欧米とは何か?

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美術品は返還しないよ

 ニューヨークが誇るメトロポリタン美術館に行ってきました。6時間たっぷり観て回りました。何と云

っても、古代エジプト・コレクションは圧巻の一言です。


 そもそも、どうしてこんなスゴイ遺跡を一堂に集めることができたのか?一言で云えば、

欧米人が「古代遺跡」、あるいは「文化財」という概念を発明したからです。

そして、「博物館」を発明して、そこに展示したからです。


 古代文明の発祥地である国々が、欧米の博物館に返還要求をして話題になったことがありました。中国

人は、オークションで清朝の文化財を取り返そうとして、国民運動にさえなりかけました。私に言わせる

と、「何をいまさら」という感じです。この点に関しては、欧米の肩を持ちたいと思います。


 メトロポリタン美術館には、古代エジプトの遺跡物だけではなく、古代ギリシャ、ローマ、アフリカ

、中国、朝鮮、ポリネシア、アフリカの文化財がたくさん展示されています。


 これらの展示物は

展示されているから価値が生まれたのです。

そもそも、これらの遺物の故郷ではたんなるガラクタでした。なぜか?それは「古代遺跡」、「文化財」

という概念がなかったからです。聖書学上、20世紀最大の発見と言われる死海文書は、ベドウィンの少

年が発見したのですが、二束三文で欧米人に売り飛ばしました。シナ人なんて、前王朝を全否定する文化

でしたから、「遺跡」とか「文化財」という概念なんて生まれようがありませんでした。万里の長城なん

て、世界遺産になるまでは、たんなる邪魔な石垣ぐらいにしか思っていなかったのではないでしょうか。


 そもそもエジプトやイラクや中国には、何千年も遺物はあったのですが、展示されることもなく、ほっ

たらかしのままだったのです。それが今頃のなって、西洋的価値観を受け入れたので、遺物に価値がある

ように思えてきたわけです。


 でもそれは、文化財という概念を受け入れたから価値があるように見えるだけで、何千年もガラ

クタとしか思っていなかったくせに・・・・・。今頃になって、「金になる」と気づいて「返せ!」なん

て、恥の上塗りですね。欧米人が保存していなかったら、今頃、遺跡のほとんどは風化して失われていた

かもしれません。


 そういうわけで、遺跡に価値が生まれたのは、欧米人が文化財という「メガネ」を創造したから

であって、「展示物を返せ」というなら、文化財という概念の知的財産権でも主張してやればいいので

す。

欧米的価値観を前提としてのみ、古代遺跡には価値があるのです。

ちなみにパンダに価値があるのも、欧米が生んだ「動物園」という価値を前提してのみです。


 欧米以外に、遺物の価値を知っていた民族が1つだけいました。そうです、日本人ですね。日本人の歴

史愛は今に始まったことではなくて、まぁ、一種の保存マニアですね。いまだに骨董市なんてやってます

し。なんせ、どうでもいい記録まで、よく残っていますからね。郷土史家なんていう方なんて、地方には

腐るほどいます。日本人は歴史物の価値がわかるので、欧米人にあまり持っていかれることはありません

でした。文化財という用語は存在しませんでしたが、わが先祖たちは歴史の価値を知っていたのです。


 メトロポリタン美術館の日本展示室は、そういうわけで大したことなかったです。本国にどっちゃりあ

りますから。韓国展示室は、さらに涙を誘いました。韓国の場合は、本国にも大してありませんが。

ソニーのおバカさん

 下川浩一氏という自動車産業史の研究者が、GMの凋落について、金融への依存が原因だと指摘しています。氏、曰く:
97年頃、GMはキャッシュフローがフォードと変わらないくらいあり、トヨタの3倍程あった。ところが、その中身を見るとGMACという販売金融会社が占めていた。GMACはローンをどんどん拡大し、しかも販売金融だけを取り扱うだけでなく、サブプライムローンなどの金融商品で儲けていた。
 当時のGMの経営陣はどう考えたかというと、結局金融収益で儲かるのならばそちらで頑張ればいいと。キャッシュフローは潤沢にあるから、金の力で何でも解決できると考えた。だから、自前の乗用車のヒット商品はほとんど出ていない(ビデオニュースドットコム)
 マルクスは資本論の中で、「資本主義的生産の下にあるすべての国民は、生産過程の媒介なし

