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欧米人の聖火リレー妨害が、連日マスコミを賑わせている。国際政治において、メディアを駆使したイ
メージ戦略は重要である。日本の国連常任理事国入りを阻止するために、中国が反日デモを利用し、それ
を世界中にメディアを通して発信したのは記憶に新しい。
メディアを通して、潜在敵国のイメージを貶めたり、自国のイメージを高めたりする広報活動は重要で
ある。領土問題や歴史問題で国益が対立したとき、国際世論を味方につけるためには、相手国の信用度を
低くし、自国の信用度を高める必要があるが、自国の主張の論理的妥当性を宣伝するよりも、自国のイメ
ージを良好し、相手国のイメージを悪くした方が効果的だからだ。
さて、日本が東シナ海ガス田開発問題や尖閣諸島領土問題に備えて、中国の対外イメージを悪くして、
将来の紛争に備えるために、世界中の報道機関にメディア工作するとしたら、いったいどれだけの予算が
必要だろうか?紙面を買い取り、意見広告を掲載するとか、ロビー活動をするとか、ODAをばら撒くと
か、やることはたくさんある。
チベットの暴動制圧に端を発した聖火リレー妨害が、中国の対外イメージをどん底にまで貶めている。
世界中のテレビや新聞が連日のように一面で報道している。もし日本政府が、対中国のメディア工作を同
じ程度の世界規模で行うならば、数兆円の予算が必要だろう。ところが、ところがである、現在進行中の
聖火リレー妨害とは、それが無料でなされているに等しい。しかも自分の手を汚さずに、中国対欧米の図
式で・・・。中国側のサイトでは、反欧米ムードが沸騰しているというではないか。
クールに日本の国益のみを考えれば、日本にとってこんなにオイシイ話は奇跡に等しい幸運である。ガ
ス田開発や領土問題で、中国と対立したときに、国際世論がどちらに好感を感じるか、その下準備に利用
しよう。アジアの盟主にふさわしいのは、中国と日本のどちらか、国際的認知にも利用しよう。真の歴史
問題は、中国の側にあるのか、日本の側にあるのか、広報活動にも利用しよう。
私が政府関係者だったら、聖火が日本を通過するとき、1人か2人の妨害は意図的に見逃してやり、欧
米人に「日本も仲間である」イメージをアピールする(警察の人間が妨害者に変装して、お芝居してもい
い)。他方で、中国対欧米の図式を維持するために、ロンドンやパリよりは平穏なリレーにする(警備の
厳重ぶりを中国人にアピールする)。
外交の基本は、他人の不幸を悲しい顔で喜ぶことである。
お悔やみを申し上げながら、その不幸をフル活用することだ。
マックス・ウェーバー風にいえば、それをあえてできる人間が職業政治家である。それが職業政治家の高
尚さである。
もう一度いうと、現状の中国パッシングは、数兆円規模の広報費が無料で転がり込んできた幸運であ
る。日本は大事に利用しましょう。
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