読むことができます。
毎日JP:毎日新聞社 12月24日(土)付 「余録」
上の「毎日JP」から24日(土)付の「余録」を読むことができるのは本日から約1か月です。
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