金儲けをしようとする妄想に、周期的におそわれるのだ」と既に書いています。マルクスの場合、

19世紀のイギリスを研究していたので、私流に言えば「アングロサクソンは・・・」ということでしょ

う。英米流のビジネスモデルがグローバル化で拡大した結果、世界中もそういう妄想に襲われたわけでし

て。まぁ、日本もバブル時期に、そういう妄想におそわれましたね。


 生産過程の媒介なしで金儲けするというのは、資本の自己増殖のみに焦点を合わせれば、

妄想どころかまさに合理的なのです。

資本主義の本質とは、資本の自己増殖ですから。2ヶ月ほど前に、コーネル・ウェストというアメリカき

っての哲学者の授業で、聴衆の一人の経済学者が、「アメリカを今襲っている危機は容易に回復できな

い。なぜなら、アメリカにはもはや製造業が残されていないからだ」と発言していました。誰もこの発言

の重要性に気づいていないようでした。


 アングロサクソンは、非常に合理的な思考回路を持っているように思えます。この合理性が資本主義に

マッチするので、資本主義台頭以降、英米がずっと覇権を握っています。彼らの合理性にとって、生産過

程の媒介なしで金儲けするのは本能に訴えるものがあるのでしょうね。


 ところが反面、

その同じ合理性が資本主義の不合理性に周期的に裏切られるわけです。


サブプライム問題とか。もうすでにそうですが、イギリスとアメリカは金融立国として生きていくしかな

いでしょう。金融立国として存続する限り、彼らは常に覇権を握るでしょう。金融が資本主義の本山です

から。


 それはともかく、ソニーの最高経営陣は、外人が増えていますね。彼らの合理的経営感覚に期待したん

でしょうが、そういう結果が今日のGMなんですが・・・・、そして未来のソニー・・・。イギリスとアメ

リカにどれだけ優れた製造企業が残っていますかね?倒産企業の社長を引き抜いて、自社の会長に据えた

ようなものです。日本には何世代も続く老舗企業がいっぱいありますが、常識で考えれば、

人材を引き抜くならそっちからでしょう。



 英米製造業の凋落がソニーには見えていないんでしょうかね?国際化した企業は、不思議と国際的な視

点を見失うんですね。日本の頑固一筋老舗企業の方が、よっぽど「国際的」なんじゃないですかね?常に

勝ち残っていますから。英語ができたってダメですよ。
 オバマ米大統領は16日の演説で、政府管理下で経営再建を進める保険大手アメリカン・インターナシ

ョナル・グループ(AIG)による幹部への高額ボーナス支払い計画について、これを阻止するようガイ

トナー財務長官に指示したことを明らかにした(産経)。


 ニューヨークで暮らしているので、ウォール街に対するアメリカ人の怒りは伝わってきます。ウォール

街は世界経済の中心というので、どんなとこかと思って行ってみたら見掛けはたいしたことないんです

