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江戸時代の甲斐伝説と民話、赤染衛門の古墳 宮川舎漫筆(宮川政運)
爰に奥田某といえる者、天明年中(1781〜1789)甲州に勤ごとありし折、甲州韮崎、扨( )寺の名も忘れたり。右脇堂の所に苔むしたる古墳あり。其頃中門建立の節、右の古墳を取拂わんとせし前夜、住僧の夢に、夫人来り、此塚を取こぼつ事を歎き、一ひらの短冊を置と夢見しが、目覚めて見れば、古きたんざき枕のもとに残れり。取り上げて見れば、
なき跡のしるしとなれば其儘に とはれずとても有てしもかな
右ゆへ古墳は其儘にて中門をば塚の脇の方に寄せて建しといふ。右の短冊奥田方へ持参りしかば、奥田より古筆に出さし處、赤染衛門の筆よし。珍しき事共なり。この一條は奥田の一家のもの、予がむつみし長崎氏の物語なり。
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