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三人旅 ・ 立川談志





談志が放送禁止の襲名披露口上を披露した時、隣に座っていたのは笑福亭鶴瓶だ。
鶴瓶はその夜、談志の長女・弓子がやっている店を訪れた。
「さっきまで談志師匠と一緒やってン。元気に口上に並んではったで」
「ああ、朝鮮人って言ってた? ベトナム人のコンドームの話、した?」
口上を聞いているはずのない弓子の言葉に鶴瓶は驚いた。
「お前、なんでそんなん知ってんのや?」
「だって、きのう一生懸命練習してたもん」
「えーっ、あれ、ネタ繰ってんの? 練習してたんか!」
談志一流のブラックな言葉が次々とその場で言いたい放題に溢れ出ていたのだとばかり思っていた鶴瓶は仰天した。
さらに翌日、たまたま立川志の輔に会い、そのことを話すとさらに驚いた。
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中国出張から戻り、、
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『発端』
 無尽に当たって20両が懐に入った。それを聞いた親父に、宵越しの金は持たないと言うのが江戸っ子だと、叱りつけられた。仲間と相談すると、油揚を全額買って、浅草寺に行って五重塔を借りてテッペンから撒くと江戸中のトンビが集まって空を真っ黒にする。全部撒いてしまうと、見ていた江戸っ子がスゴいと言って、祭りの山車に二人の人形が立つ。俺は上で油揚を撒いて、お前は下で油揚の入ったザルを持ち上げている図だ。やだ、そんなの。
 で、上方見物に旅立つことになったが、街道に明るいという源兵衛を誘い3日後に江戸を後にした。

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『びっこ馬』
 戸塚泊まりはまだ陽が高い、駒を早めて藤沢へ。と言うのにまだ保土ヶ谷くんだりを歩いているんじゃダメだよ。その訳は品川に女が居て別れの挨拶をしてくると言ってみんなで泊まった。翌朝、雨が降っていたので、雨では旅立ちに縁起が悪いと言って、もう一晩泊まった。その翌朝は良く晴れて女が「洗濯物を干すから手伝って・・・」と言うから、も一日。それでは旅に出られないと出掛けてきたが、この遅足では何処まで行けるやら。精を出してドンドンドンドン歩いた。

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遠くに見える、あの高い山は何だ。箱根の山だ。箱根の道は8里あるのは分かったが、重さはどのくらいだ。もうここから帰ろうよ。帰ってどうする。山の上から西方を見て、あれが京大坂だと言えば、江戸の連中は分からないから納得してくれる。帰るのも大変だから、海に落ちて鮫に食べられて、重い鮫だからと江戸に送られて腹を割かれると俺が出てくる。と、バカなことを言っていると、仲間の一人が足を引きずっている。
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 マメが出来て歩けないという。それでは、向こうにいる馬子に声かけさせて値切る算段をした。旅慣れていると馬子に宣言して、値段を聞くと符丁で3人で「ヤミ」と言う。高いなら「ジバ」にしておくと言う。高いから「モモヒキ」にしろと言ったが馬子には通じず。足が二本で、一本百だから二本で二百だ。負けた、と交渉成立。聞くとジバは二百だという、言い値で手を打ってしまった。

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馬が来たが、乗ってみると首がない。後ろ向きに乗ってしまった。尻持ち上げている間に馬を回せ。馬に大声で小言を言っている。「こらァ、長い面して・・・」、「馬はみんな長い顔をしているんだ。どうして馬の顔が長いか知っているか」、「そんなこと知らねェ」、「飼い馬桶が長いから、丸顔では食べられないので、みんな長くなった」、「馬より先に飼い馬桶があったんだナ」。
 お客を見れば仕事が分かる。「馬だって、お客がバカか利口か直ぐ分かるよ。あんたらの職業も私らは分かるよ」、「では何だと思う」、「アンタは分からないが、後ろの御仁は義太夫の三味線引きだ」、「その通り、良く分かったな」、「先程、松の根方で用を足しているとき、前を見たら太棹だった」。
 「我々は百姓で、手が空いているときは馬を出して、馬子をやっている。宿を聞かれるのは有り難い。世話になるので、お客を連れて行けば喜ばれるし、顔が立つ。鶴屋善兵衛が大きくはないが親切でおなごも綺麗で、江戸風呂と言って大きな風呂もある」。
 仲間の一人がまだ来ない。聞くとびっこ馬で長い短い足で歩くからそのたびに頭が下がる。すれ違う人に失礼はないが、くたびれてしょうが無い。「だから、大人しいだろ」、「それが、何かに驚くと思いっ切り駆け出すダ。こないだも客を乗せたまま走り出して、『きゃー』と言いながら駆けだして、谷底に落ちてしまった。仕方が無く仲間と一緒に馬はあげたが、客人はどうなったか」、「下ろしてくれ」、「おどけだおどけだ、そんな事無い。びっこのメッカチだから走れない」。
 道中、客人を口車に乗せて、飽きさせずに行くのも馬子の腕。

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『鶴屋善兵衛』
 「ここから下ると宿に入りますので、私らの村はここから曲がったところです。ここでお別れと言うことにさせて下さい。指し宿していますので宿は安心です。明日また御用が出来るのであればお時間お知らせ下されば宿までお迎えに伺います。びっこ馬でなく元気な馬で行きますので、よろしく」と言うことで3人で宿場に入っていった。
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鶴屋善兵衛に泊まるのだが、提灯に宿名が書いてあるが、その字が3人共読めない。
 「私は全部の字は読めないが、四角い字は読める。まずは口、それから田、国なら分かるが、鶴屋善兵衛はこの中にあるか」。
 「大声で誉めながら宿場通ったら、当方が鶴屋善兵衛ですと、声を掛けてくれるよ」、「ではその方法で・・・」、「鶴屋源兵衛は良い宿だったな。そこの女中も親切だったよな。オイ、何とかお前も言えよ」、「女将も綺麗だったよな」、「そうだ、俺は寝たことがある」、「オイ、バカ、冗談は言うなよ」、「今のは嘘」、「早く泊まりたい」、「宿場の外に出てしまった。お地蔵様と棒鼻があるだけだ」。
 「今度は、宿場の真ん中で腹痛を起こし、鶴屋善兵衛が指し宿だから連れて行ってくれと頼んだら誰か連れて行ってくれるだろう」、宿場に戻って腹痛だと仮病を使った。そこに助っ人が現れ、「手前が鶴屋善兵衛です」、「定宿だから」、「お見受けしない顔です」、「お前は番頭かなんかでも、新しいのだろ」、「いえ、私が主人の鶴屋善兵衛です」、
「あ、いけねェ〜、鶴屋善兵衛の真ん前で倒れちゃった」。
 
 この後、「おしくら」に入って行く噺家もあります。最後は「祇園祭」になります。元来は各宿場ごとの噺が有ったのですが、廃れてしまった。淡々と話していく落語なので、先代正蔵師匠は上手かった。寄席で次の演者が来ないときは高座から下りられないので、この様な噺はつないでいけるので便利な落語です。(談志談)




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あのころ中国出張から帰ると、人民帽をかぶっていたのか。談志は武勇伝にこと欠かない。

2019/7/14(日) 午後 4:41 [ aha ]

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AHAさん:談志も マスコミ利用が旨かったですね。

2019/7/14(日) 午後 5:23 [ 逗子のAスコッ虎 ]


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