ね。拍子抜けしました。


 問題の高額ボーナスですが、、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」を扱う金融商品部門

の幹部たちに支払われるそうで、いわゆる経営危機のまさに主犯なわけです。産経によると、ガイトナー

米財務長官は先週、AIGのリディ最高経営責任者(CEO)に電話で見直しを迫ったものの、AIG側

は「有能な人材を流出させないためにやむを得ない」と説明したそうです。


 これは意図的なお笑いか?さすがアメリカ人はジョークが旨いですね。その「有能な人材」が失

敗して世界的経済危機なんですが。大失敗が有能さの定義でしょうか?本来なら、解雇という手段でまっ

さきに「流出」させるべき人材のはずなんですけどね。


 まさにウォール街の人材観を象徴するコメントですね。つまりウォール街にとって優秀な人材とは、

金融テクノクラート」だということです。ようするに手先が器用で、金融商品を製造できる技術

者を優秀だと見ているわけですね。ところがこの技術者たちは、自分が開発したプロダクツが社会

にどういう影響を与えるかとか、どういう結果を生むかということに対しては

まったく無関心な人種なわけです。

なんか昔、こんなマンガを読んだような記憶が・・・・。


 私は今回の危機の真犯人は、自動車業界の没落も含めて、アメリカのビジネススクールの教育のあり方

と、それの価値観的地盤となっているアングロサクソン的な合理主義だと思っているんですが、ウォール

街のテクノクラートたちは、まさにそのDNAが凝縮した申し子たちなんですねぇ。今回の産経の記事でよ

く分かりました。しかし、大統領がブッシュさんだったら、こういう政府の反応はなかったでしょうね。

オバマさんはさすがだと思います。

気の弱いアメリカ人?

 日本の会議や教室の討論の方が、野蛮なほど率直な意見のぶつけ合いに見えてくる。「朝まで生テレ

ビ」などもそうだが、結構公の場では、日本人は攻撃的な意見の交し合いをすることが多い。おいおい、

アメリカ人、どうした?


 私の学んでいる学校は、ニューヨークという土地柄もあるのか、”業界”ではアメリカ最左翼、過激リ

ベラルというレッテルを貼られている。Political Correctnessが重要視され、表現にも細心の注意が払

われる。だからだろうか?同じアメリカでも保守的なアメリカ人はもっと率直に討論するのだろうか?日

常の会話でも、アメリカ人のほうが表面的で本音と建前を使え分けているような気もするのだが、どうだ

ろうか?確かに断るときは、率直だが。


 それとも、日本文化は他者の感情に配慮して、率直に言わないというのが神話だったのだろうか?もち

ろん人間である限り誰でも他者に配慮するから程度の問題だろうが、日本人はアメリカ人より率直な言動

を控えるというのが神話だったのか?

禁煙と欧米化

 私はタバコは吸わない。しかし、欧米からやってきた禁煙運動が日本を侵食するさまを見るのは、じつ

に胸が痛む光景である。禁煙という象徴をめぐって争われているのは、じつは文明と文明の衝突である。


 日本の文化はモノを通して他の文明に侵入するが、欧米の文化は理念を通して侵入する。理念を通して

侵入するということは、禁止と統制の形で侵入するということだ。したがって、人権や民主主義や自由と

いう欧米の理念は、禁止の命令形で非欧米文明に輸出される。差別してはいけない、抑圧してはいけな

い、独裁はいけない、etc。欧米の文化の根本には、対決と克服というモチーフがあるから、どうしても

そうなるのだ。


 さらに欧米の禁煙運動の深層を探ってみると、そこには自然の威力に対する恐怖心が存在することが分

かる。自然の敵意に怯える欧米人が存続するためには、現実全体が理念と自然へ二分されるよりほかはな

かった。欧米人にとって、自然とは理念によって克服される客体である。


 このへんから、欧米人の自然一般に対する嫌悪感が理解できる。日本人にとっては自然の一部である男

女の区別は、男女同権の理念によって克服されなければならない。自然界ではあまり見られない同性愛

は、その反自然的性格のゆえにむしろ尊重されなければならない。自然との間に適度な距離感がとれない

ので、自然そのものを理念化してしまい、クジラ愛好家や過激なベジタリアンという奇妙な人種が生まれ

てしまう(日本人から見れば、彼らは反自然である)。平均気温からの逸脱は、自然が人類を滅ぼす攻撃

の前兆だと理解され、エコロジーという理念のよって対抗する。


 日本人にとっては単なる道具に過ぎない科学と医療も、欧米人にとっては理念である。科学と医療は、

欧米人にとっては自然を征服するための理念的道具である。その裏側には、自然に対する敵意と恐怖が隠

れている。医療は、身体という自然を克服すべき理念的実践なのだ。


 禁煙運動がアメリカから始まったのは、偶然ではない(ナチスもやってたな・・)。アメリカとは、西

欧が生んだフランケンシュタインである。日本人にとっては自然が生んだ嗜好品に過ぎないタバコと酒

が、アメリカでは堕落の象徴として敵意を向けられる。同じ嗜好品でも、銃や車などの製造物はOKであ

る。最近では、食物や自分の身体でさえも、思惟と理念によって管理されるべき自然と見なされているよ

うだ。健康食ブームやダイエットもアメリカ発祥だが、脂肪は自然の敵意の象徴であり、しかし彼らの肥

満の原因はコーラに象徴される「人口物」にあるのだから、皮肉である。


 健康に対する異常な気遣いは、身体という自然に対する敵意の裏返しではないだろうか?身体は、病気

を内蔵した時限爆弾として、潜在的危険物のように扱われていないだろうか?身体は、今はおとなしくし

ているが、扱いを間違えれば反抗して牙を剥く不良息子?タバコは、不良息子(身体という自然)をけし

かけて親に暴力をそそのかす同級生(嗜好品という自然)のような扱いだ。


 基本的に、自然に対する恐怖感と敵意は、一神教の産物である。キリスト教徒である小生が言うのだか

ら間違いない。

自然を創造した神の奴隷になることで、自然を支配する権利を得るのだ。

自分の身体でさえ、支配すべき自然に含まれる。神が死んだとされる現代では、神の代替物としての理念

の奴隷になることで、自然を支配する権利を得るのである。禁煙運動と環境保護は、欧米文明の必然的産

物である。環境保護と云っても、管理としてなされるのだ。身体という自然と、環境という自然に対する

管理への意志である。

「管理できる」と信じるところに、欧米の病がある。



 終戦以後、アメリカ化された日本のふがいなさやいかに・・。タバコ規制だけではない。健康日本21、

健康増進法、、食育基本法、最近ではメタボは法律違反になるそうではないか?健康であることは、国民

の責務となったそうである。健康とは何だ?

予防は、ある程度を超えると健康を破壊する。

それを証明する実証的なデーターもある。日本が欧米化している。日本人が自然との付き合い方を忘れて

いる。日本には、独自の日本人的健康観があったと思う。欧米の単一的、還元主義的、原理主義的健康観

ではなく、多元的・包括的な健康観が・・・。


 厚生労働省の研究では、喫煙者は2〜4年寿命が縮むそうだが、わずか4年の寿命を延ばすために、何

十年も愛好品を断念するなんて、小生に言わせればバカな発想である。小生はコーヒーを愛するが、仮に

コーヒーが寿命を4年縮めるとしても、これから先、70歳まで30年間コーヒーなしで暮らすなんてバ

カなまねはしない。長生きするために生きるのではなく、楽しむために生きるのだから。


 グローバル化が世界中を席巻したように、死刑廃止運動が世界を席巻したように、人権、民主主義、市

場経済など、欧米的価値観が世界を支配している。禁煙運動という欧米化もあと一歩で完成である。禁煙

は個人の意志だが、禁煙化はイデオロギーである。健康を理由に反論しても状況は変わらない。健康至上

主義が、欧米発の価値観だからだ。たばこ規制枠組条約も、国連機関を支配する欧米発の"思想運動"であ

る。


 小生はタバコは吸わない。でも、文明と文明の衝突という観点から、禁煙運動には賛成しない。欧米は

理念によって侵入する。禁止によって侵入する。日本は日本の流儀でやりましょうよ。

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